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9 秘密を話さなきゃ。その2

目が覚めると、白衣姿の父さんが、覗きこんでいた。


「 気がついたか?」

「 うん 」


朝起きた直後に倒れたんだっけ。

何度かこうやって、生死をさまよった事はあるけど、前触れが無いのは、初めてだ。

いつもなら、40℃位の熱が数日続かないと、こんな事おきないのに。


「 どうじゃ? 苦しいとかないか?」

「 体が熱いくらいかな。」

「 ほうか。」



父さんは、俺を診察を終えると、酸素マスクを取ってくれた。

父さんが出て行ったあと、ぼんやりとしてる内に寝てしまったらしい。


次に目覚めたら夜だった。暗いベッドの脇を見ると、椅子に座ったまま仁が眠っていた。更にその脇に、肩まで髪を伸ばした仁に顔がそっくりな女の子いた。彼女は、仁の双子の妹で、俺の義理の姉 雫ちゃんだ。雫ちゃんも眠っていた。


「 夕陽起きてるの?」

「 うん。」


病室に母さんが入ってきたらしい。視線入口に向けると、母さんのシルエットが目に入る。暗いから表情がわからないはずなんだけど、何故か、苦笑いしてるような気がするんだ。



「 仁も雫も寝ちゃったのね。 夕陽が、起きるまで、離れないって言ってたのよ。」

「 ほうなん。 ――仁って、期末テスト前じゃなかった?」

「 そうよ。晶もここに残るって言ったんだけど、帰したわ。ああ、そうだ、夕陽少し大丈夫?」

「 大丈夫だけど、なに?」

「 あのね。あなたの病気の事をね、ミカンが教えてくれたの。」

「 ミカンが?」



ミカンというのは、俺の祖先がいたという異世界からやって来た女の子だ。

今は、俺の遠い親戚の家の養女になって、日本の学校に通ってる。


「 ミカンの話だとね、あなたの病気は、魔力過多症まりょくかたしょうというらしいの。」

「ふーん。」


ミカンの話を要約すると、多すぎる魔力が"暴走"しちゃうらしい。その結果体に異変を起こす。俺の場合は、入院が必要となるくらい発熱が何日も続く。時と場合によっては、"暴走"した魔力のせいで、命を落とす事もあるらしい。

難しくて、何がなんだかわからない。

ちなみに、ミカンの話だと、ミカンの生まれ故郷じゃ、難病として扱われてるらしい。


「 どっちにしても、治る病気じゃないんじゃね。」

「 ただ、今回みたいな事態になった原因は、平原本家にある手記を読めば分かるんじゃないかしらね。」

「ほへ?」

「 だから、うちの祖先が残したっていう魔法に関する手記に書いてあるんじゃないかな。――ただ、その手記を読めるのは、ミカンかおばあ様から魔法の手解きを受けたひなちゃんだけよ。仁も魔法の手解きを受けたんだけど、手記がある倉庫は、暗がりが駄目な仁は、近づけないしね。」


母さんは、軽く寝てる仁の頭をこつりと叩いた。


「 でも、あの倉庫を探すのは、骨よね。なんせ、おばあ様やお祖父様のコレクションが山になってるから。」

「確かに。」


俺は、生家でもある平原本家の一角にある古い倉庫を思いだした。

ひいお祖母ちゃんやひいお祖父ちゃんが、集めたという骨董品の山になってる。変な壺やボロい掛け軸なんかが、わんさかあるなか、その手記を見つけるのは、大変だ。

だいたい、重い物もあるから、女の子だけじゃ、無理。男手いるよね。

――いるじゃん。一人だけ。


「 拓人さんに、手伝ってもらお。」

「 それは、いいけど、そしたら、あなたの秘密話さなきゃ、いけないじゃない。」

「わかっとる。それも含めて話す。」


いずれ話さなきゃいけないんだ。それが、早いか遅いかだけだ。

母さんや起きた仁や雫ちゃんが、病室から出ていった後、俺は、拓人さんにどう話をしようかと、あれこれと考えていたのだった。


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