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異世界おこし  作者: 西哲
一週間だけの異世界旅行
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間の日.1 兄と妹

 会長さんと僕、父さんとで異世界(ヴェストラ)旅行の話し合いは決定となった。

 母さんから付けられた条件に、真琴の夏休みの宿題を出発前までに終わらせるという課題は残った物の、時間的な余裕はまだある。


 まずは……と、テーブルに置いたカレンダーに今日の日付、八月二十日に丸、イベント発生と書く。


・夏休み終了日、この日までにすべて終わってる事!

 八月三十一日に星マーク、夏休み終了。


・明日、明後日で真琴の宿題を終わらせること。

 八月二十一日、二十二日に怒りマーク、宿題!


・出発前日に必要な物を用意する。

 八月二十三日に二重丸、買い出し。


・出発当日は朝七時に庭で転移を行う。

 八月二十四日に花丸、七時 出発。


 出発時間が早めなのは、父さんが見送りたいと言ったのと、異世界(ヴェストラ)の二の刻に合わせての事。

 会長さんから、三の刻までに宿や学舎に案内して貰う予定になっている。


「…………」


 そう、僕達が魔法を習いたいと言ったので、会長さんは街の学習塾みたいなところを案内してくれるらしい。魔法を習うだけじゃなく、他の子供達と交流が出来るように、座学や、体術の授業もある。

 午前中の涼しい時間は学舎で勉強の時間に充てると聞いた両親は、遊びばっかりじゃないなら安心出来ると言ってくれた。


 アクアルムの街での一日はこんな感じになる。

 二の刻、朝食、学舎へ向かう

 三の刻、学舎で勉強

 五の刻、昼食

 六の刻、街や領内で遊びや散策

 八の刻、宿で夕食

 九の刻、就寝


 基本このスケジュールで六日間、最後の一日は自由に過ごして良い事になっている。


・帰還日、お世話になった人達にお礼や、お詫び等があったら必ず済ませておく!

 八月三十日にもう一度花丸、八の刻、十八時に帰宅、イベント終了。


「これでよし!」

「お兄ちゃんっ!」


 うわっと、書いてる油性ペンを落としそうになって慌てて摑まえる。

 真琴が頬を膨らませて怒ってる。


「どうした、真琴?」

「もー! さっきの話! ルースア君の事教えてって!」


 美形の、魔法が使える異世界人と言うところで凄く食いついてきた真琴。

 ルースアに水浴び(せられ)した後に、魔法で乾かしてもらったり、回復魔法を使って貰った事を言うと、目がキラキラしてた。

 前々から思ってたけど、小学六年生なのに真琴は随分と子供っぽい。僕と違って早生まれだから、学年の中でもかなり小さい方らしい。前に学校の事を聞いた時は、クラスにお姉さんがいる!って言ってたぐらいだから可愛がられてるとは思うんだけど。


「そんな事言ってもなぁ、魔法を使える事と、衛兵の見習いみたいな感じだったとしかわからないからなぁ」


 ルースアとはからかったり、からかわれたりしたばっかりで、個人的な話をした記憶がない。

 僕からは異世界(ヴェストラ)の事や、動物、魔法の話をねだっただけな気がする。

 ルースアからすると珍しい地球人の事も聞きたかったんじゃないかな。今度会ったらもう少し話ししてみよう。


「そんなに知りたいなら、向こうの世界に行ってから聞けば良いんじゃないか? 気分屋だけど、人と話すのは好きみたいだから色々話してくれると思う」

「むー、わかった。ちゃんと紹介してよね」


 真琴はさっきから口ばっかりで、手が動いていない。算数の計算なんて、一つずつ進めていけば終わりが見えるのは早いと思うんだけど。

 でも、完全に手は止まっている状態は良くない。宿題が終わらないと、異世界(ヴェストラ)行きが駄目になってしまうからだ。


「真琴、今日の分終わったら、異世界(ヴェストラ)の事について教える。まずは手を動かすんだ」

「わかったー!」


 集中力の続いている状態の真琴は、勉強も良くできるらしく、ちゃんと問題を解いていっている。

 ただ、間違えている所もあるので、それを幾つか注意すると空気が抜けたように気が緩み、口が動くようになってしまう。

 真琴は学校の授業だとちゃんと出来ているんだろうか?


 僕は真琴の集中力を引き出させるため、異世界(ヴェストラ)での話を少し入れて、再び宿題に取り掛からせる。


 翌日もそれが続き、宿題が終わるまでには、僕の知ってる異世界(ヴェストラ)のことは洗いざらい話してしまう事になった。

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