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一、さようなら、愛しい人 「バンダナ」「紅花」「無重力」

 あなたを乗せた客船が港を離れていく。出港の合図を大きく響かせて、ゆっくりと進んでいく。

 私は桟橋に立ちつくし、じっとあなたを見上げている。手を振るあなたの顔が、涙でかすんでぼやけて見える。

──さようなら、愛しい人。

 遠い遠い国に帰るあなた。多分、もう一生会えないでしょう。

 大きく手を振ったあなたが、首に巻いたバンダナをはずし、私に向かって投げた。紅花色の鮮やかなバンダナ。

 無重力のように、ふわりと宙を漂った後、静かな風にのって青い海原に落ちていった。

 私の元まで届かなかった紅花色のバンダナは、行くあてもなく波間に浮かぶ。

 船は次第に港を出て行った。あなたと私の間の距離のように、どんどん離れていって、やがて私の視界から消えていった。後には、あなたのバンダナだけが、いつまでも波間を漂っていた。









ショートショートの中でも特に短い作品となりました。わずか358文字です。^^; 考えた時間もほんのわずか、頭の中にこういうイメージが浮かんできました。

「愛しい人」は恋人のイメージが強くなりますが、恋人と限定している訳ではありません。自由に想像してみてください。(^^)

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