芽吹きの妖精と臆病な種
冬が終わり、雪が溶けてあたたかな日差しが地上を照らしました。
「さぁ、みんな春だよ!」
芽吹きの妖精リリックは嬉しそうに言うと、手に持っていた笛を吹きながら歌い踊りました。
「ピーピーヒャラ♪さぁさぁ春だよ♪早く起きて♪お外はとってもいい天気♪ピーヒャララ♪」
すると地面から一つ緑色の芽がひょっこり出てきました。そしてまた一つと、茶色い地面が一瞬で青々とした地面になりました。
「おはよう。リリック。」
「おはよう!」
リリックは嬉しそうに言いました。それから笛を吹きながら飛んでいると、
「あれ?」
一ヶ所だけまだ茶色い地面のままでした。
「お寝坊さんだな。」
リリックは歌いました。
「早く起きて♪みんなお外にいるよ♪早くしないとまた雪のした♪」
すると地面の中から声がしました。
「いやだ。お外になんか出たくない。」
それを聞いてリリックは驚きました。リリックは歌うのをやめて聞きました。
「何で、嫌なの?」
すると種は小さな声で言いました。
「だって怖いよ。」
「怖い?」
「うん。」
「何で怖いの?」
「だって、もぐらのおじさんが言ってたよ。目が燃えそうなほど、熱い光に照らされるって。」
リリックは驚きました。こんなにも気持ちいい光を怖がっているだなんて。
「大丈夫だよ。ほら、みんな気持ち良さそうに光を浴びているよ。」
種は少しだけ顔を出しました。
「ほらね?」
だけど種はまた地面に潜ってしまいました。
「どうしたの?」
「それだけじゃないよ。ありのおばさんが言ってたよ。お外には大きな怪物がいて、いつも踏まれそうになるって。」
それから種は何も言わなくなりました。リリックはどうすればいいか悩みました。しばらくしてリリックは言いました。
「どうしても、お外には出たくないの?」
「…。」
「このままだと、ずっと独りぼっちだよ。もぐらのおじさんもありのおばさんも、ずっと君の側にいるわけじゃないでしょ?」
そこでリリックは一旦言うのをやめました。そして間を置いてからゆっくり優しく言いました。
「怖くても出ないと。大丈夫、お外にはたくさんの仲間が君を待っているよ。」
するとそれまでリリックたちのことを見ていた芽たちが
「そうだよ!大丈夫!」
「早く出てきなさいよ!たくさんお話ししようよ!」リリックは芽たちを見ると種に
「ほら、ね?」
しばらくして種はゆっくりだけど少しずつ芽を出しました。すると種は驚きの声を出しました。
「わぁ!僕はなんてバカだったんだろう!外の世界が怖いだなんて!こんなに気持ちいい所なのに!!」
リリックはそんな種を、いや芽を見て嬉しそうに笑うと、笛を吹きながらまだ芽吹いていない地へと飛んでいった。




