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7心配。

夕方、部活を終えた拓人さんが、俺の部屋に来てくれた。なんか少し渋い顔してる。なんで?



「 夕陽、旭ヶ丘受けるってんだって?」

「 うん。晶や雫ちゃんの話聞いてたら、旭ヶ丘って楽しそうなんじゃもん。」


俺の言う旭ヶ丘というのは、県内でも有名な進学校だ。正式には、旭ヶ丘学園といって、中高一貫の私立校なんだ。

晶や俺の義理の姉になる雫ちゃんが通ってる学校で、二人の話や学校案内のパンフレットを読んでたら、楽しそうだから、通ってみたい。実は、近くに県立の中高一貫校もあるんだ。そこは、制服が可愛いんだけど、校則が厳しいとかで、行くのは辞めたんだ。



「 そっか、ところで、夕陽は、仁がなんで、旭ヶ丘から中島高に進学したか知ってる?」

「 えっ? 理由?知らん。」


仁というのは、うちの長男で俺の義理の兄だ。中学は、旭ヶ丘学園に通ってたんだけど、高校は、俺の地元にある中島高に通ってる。本人に訊いても、適当な答えしか返ってこないんだ。

それにしても、拓人さんなんで、こんな話するんだろ? 俺が疑問に思ってるのを知らない拓人さんは、話を進める。


「双子の妹の雫と何かと比べらられてさ、雫は何やらせても上手い。 学校の成績は、常にトップだし、スポーツ万能。性格は、まあ少々変わってるけど、人当たりもいい。そんな雫に対して仁は、『妹と違って何やっても駄目な兄貴。』って、教師やクラスの奴らからは、そんなレッテル張られてね。まあ、仁は、ずっと悩んでたんだよ。仁の悩み知ってた親父さんの薦めで、中島高に進学したんだ。」

「……そうなん。」


仁が、中島高に進学した理由は、解ったけど、今の俺に何の関係があるんだろ?


「 僕の心配し過ぎかも知れないけどね、義理とはいえ、あの雫の妹として、旭ヶ丘に入って、比べられれる事に抵抗は無いのかなって思ったんだ。」

「 あー、なんだそゆこと。そんな事なら、大丈夫。」


俺は、手をパタパタしながら、説明する。


「前に話したと思うけど、俺には、14歳も年の離れた実の兄貴がおるんよ。小学生の頃さ、兄貴の同級生が担任になった時さ、さんざん本当にあいつの弟かって、言われたもん。慣れとるし。」

「 そうなんだ。――そういや、さっき、弟って聞こえたけど、気のせい?」

「 弟じゃなくて、妹だ。うん。弟って聞こえたのは、気のせい。」

「 ふーん。僕の気のせいか。」


拓人さんの訝るような視線を避けながら、上手く誤魔化せたけど、俺が元男ってのは、拓人さんには、まだ秘密なんだ。その内話さないとな。


「 まぁいいか。旭ヶ丘の編入試験まで、僕が勉強教えるって事で、よろしくな。」

「 お願いします。」


俺は、頭を下げた。拓人さんと、勉強のスケジュールを立てて、その日は終わりとなったのだった。

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