最終話
その日の夜は月が満月だった、そしてふと思ったことがある。
このエルとの生活がいつまで続くか・・・
俺とエルが出会ってまだ2日目だけど、俺たちはまだ互いのことを知らないのである
そしてそんなことを思いながら瞼をゆっくり閉じていった...
―3日目の朝―
そして次の朝いつものよう・・・・
「ん???」
なぜか俺の布団の中が温かいぞ、どうしてだ?
「むにゃむにゃ....」
「あっ、おいエルなんで俺の布団の中に入ってるんだ?!」
なぜか昨日の夜ベットの中で寝ていたはずのエルがいた
「おはよぉ~」
「おはよう」
そして自分は反射的に朝の挨拶を交わしていた
「いや、そうじゃなくて。なんで布団の中にいるんだよ」
「ん?」
「ん?じゃなくて・・・。昨日ベットで寝てなかったか?」
「だって...」
「???」
するとエルは戸惑いながら顔を赤らめていた
「あのね、昨日私がベットで寝ていたら落っこちちゃったの。そして拓也の布団に落ちたら拓也が抱きついてきたの・・・覚えていないの?」
そして時間がどのくらい止まっていたのだろう、あまりの突拍子のないことに思考が追い付かなかった。
「え、それはその、あのー・・・」
「ごめんなさい」
もうこっちに非があるとしたら謝罪するしかない
「いやいいの、そんな謝らなくても」
エルはなぜかニコニコしていた
「そうか・・今度からは気をつけるよ」
「うん、お尻触ったことも許してあげる」
「うぇっ!??」
「まじか、俺そんな大それたこともしていたのか!?」
「無意識とはいえこれはどうにかしてお詫びしないと・・・」
「いいのよ!私が最初に落ちたのが悪いんだし」
「いや俺の気が済まない、なんかお願いごととかあるか?」
「んー・・・・」
彼女は少し悩んだ末に言った
「じゃあ、*******のアイスが食べたいな!」
「おう、ん?なんで*******のこと知ってるんだ??」
「えーと・・・・。」
「こ、公園から見えたんだよ!」
「ああ、そうなのか」
「そう!」
「分かったじゃあ今日一緒に行こうか」
この時深く考えなかったが、アイス屋といっても公園から遠いし、家からも正反対だったのである
そして今日の朝食をとるために簡単なものを作った
そして食べ終わったところで姉が部屋にいるか確認して玄関に降りていった
「よしエルいいぞ、てっ」
「そういえばここに最初来たとき靴を履いてなかったのか・・」
「じゃあ姉のだがこれを履いてくれ」
「うん」
そして玄関を出てまぶしい太陽を浴びながらアイスリーム買いに向かった
その道中できれいな花を見つけた
あとで調べたらその名前はアスターという花だった、花言葉はこう書かれていた「変化」「追憶」。今思うとそれが未来からのサインだったのかもしれない・・・
そして俺とエルは、ちょっと古風な赤い橋が架かってある近くの河川敷で疲れたので休憩を取った
そしてエルは腰を下ろすと足を伸ばし手を後ろについた
「ふふ、なんかここいいよねー」
「そうなのか?もしかしてエルが記憶喪失の前にここに来たことあるとか?」
「そうかもしれないね」
エルは前を見据えたま、すこしせつない顔をしていた
「ふーん」
そして12時ごろになってきたのでそろそろ目的の地を向かおうと腰を上げた
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「はーい」
そして目的地のアイス屋に着いた
「なんだ、アイスてこんなに種類があったのか。エル、何が食べたいとかあるか?」
そしてエルはメニューに載ってる写真のアイスと睨めっこしながら探していた
「じゃあ、これ」
そしてエルが決めたのはストロベリーフルーツアイスだった。それで俺も頼もうと無難にチョコアイスを選んだ
「すいませーん!ストロベリーフルーツアイスとチョコアイスを一つずつください」
「はいSFIとCIですね、合計で630円でございます」
アイスの略し方にも驚いたが、最近のアイスてこんなにも高いのか・・・
そして横目でこちらを見ているエルは心配そうに眺めてきた
「大丈夫、心配ないよ」
「ほんと?」
「ああ、それよりそんな心配していたらおいしいアイスもおいしく食べられないぞ」
「うん!」
「そうだそれでオーケーだ」
そしてエルは待ちきれない子供のように座っていた
「お待たせしました、SFIとCIです」
「はいどうも」
受け取ったアイスをエルに渡すとありがとうと言ってストロベリーにのってるブドウを先に食べた
「おいしい!」
「よかった、じゃあ俺もいただこうかな」
そしてチョコを一口食べてみると中にチョコチップが入っていた
「うん、うまい!」
「おいしい?」
「おいしいよ」
するとエルはチョコを欲しそうな顔をしていた
「食べるか?」
「いいの?」
「いいよ」
「じゃあ私のアイスもたべて」
「そうするよ」
そしてお互いに一口ずつ食べあった
「あんまストロベリー食べないけどこれおいしいな!」
「拓也のチョコソフトもすごくおいしいよ!」
「また来たいな」
「そうだね・・、うんまた来たいね!」
「どうしたおなか壊したのか?」
「ううん、違うよー」
「?」
今日の朝からいつもと様子が違うが何かあったのか
「また食べに来れると思ったらうれしくて」
なんだそういうことか、そんなに喜んでくれるんだったら来月は無駄遣いを減らさなきゃな
「ああまた連れて行ってあげるさ」
「うんまたね」
「じゃあこれを食べたら帰るか」
「うん!」
それからすこしでも記憶を取り戻せるよ公園寄ることにした
そして公園に着くと子供が遊び終わって帰っていった
「ここで俺とエルは出会ったんだよな」
「そうだね、私がここで、ここの大きな木から落ちてきたんだよね?」
「そうそう、あの時はフードの中に何が入ってるかひやひやしたんだぜ」
「そうなの?」
「ああ宇宙人がなかにいるのかとねー」
「ひどいー!」
エルはふっくら面になってプイッとした
「ごめんごめん!でもこんな美少女でかわいくてよかったと思ってるよ」
「え、ほんと?」
「うん」
満更でもなさそうに照れていた
そしてエルが言った
「拓也に見つけてもらえて嬉しかった」
「まあ、他に変な奴に発見されるよりかマシだな」
するとエルは首を横に振って否定した
「ううん、違うの。また会えてうれしかったの」
「え・・?また会えて?」
「何言ってんだエル?」
「ごめんね拓也困らして」
そしてエルは決心したように語った
「あの実はね、私と拓也は会っているの。といっても私の記憶じゃないんだけど」
「会っている・・・・?それに自分の記憶じゃないって・・・」
「あのね拓也信じられないかもしれないけど落ち着いて聞いてほしいの」
俺はうんと言わず首を縦に振った
「実はいうとね昨日の夜ふと誰かの記憶が流れ込んできたの。それから、その記憶が今の私のじゃないってのも」
「その内容が、拓也の子供の頃に一緒にいた私と、社会人になった拓也と結婚している私だったの」
「で、そ、その内容と今が関係があるんだよ夢かもしれないだろう?」
「ううん違うの」
「だって俺らまだ出会って3日しかたってないんだぜ、しかも俺は子供の頃にエルにあった記憶なんてないし・・・・」
「例え会ったとしてもこんな可愛くて銀髪の女の子だったらすぐ思い出すぜ?」
「そう、会ったことがなくて当然なの・・」
「じゃあ・・・」
「ねえ拓也パラレルワールドて知っている?」
「パラレルワールド?」
「そう並列世界のことを言うの」
「ああ・・確か俺たちの世界とは別の世界があるってことだよな。でもそれって漫画とかでの話だろ・・実際にあるわけじゃないんだし・・」
「いや違うの。私が見た夢では意志があって体の感覚があったの」
「でも、寝ているときに自分が夢の中で意識があるってのもあるんじゃない?・・」
「違うの・・・・夢でも夢じゃないの・・・ち、血の匂いがしたの・・」
「血?」
その時、背筋がぞくりとする感覚に陥った
「そう、子供の頃夏祭りの屋台で私と拓也が人気のない神社の階段を上ろうとした時、私の足が滑ってその時落ちそうになった私を拓也が助けてくれたの。でも、その時拓也が私を助けたせいで拓也が階段を滑って落ちていったの・・・」
「それで・・・・」
「それから私が駆け寄っていくと拓也がピクリとも動かず血を流して・・・・し、死んじゃったの・・・」
「え・・・」
「それに他の拓也と私の夢でも、死に方は違うけど拓也が私を助けて死んじゃったの・・・」
「そんなのって・・・冗談だよな??・・」
「と思いたかったんだけどその時の空気、肌触り、匂いとか音とかがリアルだったから嘘だと思えないの・・」
するとエルは涙を流して顔をくしゃくしゃにしながら謝った
「ごめんなさい・・・・」
俺はエルから聞いた夢の話が信じられなくて、しかも自分が死ぬ?ははそんな話されても信じられるわけ・・・
「ごめんなさいってなんだよ・・・なんで誤ってんだよ・・。それと今がどう関係あるっていうんだよっ!!」
なぜか俺は怒鳴ってしまった今更後悔したと思っても感情が止められなかった
「だって、だって!!拓也がこの世界でも死ぬかもしれないじゃない!」
そしてうすうすそうなのではないかと思っていたことを言われ、ついにその場から逃げだしていた
「拓也っ!」
そして俺はその場から逃げたい一心にただ道を走っていた
そして歩き疲れて辺りを見渡すとそこはあまり通らない道だった。
あたりはもうオレンジ色に染まっていてどうして俺は逃げ出してしまったんだろうと思った
例え自分が他の世界で死んだとしてもエルは何も悪くないのにあのまま公園にエルをただ一人おいてきた自分を不甲斐ないと思った
「なにやってんだろ俺・・・」
そして俺はエルに謝りに行こうと元の道を戻ろうとした瞬間、アスファルトが微妙に揺れていた。そして次の瞬間大きな揺れに変わった
「なんだ?!地震か!」
いったん、地震がおさまるのを待つために近くの塀の下で屈んだ
そして4分後地震がおさまるとエルのことが心配だったので逃げ出した時よりも早くエルの所に向かった・・・・エル無事でいてくれ!
そして公園に着くとそこにエルの姿はなかった・・・
「くそう、どこにいるんだ!エルーーっ!返事をくれーーー!!」
俺はエルを呼ぶために必死に声を張った
「ここにはもういないのか....」
そしてエルを探すためアイス屋のほうへ向かった
その向かう途中町は大変なことになっていた
電柱が折れているところもあれば、家が崩壊しているとこもある、それに地面のアスファルトも凸凹になっていた
「あっ!エル!!」
そしてエルは一人さみしく河川敷の所でうずくまっていた
「何やってるんだ!こんなところにいたんじゃ危ない!」
「拓也・・」
「早くいくぞ!」
するとエルは拒むように首を振った
「どうしたんだ?」
「だって拓也怒っているでしょ・・・?」
「エル・・・」
「いや怒っていないよ」
「ほんと?」
「ああ本当さ」
「ごめんね...」
「なんでエルが謝るんだよ」
「だって・・・」
「俺はエルを一人置いていった・・だから悪いのは俺だ、ごめん・・・」
「拓也・・」
「これでいいんじゃないか?だから、さあ安全なところにいこ」
「うん!」
エルはいつものニコニコしている顔に戻った
「じゃあ行くぞ」
「うん」
そして俺たちは学校の避難所に向かうことにした・・・
富姉も無事でいいが・・
それから10分ぐらい歩いているとエルが突然
「ありがとう」
「どうしたんだいきなり?」
俺はこんな非常事態に変なことを言うエルを笑った
「だって、拓也は拓也だなって思って」
「どういうことだよ?」
「あのね、拓也はいつもやさしくていつも心配してくれるから」
「そうか~?あんま言われたことないけどなそういうの」
「皆思ってるけど、恥ずかしいからいえないだけだよ~」
「じゃあ今、エルは恥ずかしい?」
「ん、拓也のイジワる~」
「ごめんごめんって」
「知らないっ」
エルはプイッと顔を横にしてしまった
「あ、本気で怒ってる?」
エルは反応しない
「ごめん!今度アイス2つ奢るからさ~」
するとエルは
「女性がものでつられると思ったらいけないのよ」
「でも、アイスは2つはいらないけど次にローズソフト食べたい」
「うん分かったよ、ローズソフトね」
機嫌を直してくれてよかった。で、ローズソフトの場合やっぱりRIになるのかな?
「じゃあ学校ももうすぐだし行こうか」
「うん」
そしてその時だった、さっきの震度とは比べものにならないぐらいの揺れが突如押し寄せてきた
「エル!!大丈夫か!?」
「私は大丈夫!」
そして地震の揺れは酷かったもの長くは揺れなかった
「さっきに揺れはすごかったな」
「大きかったね」
「じゃあここに長居するのも危険だし早く避難所にいこう」
「うん!!」
そして遠目に学校が見えてきたところで
「あそこが避難所だ」
「あれが拓也の学校?」
「そうだ、そういえば話したことしかなかったんだよな」
「でも学校はどんなところか思い出したよ」
「へぇ~、じゃあこれから知識に困らないな」
「どうかな?~」
「まああと少しだし行こうか」
「そうだね」
そして目的地まで歩いて15分前のところで突然また地震が起きた、でも今回はさほど大きくなかった
「エル、そこの橋に掴まってろ」
「俺はこっちに掴まっているから」
今は安全のために下手に動くことは好ましくなかった
「長いな・・・」
「拓也~そっち行っていい?」
「だめだ!まだ地震がおさまってない」
「わかった!」
そして地震で揺れている最中に突然近くの電柱が倒れてきた、そしてその電柱からの電線が今にもエルに襲いかかろうとしていたので、自分は咄嗟にエルを押し倒してエルに電線が触れるのを防いだ
しかし、防いだはいいものの今度は自分がその電線の獲物になっていた
「拓也ー!!」
そして次の瞬間電線の先端が皮膚に触れて拓也は倒れてしまった
「たくや・・・・・?」
しかし返事はない
「拓也!拓也!!拓也ぁーー!」
夢で見たことが現実となってしまって私はボロボロ涙を流していた
なぜこんなことになるのか私は拓也を死なせたくなかった、だから今日そのことを話したのになのに・・・未来は変わらなかった
「神様...どうか拓也だけは助けてください!どうか拓也を助けてください...」
すると拓也の体から黄色い光があふれてきてそれが拓也を包み込んでいる
「拓也・・?」
「エル・・?」
「良かった生きているのね・・」
エルは涙をボロボロ流しながら良かったと繰り返しつぶやいていた
「神様ありがとうございます・・・これで恩返しができた・・」
「エルどうしてそんなに嬉しそうなんだ・・・?手が薄く見えるぞ・・」
俺はさっき電線の電気を受けて死んだはずなのに、不思議と生きている。しかし思考が鈍く視界も悪い
「私、拓也と会った時記憶はなかったけどこの人だって直感で思ったんだ。だから・・・こうして一緒にいれてすごくうれしかったの・・・だから・・」
「なに言ってんだ・・・なんでそんな泣いてるんだ・・・、またアイスを食べに行くんだろ・・」
エルがこの先言うことを聞きたくなかった、なぜなら俺が助かったのはエルのおかげだととある夢で知ったから
「だから行かないでくれ・・・!頼む!お願いだ・・・」
するとエルは消えかけている体で最後にこういった
「だから私と出会わなければ良かったなんて思わないでね・・・・私、拓也のことが好きだったの・・・」
そして俺は顔が崩れるくらい涙を流しながら届かないかもしれない言葉を伝えたかった
「言うもんか!俺もお前のことが・・・・」
その瞬間、エルという人物が居なかったかのように消えた
「好きだ・・・・」
そして俺は叫んでいた
なぜこんなことになったのか、結局は俺がエルを殺したんじゃないか!あの時そこに居ろなんて言わなければ・・・っ!
そしてこの地震では多数の死者と多くの建物の損害がでた、姉はというと友達の家にいて最初の地震の後、近くの避難所に行ったので無事だった
それから一年――
俺はエルの墓をきれいな花が咲いてるところに作った。そして俺はあの時のことを悔やんでいた
「エル...」
「俺が自分勝手なことで怒ってお前を危険な目にあわせてしまった・・・」
「そしてエルは子供の時も階段から落ちて死んだ俺を生き返らしてくれたんだよな・・・」
「エル、ごめん...俺は....」
すると突然風が吹いて、花びらが頭上を舞い飛んでいった。
それがなぜかそんなこと気にしないでと言ってるようだった
「エル・・・」
それから俺はお墓の掃除をしてなんとなくエルと出会った公園に寄った
もう午後5時をもまわっていたので人の気配はなかった
そしてエルが落ちてきた大きな木の所まで行ってふと気を見上げた
すると木の枝に何かが括りつけてある
それを取ると手紙だった、内容はこう書いてあった
拓也へ
これを読んでいる頃は私はもうこの世にいないでしょう、そのこで拓也が自分を責めていると思うので私はこの手紙を書きました。拓也と出会う前、その頃の私は違う世界で拓也に助けてもらい生きられました。でも、拓也が死んでしまって私はすごい後悔をしてどうしたらいいのか路頭に迷っていました。すると私はとある情報で他の世界を行き来できる道具があると聞いてその場所に行きました、するとそれは機械のようなものでそれを使うと別の世界にいけるということで早速使ってみました、でも使用の際は注意事項がありました長い内容なので省きます、それで私は拓也が子供の頃の世界に飛んでいきました、するとその世界は拓也も聞いた後だと思うけど夏祭りの屋台の近くで事故を起こして拓也が私を助けようとして死んだところだったので、それで小さい頃の私は神様に願って拓也を助けてくださいって言ったの。すると、神社の石が光って拓也が生き返ったの。それを見た私は拓也を死なせないために拓也のいるこの世界に来たの、でも並列世界を行き来した負担が記憶消失とか幼くなったのに影響したのだと思う。だから、私は拓也に助けてもらってるから拓也は気にしないでください。以上で手紙を終わります、あと最後に恋人を見つけ幸せになってください
そして手紙は終わった...
「気にするなとか・・・恋人を見つけろとか・・、無理に決まってるじゃないか・・っ!」
「俺はもう・・・お前以外に好きな人がいないんだから・・・」
そして俺は手紙に書いてあった並列世界を行き来できる機械を探すために大学を出て、貯金して、旅に出た