12.君の目を見て罪を知った
最初は考えていなかった、ねじ込み話③
ねじ込みでも内容はちゃんと考えてます!(当たり前)
塗色の母の名前は、アキです。
今日の晩ご飯も美味しい、飛彗の手料理。
そして何より、懐かしい味。
些細なことだが、塗色は幸せを感じていた。
「今日もたくさん食べましたね。美味しかったですか?」
「うん。美味しいし…、母さんの料理と同じ味がする」
「アキには、小さい頃から料理を教えていましたからね」
「そうなんだ」
「はい。不器用な子だったので、苦労しましたよ」
飛彗は困ったように笑っている。
塗色には、悲しい表情をしているように見えた。
当たり前だろう。愛している娘が、若くして死んでしまったのだから。
「母さんが不器用だったなんて知らなかったよ。お菓子とかも作ってて、すごく美味しかったし」
塗色の言葉を聞いて、またもや飛彗は笑っている。
しかし今度は、悲しそうには見えず、純粋に笑っているよう。
「お菓子の作り方も、私が苦労して教えたんですよ。…最初の方は失敗ばかりで、本当におかしかったんですから」
飛彗は声を出して笑っている。
「そうなの?えっ、どんな失敗だった?教えてよ」
「そうですね…。例えば…」
この夜は、塗色の母の話題で盛り上がった。
夜10時過ぎ。
塗色は夢を見ていた。
一ヶ月前に死んだ、母の夢を。
見ていたのは、母が死んだあの瞬間。
心臓が止まる。
医者の声。
まだ、実感がない。
本当に母さんは死んでしまったのか。
俺のせいで。
違う、事故だろ?俺は何も…。
「ー」
弟が何か言っている。
俺の脳裏に何かが届く。
父さんが泣いている。
俺を睨みつけている。
見ないでよ。そんな目で。
母さんが死んで泣くくらいなら、どうして今まで愛を伝えなかったの?
お前だって悪いじゃないか。
…わかった。俺に見えたよ。
2人にとっての、一番辛い記憶が。
読んでくださった方、ありがとうございます!
前回と今回のサブタイトル、個人的に気に入ってます(*´∀`*)
静かな光が傷を抉る
君と目を合わせて罪を知った




