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忘却花葬  作者: 涙紫月
17/26

17.記憶を喰らう花

長くなると思いましたが、短かったですね(--;)

私が、子供のときの話です。今とは、全然違う生活をしている時代です。

私は、平凡な家の、普通の子供でした。

兄弟はいない、父と母の3人暮しです。

家の周りには、一緒に遊んでくれる子供達がたくさんいて、総次郎さんはその中の一人でした。

子供のときから、変わった人でしたね。格好もね、お寺の息子というだけあって、坊主でお坊さんの着物を着ていました。坊主というのは珍しくないですが、遊ぶときにもそんな着物を着ている人はいませんでしたから。

総次郎さんの周りには、いつもたくさんの人がいました。

頭が良くて、面白くて、何より優しかった。人気者、というのでしょうかね。

友達が少なくて引っ込み思案な私は、総次郎さんが羨ましかったのです。

総次郎さんは子供のくせに大人びていて、正直、あまり好きではなかったです。

何度も一緒に遊びましたが、総次郎さんのことを友達だと思っていませんでした。

家が近くだから集まっているだけで、ほとんど話したこともなかったです。

先程、総次郎さんのことを羨ましいと言ったでしょう?幼い頃の私は、その気持ちが嫉妬のようになってしまっていて。

ふふ。当たり前ですよ、塗色。今は大好きな人です。

ある時、ね。

町で、変な話が広がりました。

通称、忘却花葬。

人間の記憶を喰らう花の話です。

どこに現れるのか全くわからず、時間は大体夕日が町を照らし始める頃。

喰らわれた記憶は二度と元には戻らない、忘れてしまうんです。

そんな噂で、大騒ぎでした。

私もね、その噂を信じていました。両親から、日が暮れる頃には山に入らないように言われていました。

私の町では、よく山に現れていたようなんです。

一緒に遊んでいた子達とのなかでも、よく話題になりました。

こわいね。早く帰ろう。山には入らないようにしよう。

そう、話していました。

でも、誰かが言ったんです。

ねぇ、探してみようよ。

って。

だから、みんなで山に行こうとしました。ですが、やめになりました。

総次郎さんが来て、言ったからです。

絶対に行くな。

と。

総次郎さんに言われれば、みんな行くわけにもいきません。

もう日も暮れそうでしたし、解散となりました。

だけど私は、そのまま家に帰らなかった。

…よく覚えていません。その時、どうして帰らずに、山に向かったのか。

多分…、総次郎さんに対して見返してやりたいような、そんな気持ちを持ったのだと思います。

行って、見つからなくて、大丈夫だった。

そうなったとして、どうなるのでしょうね。馬鹿でしたよ。

私の、人生で最大の過ちです。

山に行って、私は迷ってしまいました。

帰りたい。

ただそう思っていたのを覚えています。

山の中に、小さなお寺があります。無人のお寺でしたが、町の人達には人気で、私も拝みに来たことがありました。

あの時、そこで立ち止まらずにどこでもいいから歩き続ければ良かったのに。

私は、疲れて、不安で、立ち止まってしまった。

しゃがみ込んで、泣いてしまった。

だから、出会ってしまったんです。

忘却花葬と呼ばれる、記憶喰いの花に。

読んでくださった方、ありがとうございます!

次回も、飛彗視点の過去の話が続きます。

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