表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却花葬  作者: 涙紫月
14/26

14.忘却花葬

わかりにくい表現、たくさんあるかもしれません。m(_ _)m

着替えた塗色は、飛彗に声をかけずに家から出て行った。

飛彗は気づかない。

少しふらふらしながらも、しっかりとした足取りで塗色は歩いていく。

今日の空は暗い。

いつもはギラギラ眩しい太陽が、分厚い雲で隠されている。

塗色の視界が少しぼやける。

涙が頬をつたって流れていく。

理由なんて分からずに、涙が溢れて止まらない。

昨日も登った裏山を、塗色はまた登り始める。

目的の場所など無いはずなのにあるかのように、迷いのない足取り。

(いざな)われる。

何に。

花に。

そう。花に呼ばれている。

さぁ食事の時間だ。そんな声が聞こえたような気がした。


雨が降り出しそうで降らない、暗い空の下。

塗色は歩き続けている。

そして、着いた。

普通の山の傾斜。

だが、そこには異様なものが一つ。

他の草木に紛れることなく、赤く、光り輝いている。

見た目は彼岸花に似ているだろうか。

だがそれよりも大きく、明らかに異常。

人間の本能が危険を告げるような、

赤。

塗色の視界も赤く染められ、花が占め始める。

怖い。

恐怖を感じるようなものなのに、きっと人は、これを美しいというのだろう。

「これが…」

忘却花葬。正しくは、忘却花葬と呼ばれるもの。

忘却花葬とは、勝手に人が名付けたものだ。

花が少し動く。

瞬間、赤い光が塗色を包み込む。

「うっ…!?」

ツルが体に巻きついてくる。

今までの全ての記憶が、頭の中に蘇ってくる。

それはまるで、走馬灯のよう。


赤い光に包まれて。記憶が、広がる。

息が苦しい。

水中にいるような、そんな感覚。

そして、一番脳裏に焼き付いてきたのは。

『ちょっと!』

声が、

『待ちなさい』

聞こえる。

大好きな母が倒れる姿。

ツルが巻きついて離れない。

(…っ。それを()()()気か!…ダメだ、やめろ。その記憶を消すな…!俺が消え去りたいのは…)

花が何故か、たじろぐような姿を見せた。

次の瞬間には、花が離れる。

ハァハァ、と息を吐き、膝をつく塗色。

そんな塗色のそばに歩み寄るものが一人。

塗色が顔を上げると、そこにいたのは坊さんのような格好をした、老人。

まさか。そんなはずはない。

塗色も知っているこの男は。

「じいちゃん…!!」

目を見開く塗色に、祖父・総次郎は微笑んだ。

読んでくださった方、ありがとうございます!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ