11.静かな光が傷を抉る
投稿していると本当に少なく感じられ、すぐに完結しそうで焦っています。
途中からは、
最初は考えていなかった、ねじ込み話② です。
2人で昼を済ませ、暖かい陽気に塗色は眠りの世界に誘われていた。
縁側で昼寝をしている塗色を見て、飛彗は微笑んだ。
そして、仏間に向かう。
愛している夫の遺影を見つめ、普段とは様子が違う。
「塗色は、あの花を探しているんですかね。見つけて、どうするつもりでしょう」
聞こえるはずもない、夫の声に耳をすませる。
「私には、どうすることもできません。引き止めることはできたとしても、見つけることはできません。私も怖いのですから…。だから、あなた。あの子が迷子になったら見つけてあげてください。私を救ってくれたときのように」
2人しかいないはずのこの家に、誰かが戻って来たような、そんな感覚があった。
「塗色、起きてください」
もう聞き慣れた、温かい声で塗色は昼寝から目覚めた。
「ん…。もう…、夕方?」
起き上がった塗色は、辺りが暗くなっていることに気づいた。
塗色の言葉を聞いた飛彗は微笑んでいる。
「はい、もう夕方で晩ご飯の時間ですよ」
「…すげぇ熟睡してたみたい」
「たくさん眠るのは良いことですよ。寝る子は育つ、と言いますからね」
「うん…」
やはり寝起きが悪い塗色。
話してはいるものの、脳は完全に目覚めていないようだ。
2人で、縁側に座り庭を見つめている。
静か。
この世界に、誰も存在していないよう。
塗色は思う。
何故俺は生きているんだ。
と。
毎日誰かは死んでいる。ならば何故、その誰かは俺ではないのか。
最も辛い記憶を刻みつけて…、
罪を償いたい。
読んでくださった方、ありがとうございます!!




