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交点

作者: 真田幸昌
掲載日:2026/01/01

誰かの再びの出会いを描いた物語

交点

「え…」

声にならない声が出かかる

なぜ?と問いかけたくなる

別の世界で生きると決めたのに

もう、交わることのない線がここで交わってしまったそんな気分だった

しかし、周りは彼と彼女を置き去りにしているようで旅行を楽しむカップルの姿が見えた

彼女も自分の席の横に座る人が何者か気づいたようで驚いた顔を一瞬浮かべ、目を逸らす


もう、何年振りだろうか

「そりゃそうか…」

彼女が席を立っている時に自然と声が出た

だが、自然と横の席になってしまうあたり

神様も意地悪だと思う


程なくして彼女は戻ってきて新幹線は発車する

景色はみるみるうちに移り変わる


肩と肩が当たりそうな距離

呼吸が思わず浅くなる

当たれば同じ世界に引き戻されるそんな気がした


こんなことなら、二人分席を取れば良かった

いや、違う、今、自分は少し嬉しいのだ

自分が突き放して世界を隔ててしまったというのに



何度も声をかけようかと迷う、でも交わったらいけない気がして

彼女も、イヤホンをして音楽を聴いている

大人らしくなったものだ…

しかし、顔が少し悲しそうだった


「そんな…顔するなよ…」


こちらまで悲しくなるだろう

二人共、幸せになるために世界を隔てたというのに

自然と口をついた

彼女にはイヤホンをしているから聞こえない


目的地までの時間が永遠に感じた

今、彼女はおそらく大学生だろうか

どこに通っているのか、今は何をしているのか、聞きたいことが自分の中で反響する

ああ…泣きそうになる

だが、公の場で

いや、今は、身なりや身分じゃない

あの日、約束した人間として泣くわけにはいけない

忘れようと、目を閉じる


少しすると、目的地に着く

降りようと支度をしていると、目が合う

彼女は、なおも悲しそうな顔だ

抱きしめたいそんな衝動に駆られる

しかし、必死に触れることを抑える

彼女はもう誰かのものかもしれないのだ

そう考えると、本当に涙が溢れそうになる


「ん…」


荷物を荷物置きから下ろすとき

少し、彼女の、目が腫れているように見えたのは気のせいだろうか


そして、下車して今まで自分が乗っていた車両を見送ることなく、駅の改札を通り、ホームを抜けて目的地へ向かう


「雨…」


かなり雨が降ってきて、傘をさす


「綺麗だな…」


先程まで思い詰めていたからか何故か目の前に広がる光景に涙が出た

今なら、雨に紛れて泣けば、彼女も神様も見分けがつかずに許してくれる気がした



──雨の中に凛と咲くアジサイが綺麗だった

初の作品で緊張しましたがなんとかかけました。

皆さんの中にもある、切なさを表現できていると嬉しいです。

最後に、これから続けようと思っているシリーズのIFともしようと思っているのでこれからも私の作品をよろしくお願いします

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