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芽吹きの妖精と臆病な種

作者: 紅蝶
掲載日:2015/05/29

冬が終わり、雪が溶けてあたたかな日差しが地上を照らしました。

「さぁ、みんな春だよ!」

芽吹きの妖精リリックは嬉しそうに言うと、手に持っていた笛を吹きながら歌い踊りました。

「ピーピーヒャラ♪さぁさぁ春だよ♪早く起きて♪お外はとってもいい天気♪ピーヒャララ♪」

すると地面から一つ緑色の芽がひょっこり出てきました。そしてまた一つと、茶色い地面が一瞬で青々とした地面になりました。

「おはよう。リリック。」

「おはよう!」

リリックは嬉しそうに言いました。それから笛を吹きながら飛んでいると、

「あれ?」

一ヶ所だけまだ茶色い地面のままでした。

「お寝坊さんだな。」

リリックは歌いました。

「早く起きて♪みんなお外にいるよ♪早くしないとまた雪のした♪」

すると地面の中から声がしました。

「いやだ。お外になんか出たくない。」

それを聞いてリリックは驚きました。リリックは歌うのをやめて聞きました。

「何で、嫌なの?」

すると種は小さな声で言いました。

「だって怖いよ。」

「怖い?」

「うん。」

「何で怖いの?」

「だって、もぐらのおじさんが言ってたよ。目が燃えそうなほど、熱い光に照らされるって。」

リリックは驚きました。こんなにも気持ちいい光を怖がっているだなんて。

「大丈夫だよ。ほら、みんな気持ち良さそうに光を浴びているよ。」

種は少しだけ顔を出しました。

「ほらね?」

だけど種はまた地面に潜ってしまいました。

「どうしたの?」

「それだけじゃないよ。ありのおばさんが言ってたよ。お外には大きな怪物がいて、いつも踏まれそうになるって。」

それから種は何も言わなくなりました。リリックはどうすればいいか悩みました。しばらくしてリリックは言いました。

「どうしても、お外には出たくないの?」

「…。」

「このままだと、ずっと独りぼっちだよ。もぐらのおじさんもありのおばさんも、ずっと君の側にいるわけじゃないでしょ?」

そこでリリックは一旦言うのをやめました。そして間を置いてからゆっくり優しく言いました。

「怖くても出ないと。大丈夫、お外にはたくさんの仲間が君を待っているよ。」

するとそれまでリリックたちのことを見ていた芽たちが

「そうだよ!大丈夫!」

「早く出てきなさいよ!たくさんお話ししようよ!」リリックは芽たちを見ると種に

「ほら、ね?」

しばらくして種はゆっくりだけど少しずつ芽を出しました。すると種は驚きの声を出しました。

「わぁ!僕はなんてバカだったんだろう!外の世界が怖いだなんて!こんなに気持ちいい所なのに!!」

リリックはそんな種を、いや芽を見て嬉しそうに笑うと、笛を吹きながらまだ芽吹いていない地へと飛んでいった。

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