第七章─魔物?
アルフヘイムに来て、初のチート使用
って言ってもまだきてから二話なんですけどね
「それで、ラタトスク?
まず、これからどうするんだ?」
そう、異世界へ来たはいいものの、結局何をすれば良いのか全く分からない
「どうするったって、とりあえずこっちで生活を送るわけだから、
とりあえず町を探すべきだろうよ」
「それはさっき聞いた。だから、その町は一体どこにあるんだって聞いてるんだよ」
「んなもん知るか。自分で探せ」
「おまっ、無責任な…!
もういいよ、って響?どうしたんだ?さっきから黙ってて」
それにこっちじゃない、別の方向を向いている
「いや、俺がどうしたって訳じゃ無いんだが、なんかでっけえ虫に追っかけられてる女の子がいる」
「はあ?どこにだよ、んなもん見えないぞ?」
「ああ、そうか、悠には言ってなかったっけ、こっちに来るに当たって、あいつらから俺も力を貰ったんだよ」
「力?」
「なんか、タダの人間が行くには危ない、とかでさ、肉眼で望遠鏡の役割を果たせるって言う妙な能力」
「望遠鏡ってことは…つまりあれか、僕には見えないくらい遠くで虫に追いかけられてる女の子がいる、と」
「そういう事、で?どうする?」
「どうするって?」
「助けるか助けないか、だよ、今の俺達なら、あの程度普通に殺せると思うぜ?」
「ああ、そう言うことか…どうしようか?」
「行けば良いんじゃねえのか?」
と、急にラタトスクが口を挟んできた
「助ける助けないはともかくとして、その女にこの辺りの町とかについて聞くこともできるだろうしよ」
「…そうだな、行くか」
「よし、決定だな、方角は、えっとあっちだ」
そう行って響が指を指した方向にはやはり何も見えないが…
「おっと、その前に…このままじゃまずいよな」
と、言った瞬間ラタトスクが急激に小さくなった
「「…は?」」
「いや、こんな姿で人前に出れないだろうよ、俺まで魔物だと思われちまう」
「んなことできんのかよ、お前」
「ま、とにかくこの姿じゃ移動しづれえから、ポケット借りるぜ」
「は?ポケット?」
言うが早いか、ラタトスクは僕のポケット(学校帰りだったから、学生服である)の一つに飛び込んできた
「あれ?軽い」
「当たり前だろ?こんな小さい奴がそんなに重いわけあるか」
「いやいや、質量保存の法則どこへ行った」
「だから、んなもんを俺みたいな奴に当てはめる時点でおかしいんだよ
ここはアルフヘイムだぜ?マルクトとは色々違うんだよ」
「設定こじつけたな…」
「はいはい、作者に対する文句はそれくらいにして、早く行かないとあの子、見失うぞ?」
「…響がまともな事言ってる…アルフヘイムも終わりか…」
「どういう意味だよ!ったく、とにかく行くぞ」
「行くったってどうやってだよ?あんなに距離あるのに」
「ああ、それなら問題ねえよ」
「ん?どういう事だ?ラタトスク」
「オーディンたちからも説明あっただろ?お前らはチート並の身体能力があるんだよ
軽く走った程度でも追いつけるさ」
「またこじつけを…」
「とにかくいけるなら早く行こうぜ、もうそろそろ見失っちまう」
「そうだな、それじゃ、ラタトスク、しっかり掴まってろよ」
「言われなくとも」
「じゃ、響、先導よろしく」
「了解、んじゃ、位置についてーよーいドン!」
「…は?」
瞬間、響の姿が無くなった…いや、厳密には急激に移動した、と言うべきだろうか?
彼の姿はとても小さなものとなって、僕の視界から消え去った
「って、こんなモノローグ入れてる場合じゃねえよ、追いかけなきゃ」
と、僕は結構急ぎ気味で走った…いや、もうこれは走ったと表現していいのだろうか?
跳んだ?駆けた?的を射た表現が思いつかない、なぜならば、僕としては5mも走ったつもりは無いのに、
目の前にはすでに立ち止まった響、虫に追いかけられてる女の子、そして巨大な虫
「早すぎるわボケーー!!」
あと、ポケットのなかでリスがわめいてるが気にしない
「お?遅かったな悠」
「…早すぎるわ、ボケ」
僕の言葉はラタトスクと同じものだったが、それは全く違う言葉と言っても良いほどに勢いが違った
いや、でも実際実感してみればわかるよ?何kmあったんだってところを1秒も経たない内に到着するスピードをさ
わけわからねえよ
「まあ、俺もそんな感じだけどさ」
「あ、あなた達は?いえ、今はそんなことどうでもいいです、助けてください!
この魔物が私を襲ってくるんです!!」
と、そこで始めて女の子は口を開いた、何故か説明口調で
「いや、そりゃみればわかるけどさ」
「ま、とりあえず助けてやろうや、こっちへきて始めての戦闘だしな
経験値稼ぎと思ってさ」
「ま、そうだな、この刀も試して見たいし」
経験値稼ぎはともかく、この子を助けて聞きたい事もあるしな
とりあえず刀を取り出してっと…なんか名前付けようかな?いつまでも刀じゃなんかやだし
まあおいおい考えるとしよう
「よっしゃ、じゃ行きますか」
と言いながら響は手ぶらだ
「あれ?響は何も武器貰わなかったのか?」
「いや?貰ったよ、ああ、そうか見えないかこのままじゃ
んーこの魔物俺がもらっても良いか?説明するより見せたほうが早いし」
「ん?ああ、それはいいけど」
「いつまでも話して無いで助けて下さーーい!!」
あ、忘れてた
「んじゃ、とくとごろうじろ」
そう言って響は虫に近づいて言った、それはゆっくり、いや緩慢とさえ呼べるような動きだった
その手に握られているものは…ナイフ!?
「どこにもってたんだよ…」
「ま、それも後で説明するよ」
そして、そのナイフをいつものように虫に投げつける響
「ギシャアァァァァ!!」
鳴り響く虫の断末魔、いや、今の攻撃で怒っての威嚇だろうか?
だとしたらまずい、響は手持ちのナイフを投げつけてしまっている
このままじゃまずいと思い、僕が刀に手を掛けた、いや、掛けかけた所だった
僕は唖然とした、投げたはずのナイフが響の手には握られていた
いや、正確には投げたナイフじゃない、先程のナイフは未だ虫に刺さったままだ
ではどこから?
響が持っていたとしか考えられまい
「ほい、ほいっと」
「グ、ガ、ギシャ」
驚いている僕を尻目に響は軽い口調でナイフを投げ続ける
そう、ナイフは先程の二本だけではなかった。
そして瞬く間に虫にはナイフが突き刺さって行き、もはやサボテンのような有様だった
「ギシャァァァ……」
そして虫の断末魔が消え去った…
さて、いかがでしたでしょうか?今回は彼らのチートの紹介、
まあ、ほかにも色々でてきますけど、今回は響君のチートでした