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目が覚めたら、女子にされていた俺。  作者: ねこた まこと


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39 彼女が、俺っ子を卒業する時

最終話です。


 3月のある日。俺は、実の両親と双子の姉の墓参りをする為、生まれ故郷の広島県東広島市へと帰ってきていた。

 本当は三回忌法要をやるはずだったんだけど、兄貴の仕事の調整が難しくて、休みが取れなかったのと、例に漏れずに、俺が熱を出したりして、結局出来なくなったんだ。それで今日、墓参りだけでもしようと、いう事で兄貴、平原家へ帰ってきたんだ。あっ拓人さんも一緒なんだ。


「こんな所にお墓があるんだ」

 と拓人さんは、驚いてる。

多分、拓人さんのイメージじゃお墓っていったらお寺の敷地内とか高台の広い墓地にあるイメージなんだろうな。


だけど、平原家の先祖代々お墓は、家の敷地内の一角にあるんだ。

敷地内といっても、家の裏の雑木林の中にひっそりと建てられてる。5つか6つくらい並んでる中で、比較的新しいお墓の前に立つと、気になってた事を兄貴に訊いてみた。

「ねぇ兄貴。母さんから聞いたけど、お墓移すんだって?」

「ああ、ここまで来るんも大変なし。前に話したけど、ここは服部家の所有になるしの」

「うん。そっか」

 俺は、それだけ言って、もってきた花と線香を供え、手を合わせる。拓人さんも、隣で手を合わせてる。

 暫くして、兄貴は1人車へ戻って行った。

 お墓の前には、拓人さんと俺だけだ。

昨日、兄貴にはある”決意"を話してあるから、席を外してくれたんだろうけど、いざその時を迎えると、緊張するなあ。だけど決めた事だから、言わなきゃ。

「あのね。拓人さん 」

「何?」

「俺ね。俺を使うのを辞めようと思うんよね」

「へっ?なんで?」

 拓人さんは、動揺してるせいなのか、まぶたを何度もパチパチとしてる。そんなに、ビックリするような事言ったつもりは、ないんだけどな。

「だって、女の子に戻ってもうすぐ一年経つんよ。じゃけ、俺っ子卒業しようかなって思ったん 」

「そっか」

「あとね。聞いてほしい事があるん」

 と俺は、ブレザーのポケットから一枚の写真を取り出す。多分唯一の家族全員が写った写真かもしれない。

 難しい顔した両親。そんな両親とは裏腹に満面の笑みで、俺と律を抱える中学生の兄貴。あんまり覚えてないけど、三才くらいの頃に七五三か何かで撮った写真だと思う。その写真を見ながら、今まで、誰にも話せなかった思いを吐露した。

「出来たら、生きてる内に話しておきたかった。父さん、母さん。俺の事嫌いだった?生きて欲しくないくらい嫌いだったの?だから殴ったりしたの?だから、罵声浴びせたの?いらなかったんでしょ?

 なのに、服部家からの養子の話突っぱねた。なんで?」

 写真を持ったまま、墓石に向かって、亡き両親へ思いをぶつける。こんな事したって無意味なのは、解ってる。だけど、ずっとずっと胸の奥底に秘めてたモノを吐き出してしまいたかった。

もし、生きてる両親の前なら父親から暴力をふるわれ、母親からは、罵声を浴びさられてたかも。実際、いない相手に話かけてるはずなのに、涙と震えが止まらない。

 だけど、今日ここで宣言するって決めたんだ。

すうっと深呼吸して、お墓に向かって話す。


「父さん、母さん。あなた達にとって、俺いや私は要らない存在だったかもしれないけど、私には、あなた達が必要だった。あなた達が、私の事嫌いでも、私は好きだった。

……私は異質だったけど、きちんと”私”を見てほしかった。

今は、もうあなた達はいないから、あなた達に私の思いは、届かないのかもしれません。だけど、代わりに、今の家族とこの林原拓人さんが、いるから大丈夫。私頑張るからね。見守ってほしい」

 

 と言って、拓人さんに抱きついて、泣いてしまう。

バレンタインの日に、名前の由来を聞いた時とは違う、何かよくわからない感情が、私の中を巡っいく。

ただ、うああ、うああとひたすら泣く事で、過去の自分から"卒業"出来ていくそんな気分だった。






色々ありましたが、連載終了です。次作でも夕陽や拓人は登場します。よろしくお願いいたします。

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