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僕は君が嫌いだ。  作者: りっちゃん
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僕は男の子です。

ボーイズラブの言葉が理解できない方・嫌悪感をお持ちの方はとりあえず見ない方針でお願いします。

ちなみにほのぼのラブ目指してます。

 僕は今日という日の事を一生後悔し続けるであろう。


 「まてまてまてって!」


 僕こと藤川颯太ふじかわそうたは今年で18歳になる健全な・・・本当に健全な男子である。


 「いいじゃない。このワンピ超かわいいのに・・・」


 現在、この僕に白いフリフリのワンピースを着せようとしているのは幼馴染の庄司凛しょうじりんである。


 「なぜ?なぜ僕が女物の服を着なきゃならんのだ!」


 不満たらたらな僕を凛が見つめる。

 凛は日本人特有の綺麗な顔だちだ。髪の毛は腰まで長く、艶のある黒髪。道を歩けば10人中10人が振り返るほどの美人である。

 僕と凛の関係は生粋の幼馴染。誕生日が一緒で、生まれた病院も同じ、保育園・小・中・高と同じ学校で家までお隣さんだ。僕の両親は共働きで、家に居ること自体が珍しい。そのため凛の家に世話になりっぱなしなのであった。

 そのため凛とは兄妹のように育てられた。


 「だって!今日は私のオーディションの日なのよ」


 僕達の高校は変わっていて、芸能コースというクラスがある。通称「S科」と呼ばれるこのクラスは芸能界を目指す生徒が多く在籍している。凛もモデルを目指すS科の生徒で、今日は雑誌のモデルオーディションを控えていた。


 「凛のオーディションだろ?何故僕がワンピースを着せられ、化粧までされないかんのだ」


 僕もS科の生徒であるが芸能界には全然興味が無かった。なぜS科に居るかというと、凛の陰謀にハメられたからだ。


 「1人じゃ心細いじゃない・・・初めてのオーディションって緊張するっていうから颯ちゃんがいると心強いと思って・・・」


 「なぜ女装?」


 「それは女性雑誌のオーディションだからです」


 要約するに・・・オーディション1人じゃ心細いからあんたも女装してオーディション受けなよ。

 

 ということらしい。

 

 「ふざけるな~!!!」


 僕は凛に詰め寄ろうとするが、手に持っていた茶色の軽いウェーブのかかったカツラを僕にかぶせると満面の笑みを浮かべていた。


 「だって私の勇姿を颯ちゃんに見てもらいたいんだものv」


 そう言って凛は微笑んだ。


 僕は凛のこの顔に弱いのだ。これ以降有無を言わさず全コーディネートされ、どこから見ても女の子な可哀想な僕ができあがったのだった。



      ■



 町中を歩く少女2人は明らかに人目を引いていた。


 1人は日本人特有の綺麗な顔だちで髪の毛は腰まで長く、艶のある黒髪をしていた長身の美女。服装はドルマンニットのアウターにスカート風のショートパンツを合わせたものだ。


 もう1人は茶色の軽いウェーブのかかった髪にリボンをした少し小柄の少女だった。ボーダーマキシ丈のワンピースを着ている。見るからにゆるかわ風なのだが中身は男である。


 「視線が痛い」


 僕がそう言うと凛は満面の笑みを浮かべていた。


 「何言ってるの?この視線がいいじゃないv他人に注目されるこの快感・・・」


 凛は少し変態さんである。


 僕は凛と雑談しながら目的地であるオーディション会場に着いた。

 そこにはオーディションに参加するであろう少女達が沢山集まっていた。僕と凛は受付を済ませると待合室で出番を待つことにした。


 「にしても人数が多い・・・」


 会場の着飾った少女達を見ながら僕は呟いた。


 「そうね。確か受かったら専属モデルになれるからみんな必死なんじゃないの?」


 凛は淡々と語りながら本のページをめくる。


 緊張の一欠けらも感じないその風格はすでにトップモデルそのものである。


 「何見てるの?」


 不意に気になり声をかける。


 「自分の写真」


 と、即答。


 凛は自分の事が大好きなのである。


 「そう・・・」


 凛は自分の写真を見始めると何時間でも見ていられる程の自分好きーである。


 「僕ジュース買ってくる」


 僕は居たたまれなくそう言うと。


 「いってら」


 即答で返事が返ってきた。


 僕は自販機を探すべく会場を後にした。



    ■



 僕は買ったジュースを飲みながら僕は壁に寄りかかり考え事をしていた。


 「どうすっかな~」


 僕は迷子になってしまった。


 昔から迷子になりやすかったが、ここまでくれば特技と言えよう。


 惚けながらジュースを飲んでいると向こうの方から男性がやってきた。

 とりあえずこいつに聞いてみるかと声をかけてみることにした。


 「あの、すみませ・・・」


 僕は自分の目を疑った。向こうの方から歩いてきた男に僕は見覚えがあったからだ。


 現在売れっ子のモデル軌塔癒貴きとうゆき。軌塔はうちの学校の普通科の生徒なのだが、芸能活動をしていた。S科以外に芸能活動している奴は多々学校に居るが、軌塔は大手事務所の息子でしかもカリスマモデルとして目下売出し中の注目株である。


 そんな軌塔に・・・僕は陰口を叩かれたことがあった。


 『実力も無いくせに、なんであんなチビがS科の生徒なんだよ』


 僕にわざと聞こえるように軌塔は言った。その時、凛も隣に居てその言葉を聞いていた。


 『ちょっとあなた!自分が実力の無いのをいいことに私の颯ちゃんにケチつけないでくれる?私の颯ちゃんが穢れてしまうわ!とっとと失せて!あなたの顔は見るに堪えるのよ!』


 と、凛にまくし立てられていた。


 僕自身もどうして自分がS科に居るか悩んでいた時期なので結構その言葉に堪えたことを思い出した。結論から言って、軌塔は僕が―――藤川颯太が嫌いなのだ。

 それ以来、何かと陰口を叩かれることがあった。まぁ、その都度凛の容赦ない反撃にあっているのだが―――。


 とりあえず、どうする僕!軌塔に会場の場所を聞くのは絶対に嫌だ。かといって会場に行かなかったら凛に怒られるだろうし・・・まさに前門の虎後門の狼状態だ。


 「君どうかしたの?」


 悩み込んでいると僕は軌塔に話しかけられた。


 僕は顔を上げて軌塔を見た。


 



 




 

今度は軌塔サイドです。

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