一日目.19 日記
八月二十四日 ヴェストラ一日目
朝食を食べた後、会長さんが家に来て、庭で転移陣を書くのを見ていた。
真琴が魔法と祝詞について、教えてもらっていた。
『神の間』で、オモヒカネ様とアマノウズメ様にお会いして、神隠しについて教えて戴きました。迷い込んだ人を送り返してもらって、日本の神様達がヴェストラの神様に感謝してるとも。オモヒカネ様にヴェストラで過ごすのに力を授けて戴いた。
真琴には魔法の力と、宿題に空を飛ぶ魔法を覚えること。
アクアルムに到着して、領主様に服とお金、宿屋を手配してもらった。
真琴の服はルーシア様のもので、お会いしたらお礼を言おう。
◎用意して貰ったお金 五〇〇ヴィ
宿屋はベネディクトゥスで、受付はペルラさん。面白いお姉さんだけど、ちょっと意地悪みたい。
真琴がペルラさんにからかわれて、怒ったり泣きそうになったりしていた。
学舎まではマルケスに案内してもらった。今度会ったら、ちゃんとお礼を言おう。
学舎で友だちができた。男の子がロルダン、セベロ、レナト、エミリオ、ビト。女の子がベルタ、ノエリア、レイナ、テクラ。皆良い子で、とても楽しい。
真琴が新しい魔法を考えると言うと、セベロ、レナトが協力してくれると言っていた。
僕がこの世界をもっと知りたいと言うと、ミレイア先生は喜んでくれた。全員から歓迎されたのは嬉しかった。
オラシオ先生の魔法の授業では、まるで手品みたいに色々な種類の魔法を見せてもらった。生活にあったら便利な魔法が多くて、魔法が特別じゃない世界って、面白いと思った。
パストル先生の体術の授業では、木剣を初めて握った。ちょっと重かったけど、振るとブオンと音がしてびっくりした。授けてもらった力が大きくてそうなったみたいだ。
授業を長く受けられないと言うと、護身用の短剣を練習をさせてくれた。
勝手な動きをして叱られた。
体力づくりのために、中庭を何周も走った。
途中でノエリアが回復魔法をかけてくれたので、少し休憩してまた走ることが出来た。
お昼、エミリオに誘われて皆でフォンス・フローレスへ食事に行くことになった。
途中、レイナがルーシア様の事をたくさん話してくれて、退屈しなかった。
フォンス・フローレスは女の子が好きそうなお洒落なお店で、僕一人だったら多分入れないと思う。
エミリオが予約してくれて、オープンカフェの席が用意されていた。
調子に乗って、夏休みの自由研究『記憶と五感』を披露してしまった。恥ずかしい。
文字が読めなかったので、僕の注文はレイナに、真琴の注文はエミリオにお願いした。
運ばれてきた料理はペスカトーレで、貝やエビ、イカが乗っていて、とても美味しかった。
フォッカッチャのサンドイッチはハムの塩味が効いててとても美味しかった。
食事の間に、栄養について話をした。知らない話だったのか、オープンカフェにいた人がたくさん集まって聞いてくれていた。
エミリオが店長さんを連れて来て、お客様が喜んでくれたからと、お土産を貰った。
レイナにもお土産があったけど、具合いが悪いようなので、テクラがそのまま連れて帰った。
真琴が紙とペンを買うのに、サムエル商店に向かった。ここは安く買える所で、有名なお店らしい。
入り口の大きな扉がとても軽くてびっくりした。
ここでも店長さんが出てきて、扉の話をしてくれた。
ちょっとしたことがあって、店長さんと仲良くなり? 皆が割引で買えることになった。
エラゾーレはインクを消せる液体、地球にもないと思う。
◎使ったお金 粗紙五十枚、ペン二本、筆一本、インク一壺、エラゾーレ一壺 一四五ヴィ
噴水広場で休憩。皆に安くでお薦めなお店を聞いたら、思った以上にあって持ち回りで教えてもらうことになった。明日からのお昼も楽しみだ。
真琴がセベロとレナトにペンの使い方を習っていて、それを覗き込んだ僕がノエリアにのしかかってしまった。
ノエリアには謝ったけど、なかなか通じなかったみたいだ。謝り方も考えないといけない。
ベルタに誤解させて、真琴に怒られた。
真琴の鞄を買いに、アンヘル商店に行った。ログハウスのお店で、代替わりの度に建て替えているようなお店と説明された。地球人が関わったことがあったらしくて、靴や鞄の職人さん達を競争させて値段を下げさせたり、種類を増やしているらしい。
真琴はここで鞄を購入。
僕は風呂敷でバッグを作ると、また人が集まってしまった。
◎使ったお金 真琴の鞄 七〇ヴィ
アンヘル商店を出ると、エミリオと仲違いしそうになったので、少し時間を置くことにした。
宿屋への道がわからなくて、露店で暫く時間をつぶす。
野良のキャットがいたので、露店のおじさんにドッグもいるのかと、話を聞いてみた。
話をしてもらったお礼に、リンゴを二つ購入。
◎使ったお金 リンゴ二個 一ヴィ
露店のおじさんに教えてもらって宿屋の大入口に到着するも、宿屋が多すぎて途方に暮れてしまう。
文字は早く読めるようになった方が良いみたいだ。
ベネディクトゥスからレイナが迎えに来てくれた。レイナはペルラさんの従姉妹らしくて、代わりに迎えに来てくれたらしい。助かった。
レイナが帰ってからの事を話すと、噴水広場の事で怒られた。理不尽だ。
レイナは風呂敷バッグに興味を持ったようで、これから部屋に戻ったら教えることになった。
ベネディクトゥスに戻るとペルラさんに真琴が抱きしめられて動けなくなってた。
レイナを連れて部屋に行くと、緊張してたので折鶴を折って見せた。ちょっと落ち着いたようで、僕もホッとした。
レイナが風呂敷バッグを作る結び方に苦労していて、手伝おうと手を添えたら、真琴に怒られた。
レイナが風呂敷バッグが出来ると、とても喜んでいた。
丁度、川に夕陽が射して、一番いい時間だったらしいので寝ていた真琴も起こして、皆で観賞する。
レイナがこの景色を黄金の川面と言っていた。
何故だか急に真琴とレイナが仲良くなってた。
レイナに風呂敷とリンゴを持って帰ってもらって、別の風呂敷を貰うことにした。
夕飯は麦飯と、鳥の骨付きもも肉をトマトで煮込んだ物、ポタージュスープ、サラダ。
とても美味しかったので、また食べたいと思った。真琴も美味しいと言っていた。
ペルラさんに風呂敷バッグと折鶴を披露したら、一時間ぐらい食堂で実演と教えることになった。指がとても疲れた。
部屋に戻ってきて、真琴とお土産のリンゴのタルトを食べた。
食堂で貰った飲み物は冷えた麦茶で、なんだか懐かしかった。
寝る前に、真琴と明日以降のルールと、予定を決めた。
◎使ったお金 二一六ヴィ
◎残ったお金 二八四ヴィ




