16.沈黙は安らぎか
途中から飛彗視点。
また短いです!○| ̄|_
次からは、少し長くなると思います…。
2人で無言で歩き続ける。
足早な総次郎を塗色が追うように、山を下る。
小さい裏山だ。すぐに家が見えてきた。
「塗色っ!!」
名を呼びながら、飛彗がそばに駆け寄ってきた。
飛彗は塗色の両腕を掴み、見上げる。
「どこに行っていたんですか!?」
普段とは違う、焦った様子で飛彗が聞いてきた。
そんな様子の飛彗を見て驚く塗色。
答えようとするが、上手く言葉が出てこない。
それより先に、気になったこと。
「じいちゃんは…?」
言って辺りを見渡す。
いない。
「どうしました?」
辺りを見渡す塗色を不思議に思った飛彗が声をかける。
「…じいちゃんが…」
「じいちゃん?」
「…俺のじいちゃん。何年も前に死んだ」
「…。おじいさんが、どうしたんですか?」
塗色の言っている意味がわからず、飛彗は首を傾げる。
「いたんだよ。俺を助けてくれた」
飛彗から目を逸らし、遠くを見つめるように明るい声で言った。
「…」
2人の間に、沈黙が流れる。
今まで暗い表情をしていた飛彗は、いつもの笑顔に戻り、口を開いた。
「さぁ、入りましょう?昔話をしましょうね」
塗色は居間に入り、腰を下ろす。
しん、としている。
そして、どこからか足音が。
「お茶が入りましたよ」
おぼんを持って、飛彗がやって来た。
お茶を置いて、自分も座る。
「どうぞ」
「ありがとう」
また、沈黙。
今度は長く感じられた。
少しして、飛彗が口を開く。
「…少し、私の話を聞いていただけますか、塗色。そして、これが終わったら、今度はあなたの話を聞かせてください」
そう言って、飛彗は話し始めた。
…いいですか、塗色。これは本当の話です。私にとって、嬉しい話でもあるし、すごく悲しい話でもあります。昔の話です。…話しながら、泣いてしまうかもしれません。気にしないでくださいね。…ありがとう、塗色。あなたはやっぱり、優しい子ですね。
読んでくださった方、ありがとうございます!!( ˊᵕˋ )
次回からは、飛彗視点の過去の話。




