2話
そして翌朝、カーテンの隙間から出た太陽の光に起こされ布団からでた
ベットの上ではエルがすやすやと気持ちよさそうに寝ている。
「んー、やっぱり昨日のことは夢じゃないんだ・・・」
とても昨日の出来事が信じられなくて自分はエルの顔に視線をやった
「そうか、、現実だよな。これからどうすっかなー」
昨日、明日どうにかすると言ったものの自分は学校だしエルを連れて行くわけにもいかず、結局は家に留守番させるしかないのか
すると、2つ隣りの姉の部屋から嘆声が聞こえてきた
「ない!ない、お気に入りの下着と先月買ったシャツがない!」
あ、マズい。適当にと思ってパンツとシャツ借りたが、運悪く姉のお気に入りだったらしく今日の朝一で見つかった・・・
「おっかしーな、確かにここのタンスにしまったんだけどな」
やばい、このままでは俺の部屋に突撃してくることは必然
なんとかしてエルを隠さなければっ!
すやすや寝ているエルに悪いが起こさせてももらう
「おーい、エル起きてくれー」
するとエルは何?という感じで目をこすりながらこちらの顔を膨れっ面で見てきた
「起こしてすまないが、姉がこっちに来るかもしれないんだ。それで見つかったらまずいから、そこの押し入れにに一時的に隠れてくれないから?」
エルは、場の緊張感を理解したのか頷いて押し入れに入ってくれた
「よし・・・これで大丈夫か、あと布団が二つあるのもおかしいから直しとこう」
直し終わって、取りあえず平静を装うと本棚の漫画を一冊抜き出して読んでいるふりをした
そして案の定、姉がこちらに向かってくる足音がした
ガタン
そして昨日の夜からの続き、第二ラウンドの幕を開こうとしてた
「ねぇ、拓也昨日私の部屋に来たでしょ?その時私のシャツと下着見なかった?それかあなたまさかと思うけど・・盗んでないよね?」
姉は、本当にその下着がお気に入りだったららしく。昨日部屋に入った自分が犯人かもしれなと疑っている・・・、いや実際に自分なのだが
「いやぁ、そんな下着おれは知らんよ」
「嘘じゃないでしょうね?!」
「本当だよ、昨日は漫画の続きが気になって富姉の部屋に入ったんだよ。そんな姉の下着を盗むような変態になったことはない!!」
いや、エルのためとはいえ下着を盗みました
「んー・・・・」
「じゃあ見つかったら教えてよね」
「分かった、それで下着はどんな柄?」
「ん~、拓に教えるのは不本意だけど仕方ないか・・・」
「オレンジ色の花柄のやつー」
「分かったあったらいうよ」
「うん、じゃあ」
そして姉は納得したのか部屋から出ていってくれた
「ふぅー・・」
「エルー、出てきていいぞ」
エルはゆっくり押し入れを開け出てきた
「お姉ちゃん起こってたけど大丈夫なの?」
「まあな、今のところは。でも早めに返さないとまずいかも」
「じゃあどうするの?」
「今日俺が学校行くから、その帰りに下着と上下買っとくよ」
「ごめんね拓也・・・」
「いやいいよこのぐらい、俺がエルの面倒みるって決めたしな」
「拓也優しいー、ありがとう」
エルは、親が子供にやさしく見つめるような慈顔を向けてきた
その顔を見ているといままでの苦労が嘘みたいに飛んでいく
「それで今日の事なんだけど、朝は俺が朝食を上に持ってくるから・・って食事とれるか?」
そういえばエルが、何者かを知らない自分はエルが本当に人間なのか疑問に思った。あの光がエルだとすればエルはいったい・・・
「大丈夫、ごはん食べれる」
「そっかー、なら俺が持ってくるから待っててくれ」
「うん」
そして俺はキッチンで簡単にパンにエッグをトーストし、その他にいろいろと種類を作って二階の自分の部屋に戻った
「うわー、おいしそう」
エルは目を輝かせるようにさっき作った料理を眺めていた
「簡単なものだけど、朝はこれぐらいが丁度いいんだ」
「食べていい?」
「ああ」
そしてエルは、まずエッグトーストから口にした
「うまい!」
「本当か!?」
「うん!この卵の周りにあるマヨネーズが甘くておいしい」
「じゃあ俺もいただこうかな」
「そうしよ!そうしよ!」
そしてエルは次にパンにトマトケチャップを塗ってその上にピーマン、玉ねぎ、ベーコンを乗せさらにガーリックチーズを乗せたピザパンを口にした
「んん!?おいしい!」
「おお!よかった~」
「さっきのエッグトーストもおいしかったけど、このピザパンもおいしいよ!」
俺は自分が作った料理でエルがすごい喜んでくれてとてもうれしくて気持ちが弾んだ
「それじゃ、エルは食べてていいから俺はそろそろ学校に行くよ」
「さっきも言ってけど学校てなに?」
「ん?・・さっきから気になったんだけど、知っている言葉もあれば知らない言葉もあるんだな」
エルは、申し訳なさそうに顔を俯いた
「いやいやエルが悪いんじゃないよ、記憶喪失だから仕方ないよ」
エルはすこし元気を取り戻したのか笑顔で頷いた
「それじゃー学校についてだけど、簡単に言うと俺たちみたいな子供が社会に出るために勉強をするんだよ」
「分かったか?」
「うん・・なんとなく」
「まあ俺はその学校に行かないといけないから、エルはこの家で留守番しててくれ」
「え~、エルひとりぼっち?」
「うん・・・」
「いやいや大丈夫そんな長くならないから」
「分かった・・・」
エルは悲しそうに返事をした
「まあ両親は海外で仕事してるし、姉は7時まで帰らないからトイレとかしたくなったら勝手に使ってくれ」
「うん」
「よし、じゃあすぐ帰るからお利口さんにしてて」
そして玄関に降りて靴を履いて扉を開けようとすると、エルが笑顔で
「早く帰ってきてよね!」
「うん、じゃあ」
そして扉を閉めて鍵をしていつもの通りを歩いた
それから学校に着くと特に変わりようのない学校があった
そして靴箱に靴を入れ校内シューズに履き替えて教室へ向かった
「よぉ、拓也ー。元気か?」
教室にはいると、隣りの席の芹沢が話しかけてきた
「ああ」
「ああってなんだよ、冷たいな~」
「なんだよああじゃいけないのかよ」
「なんかもっとこう、おう元気だぜ芹沢!今日も一日がんばろう!とかさぁ・・・」
「おい、俺をどういうキャラにしたいんだ」
「熱血系?」
「断る」
その後も芹沢と他愛ものない話をして1時間目まで過ごした。それからいつものように授業を過ごして放課後になった。
それから帰ろうとすると芹沢が早足でこちらに向かってきた
「おーい、拓也今日入荷された*****の新曲聞きに行かね?」
「いや、今日は悪いけど用事あるんだ」
「ほほう、珍しいな~。もしかして彼女ができたとか?」
「なんでそうなるんだよ?」
「ま、拓也が彼女なんて想像つかないな~」
「失礼な!」
「じゃあ今日はここでさよならだな」
「ああ、じゃあな」
「おう」
それからエルに買うと言った下着と上下を買いにデパートに寄った
「おおう・・・・さすがに下着屋さんは女性が多いな・・・」
「さっさと選んでここを出よう」
とりあえず合いそうな下着買うために奥に行った。その道中女性たちにじろじろ見られたので早く出たいと思った
そしてレジに向かうと女性のレジが笑顔で迎えてきた
「ありがとうございます、お会計2056円でございます」
そして財布から3000円を出して渡した
「それでは3000円お預かりして、レシートと944円でございます」
「またの御来店お待ちしております」
それからそそくさと下着店を抜け次にレディースものの服を買いに行った
それから目的のものを買ってデパートを出ようとすると、ふと姉に頼まれていた漫画の続きを買うことを思い出した
「んー、帰りに本屋あったよな。財布の中身は・・・・」
残り3216円
「おおう・・・今月やばいな・・」
それから漫画を買い無事6時ごろに帰宅した
「ただいま」
「お帰りーー!」
扉を開けた瞬間エルは待ちきれなかったのか、ジャンプして飛び掛かってきた
「おっと、と、」
「遅かったよ~・・・」
「ごめん思いのほかどれ買えばいいか迷って」
そしてゆっくりエルをおろして買ったものをエルに渡した
「ありがとう!これ買ってくれたの?」
「ああそれ以外にどうやって手に入れるんだよ」
「それで着替えたら、着ていた下着とシャツを洗濯物に入れといてくれ」
「うん分かった」
よしこれで盗んだ件は解決できたか・・・
それから自室で今日の課題を終わらしているとエルが扉を入ってきた
「ねえ・・・どう?」
そこに現れたのは白いワンピースに鶯色のスカートを着たエルだった
「おお・・・・・」
「かわいい!そしてすごくきれいだ」
「ほんとう!?」
「ああ・・・!!」
迷って選んだが、我ながらセンスがある
「ありがとう・・・」
エルは顔を赤らめながら言った
「それじゃ明日は休みだから姉にばれないよう外にお出かけしようか」
「うん!」
そして今日俺は、人生の中でかなりの充実感をひしひしと感じていた
そして明日はエルとの散歩である、とても楽しみで今夜寝れるか心配だ