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5 なんで?

6月の終わり頃、退院した俺は、音無夕陽として新たな生活がスタートした。

退院した翌日。朝から落ち着かない気分で、リビングをうろちょろしていた。白いTシャツに紺色のキュロットスカートという女の子の服を着てるのもあるんだけど、まあ理由はそれだけじゃない。



「ねえ、()()()。変じゃない?」

「 変じゃないわよ。どうして?」

「 スカートじゃないけど、裾周りのヒラ ヒラが気になるんよ。」



俺は、キュロットスカートの裾を摘まんで、捲ってみる。今まで穿いてた男の子向けのズボンと違って、頼りない感じがする。


ソファーに座ってた母さんは、顔しかめて、説教を始めた。


「 こりゃ、何しよるんね?( こら、 何してるの?) ええ? なんぼ キュロットスカートじゃいうても、人前で裾を捲ったらいけんよ。( いい? いくらキュロットスカートだとしても、人前で裾を捲ったらいけません。)」

「――わかった。しません。」

「 ほうよ。今日は、林原くんが来るんじゃけ、そんな事せんのよ。」


そう説教して母さんは、家事をする為なのかリビングから出ていく。余談だけど、うちの母さん他人と話す時は、標準語なんだけど、こうやって、家族に説教する時は、広島弁になっちゃうんだ。


母さんが出ていったあと、俺は、リビング勉強をしていた。



「 こんにちはー」

「 いらっしゃい。お願いね。」


リビングの外から、母さんと男の子の声が聞こえる。リビングのドアをそっと開けると、この前初めて病院で会った男の子 林原拓人さんがいた。

――本当に来たし。あれから何回かお見舞いとかって言って、会いに来たんだよね。 俺が入院してた病院は、中島市という街にある。あっ俺が住んでいた街でもあるんだけど。今住んでいる街 桃宮市まで車で一時間程で着く。電車だと、一時間十分かかるんだ。 林原さんの場合高校生だから、電車でわざわざ来てくれてたんだ。

俺の義理の兄となったうちの長男は、一時間もかけて通学したくないと言って、俺の実家に居候してるのに。

俺がそんな事を考えていたら、母さんとの会話を終えたらしい林原さんがリビングに入ってくる。


「 こんにちは、夕陽ちゃん。」

「 こんにちは、林原さん。」

「 勉強してたんだ。」

「 はい。 あの!ここじゃ、集中できないから、俺の部屋に行きましょ。」

「 うん、いいけど。」


俺は、手早く勉強道具を片付けて、自室へ移動する。林原さんは、気付いてないけど、母さんが外から盗み見てるし!

俺らがリビングから出る時に、チッて舌打ちしてるのが見えたよ。――てか、母さん何か企んでない?


「 じゃあ、始めようか。」

「 お願いします。」


俺は、問題集に付箋を付けてるページを開いた。付箋の付いてるページは、自分で解いてて解らなかった問題がある。


「 ここは、この公式を当てはめるんだ。」

「 あっそうなんだ。」


林原さんに教わりながら、俺は、問題を解いていく。ちなみに、俺には、イケメンを見ると、激しく緊張するという困った癖があるんだけど、林原さんは全然平気だ。過去に兄貴の後輩だという超イケメンな大学生に家庭教師してもらった事あるけど、緊張し過ぎて、全然授業にならなくて、そのイケメン大学生を泣かせてしまった事があるんだ。


「 全問正解。」

「 ありがとうございました。」


付箋を付けてたページを全部消化して、勉強に一区切りついて、さっき母さんが持ってきてくれた冷たいお茶を飲んで、休憩中。


「 夕陽ちゃん。呑みこみが早いね。僕も教えやすかった。」

「 そうですか? 林原さんの教え方が上手いからですよ。」

「 そうかな? まぁいいか。それより、その林原さんっての辞めてくれないかな。堅苦しくて。」

「 うぇー? なら、そっちも、夕陽ちゃん辞めてや。ちゃん付けされると、恥ずかしい。」


この前まで、男の子だったから、ちゃん付けされると、変な感じがする。


「 恥ずかしいか。じゃ呼び捨てでいい?」

「 うん。じゃ、俺も拓人さんって呼ぶね。」


拓人さんは、照れ笑いを浮かべてるし。

今思ったんだけど、このなんか甘い展開ってさ、この前無理矢理母さんに読まされた少女漫画そっくりなんだけど。


「 って母さん。何しよん?( 何してるの?)」


母さんが、部屋のドアの隙間から覗いてる。 二時間ドラマじゃないんだから、やめてよ。


「 下の名前で呼び合う仲になったんなら、いっそのこと付き合っちゃいなさい。私が許可します。」

「 えーと。そうする?」

「 うん。」


って成り行きで、返事したけどさ。付き合うって、なんでそんな事になってんの? 誰か教えてつかぁさい~。



ハチャメチャな展開で申し訳ありません。

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