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夢追人の紡ぐ世界  作者: 匠瞳
第1章 「初体験」
3/7

第1章 2 がっこう

3話目です。

おかしな点があればアドバイス募集してます!



「ふぅ、やっと早朝終わったぁ。」


早朝の終わりは微妙というべき感じが一番似合った。

1日の一科目めが終わった。さて、今から6時間の授業やったるかぁ。なんて感じには絶対になれない。一科目めが五十分授業。特進クラスは早朝合わせて7時間。四科目めが終わり、昼食をとり、五科目めと、六科目めを受ける。


「土日にごろごろしてっと、こうも体はなまるもんだよなぁ。」


「昨日も遅くまでラノベ読んでたもんねぇ。ま、あたしも溜めたアニメ観てたから言えないけど。低血圧のタークーにはきついはずよね。」


「あぁ、普通に歩けるのが羨ましいよ。ほい、ピンクがお前の分な。」


「あ、ありがとうねぇ。ごーめんねぇ、日直だったからいつもより早くでちゃって。やっぱり忘れ物してたや。しかも昼のエネルギー源の弁当忘れてたなんてね!アハハ」


「アハハじゃねぇよ。どんだけ食うからこんなでっけぇ弁当箱使ってんだよ。しかも作った本人が忘れるたぁ本末転倒じゃねぇか。」


「だぁから〜、ご・め・ん・ねぇ♡」


白い部位の毛先をくるくる巻きながら上目遣いで謝るサヤ。

妹とはいえ、この美貌でこうもされると、男は堕ちるはずだが、彼氏がいないことに兄としては、性格が悪いのか、アニメ好きがよく見られてないのかもと、妹に対しての不安はなくはない。


「わざわざ1年棟まで来たんだ。感謝はして欲しいもんだよなぁ。今日の家事で手伝ってもらおうか。」


「あ、そんだけでいいんだ。あんがい甘いねぇ。あたしだったらお座りさせて3回回ってお手からワンさせるね。」


「なんか波瀾な高校生活に導きかねない言葉を使うなよ!そのキーワードはM男にやらせるか、映画のワンシーンの話で使えよ。」


「とにかく、ありがとうね。」


―――可愛い。


睫毛が長くて、化粧してるはずのない顔が赤く火照ってるのは何故なのか。

ウィンクする愛らしい長い睫毛と手を後ろに回して前傾姿勢で感謝の意を示す行動は、これまた男を堕とすにちがいない。

なびく髪も、またそうなのだろう。


「お、おぉ。じゃ、HR始まるから、行くな。」


「うん。また放課後ね。」


背を向け、2年棟へと階段を降りる。


「ばぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」

「おぅわぁぁぁぁ!!」


階段の曲がり角でのいきなりの悪戯に勢いよく気持ちのいいぐらいビビってしまった。

足がすくみ、そのまま尻餅、なんと恥ずかしい。

いたずらの犯人は「にしし、」と笑う。

同じ2年の赤い色のエンプレムの刺繍を胸元に持つ、なかなか、いや、かなりのイケメンで、クラス内ではおさまらず、学校内ではうわさの男子である。


「いっててぇ、朝からやってくれるなぁ。低血圧なのわかってやってんのかぁ?」


「早朝はとっくに終わってんだから、目ぇ覚めてんだろ。」


「か〜ちゅ〜はクールなのに、なんでそのままを魅せないかなぁ。こんなとこ見られたら評価おちちまうんじゃねぇ?」


「んなこと気にすっかよ。それより、またサヤちゃんとこ行ってたのか?相変わらず仲のいい兄妹だなぁ。」


か〜ちゅ〜という愛称を持つこのクールイケメンは大城(おおしろ) 克也(かつや)

今年の2年から特進クラスに入ってきた。2クラスの特進クラスで同じクラスになるのは9クラス中7クラスの普通科に比べれば容易いことだが、


「あいつが弁当忘れたから俺が恥を惜しんで1年棟まで持ってったんだよ!わかるか?1年棟に行くのかなり恥ずいんだぞ!!」


「それでサヤちゃんに会えんなら喜んで持っていくけどなぁ。わかってんだろ、あんな美少女がこんな田舎学校に歩いてんだぞ!奇跡だろうが!」


「俺からしたら妹が美少女は結構嫌な目で見られる根源なんだよ。別に嫌じゃねえけど、それで俺が責められても困るっつうか、」


これは妹のせいではない。地味で低血圧で帰宅部な冴えない兄の典型的な末路なのだ。


妹とかけ離れた距離、漫画やラノベでよくあるパターンの兄だ。それがまさか自分になるとは、中学2年になるまでは思いもしなかった。


中二で何があったのかは、学校を卒業した後に起きた話だ。

タクトが3年生になり、卒業した後に学校を去り、サヤが高校3年生になる手前の約1週間の間に、妹は急に有名になった。


それまではまだ黒髪を伸ばし、おでこの左側に髪をピンクのピンどめでとめ、いかにも清楚でとくにスポットを浴びるほどではなかった。


だが、美貌は健在であり、確かに注目は浴びそうなままだったが、引っ込み思案だったため、やはりそこでは目立てなかった。


なぜなら、コミュ障だからだ。


アニメ好きで、学校が終わればすぐに帰宅し、溜めたアニメや買った漫画やラノベを堪能する中学生活。高校でもそれは継続しているが。


遊ぶ友達もいなく、学校でも部活はやっていなかった。それでも運動神経は良かった。なんとも、よく出来てない世界だと兄は時々空をみて馬鹿みたいに叫んでた。ここらへんは似たかもしれない。


とにかく、急に有名になるには要素が足りない。

一体1週間の間に何があったのか。


―――を、誰も話してはくれない。


妹ですら拒むその内容は、知りたい欲で掻き回された。だか、そこは兄妹。プライバシーは守りたい。いや、兄妹だから、追求すべきでは?と、考えたこともあるが、追求した時は泣き顔を見てしまったので、それ以来何も聞いていない。


「ま、可愛い妹を持つ末路だ。わかりきったこったろ。」


「変に開き直るのかよ!しかもお前が!」


キーンコーン、、、キーンコーン


「お、HR五分前だな。妹はまた放課後だ!それまでは俺も一緒に我慢してやるから。なっ!」


「あたかも俺が妹を欲してるような言い分やめろよ!」


階段を降りながらボケとツッコミでキャッチボール。仲の良さが見受けられる。


キーンコーンカーンコーン、、、キーンコーンカーンコーン、、、


「さて、今日も平凡に、楽しく人生の一部を楽しみますか。」


鼻歌交じりに窓側の席に座り、肘をつき手に顔を乗せ、今日も晴れた日だ。と、窓の外の真っ青なスカイブルーの空を見る。


「さて、今日も平凡に、楽しい人生の一部を楽しみますか。」


一文字違いに


同じ空を、


真っ青なスカイブルーの雲一つないその空を





煌びやかな美貌に染められた妹と




ひたすら凡に取り憑かれた兄が





今日も同じときを刻む。


―――キーンコーンカーンコーン、、、、

聞き慣れた心地よい鐘が鳴り、

朝のHRが始まった。




学校が、始まった。








3話目です。

おかしな点があればアドバイス募集してます!


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