かのじょ
僕は、女子に興味があるけど、話しかける勇気など無い。そんな、どこにでもいる普通の高校生。
高校生の必需品、スマホ。これがあれば、布団の中で『18禁』などと書かれた動画が見放題。その知識もテンコ盛り、学校では動画交換が友達なかでは、普通の情報交換になっている。
そんな僕に「あの、お付き合いしている人っていますか?」などど、言いよってくる女子がいました。
学校帰りに、一緒に帰ったり図書館に行ったり。などと、高校生していたのです。
「おい、どこまでいったんだ?」
この友の何気ないひと言が、そばにいた連中を刺激しました。
手を繋いだこともない?聞いた友が、半分信じられない事を聞いたように。
「ふつう、ありえないだろう」
友の認識だと、付き合って3日で手をつないで、7日からキスも出来るのだろうと、言っているのだが。その友に、付き合った経験がないのを僕は知っている。
無視していると、友達のテンションが上がっていくのがわかる。
要約すると、プレゼントで気をひいて、一気に関係を進めろ。みたいな雰囲気になってきた。
そのままながれで、ショッピングモールに連れだり、あれやこれやと言われながらアクセサリーを購入。明日、学校帰りに渡すことになった。同然、あいつらも後ろをついてくるだろう。
帰り道、途中の公園へと誘って、ベンチに座る。いつもの雑談をするが、プレゼントを渡すタイミングがつかめない。茂みの後ろにいるだろう、連中の圧を感じる。
「今日は、どうしてこの公園に?」
そう、この一言を待っていたのです。
結果、後ろの連中は蜘蛛の子を散らすように消え失せ。
僕のほおは、赤く腫れています。
「お前な、あの状態で胸を触ろうとするか?」
いま、友達からレクチャーを受けています。何人から同じような事を言われ続け、もう女子とは、付き合わない。と、心に決めました。
そんな連中は、俺の経験を踏み台にして、チャカリと彼女を作っています。僕だけ、ボッチになりました。
ご飯をごちそうしてくれる人に、女という言い方は失礼です。なんと言っていいのかわからないので、とりあえず女の人とします。
女の人が手を伸ばしてくる。先ほどの話から、家へ手をつないでいこうとしているらしい。
でも、女の人と手をつないだ事のない僕は、恥ずかしいので腕を袖の中に隠す。
それをみた女の人は、伸ばした手で袖をつかむ。元々が安物の着物、しかも、河原での格闘でボロ雑巾状態なのだ。
軽く引いただけで、ちぎれた。
「あら、とれた?」
女の人は、ちぎれた袖を見ていたが、何を思ったのか僕の胸へ押し込む。
「もっといいのをあげる、あの家よ」
そう言って、一軒の家を指さした。
見ると、村の中央に八角形のすこし歪な家が建っている。他の家と比べても大きく見える、そこに取って付けたような小屋がくっ付いている。
周りを見渡すと、近所で見慣れた四角い家など、どこにもなく。全部が、歪な五角形や六角形をしている。ここは、日本なのだろうか。
周囲を見渡すと、一緒に歩いてきた人たちの姿は、もう見えない。あちらこちらから聞こえる女の人や子供の歓喜の声が、聞こえる。もう、自分の家へ帰っていったのだろう。
村の様子を見ていると、女の人は、袖が無くなりあらわになった手を握ると、スタスタと歩き出した。
出っ張った小屋は、玄関のようで、厚手の布をめくって入口から奥を見れば、古びた荷車が鎮座している。ぶつからないよう、そのわきをすり抜けて部屋の中へ。
部屋は、一部屋だけで壁と屋根があるだけだ。中に間仕切りは、ない。
中央に大黒柱?があり、その根元と今いる入口の間に石と上の半分になった丸太で囲まれた囲炉裏が見える。囲炉裏から少し離して置いてある、上を切り落として座りやすくした丸太は、椅子だろうか。
「ここに座って」
椅子だった。膝を立てると座りづらいので、あぐらをかくように座る。
「火を見ておいて」
暖炉の中に、熾火なった火がある。座っている脇に、木の枝が積まれいるので、それをくべながら女の人の様子をうかがう。
少し薄暗くなった部屋の奥、光が差し込む窓(木脇に木の皮?を縫い付けた窓)が、突っ張り棒で開いている。
その下に、木の枠にやや厚みのある板が乗っている、おそらく調理台?なのだろうか、そこには幾枚かの木皿が積まれている。
調理台の右に、二連かまどがある。しかし、かまどの中に灰は残っていないので、使っていないのだろう。
かまどの隣に、歪なカメと手桶がいくつか置いてある。水カメだろうか?
カメの横には勝手口だろう、枠の形に四角に光が漏れている。
調理台の左には、大小さまざまなザルが置いてある。
大き目のザルに手を伸ばした女の人は、そこから小さな赤いカブをつまみ、調理台に置いたある木皿二つに移し替える。
盛り終わると、調理台脇に置いてあった木皿に手を伸ばす。皿には、葉に包まれたなにかがあるようだ。葉を開いて、別の木皿に移し替える。
小さなカブの盛り合わせと何かが乗った木皿を、もって来た。このカブ見たことがある、たしか『はつか大根』とか『ラディッシュ』とかいう名前だったきがする。
二つの皿を、僕の前の平らな丸太にそれを並べる。薄暗くなってきた室内でも、囲炉裏の火が周りを照らす。カブの隣が何かわかった。
魚、ここの川でとれた魚だろう。それを干して、焼いたようだ。でも、一匹しかない。おそらく、女の人の分ではないか?旦那(代わりに僕が来たが)が今日帰ってくるとは、誰も知らないのだろうだから。
「これを食べて」
そう言って、自分の赤カブを取りに行った。
ジッと魚をみる。どう見ても、僕だけが食べていいものではないだろう。どうしようかと、女の人を見るが。
戻った女の人は、僕と同じように座ると向かいに座ると。ボリボリ、美味しそうではないようだが、赤カブをかみ、葉もむしゃむしゃと食べている。
「あの」
「なに?あ、ごめんなさいね。今、うちにはこれしか無いの」
「いや、そうじゃなくて」
魚を指さす。
「ごめんなさい、それしかないの。毎日、村おさが持って来てくれるの、だから遠慮しないで食べて」
カブだけだと、栄養が偏る。それで、女の人一人だと魚を捕れないだろうと、持って来てくれるのだろう。とてもそれを、一人で食べることは出来ない。
立ち上がり、調理台に向かう。そこにあった包丁(あまり使っていないようで、錆がめだつ)で、半分にすると、別の木皿に盛り、女の人にもっていく。
魚を一匹返したところで、遠慮するなと戻されるだろう。それなら半分にすれば、いいのじゃないかと思った。
「僕だけ食べれません。一緒に食べてください」
そう言われて、皿を受け取り、僕の顔を見ていたが
「そう、ありがとう」
と、言うと。お頭の皿を返して、尻尾の方をとった。
木の台に置くと、指を起用に使い、半身を開いていく。骨を除くと、半身を一口。さらに一口。
僕を見て、ニコリと笑顔を向けると、カブの残りを食べていく。
もう腹と背中がくっつきそうな僕は、席に戻りカブをかじり始める。
ポリポリ、一口でカブを食べると。葉と少し残ったカブを口の中へ。
ガリ、ジャリ
口の中で、今まで感じた事のない感触。とりあえず、手に吐き出して見る。
小さな石が2個、それと土?
マジマジと見る。間違いない、カブと茎の付け根に土が残っていたようだ。他のカブを見てみると、洗い忘れの土が残っている。
調理台に戻り、周囲を見ると野菜屑が入っているザルを発見。口にしたカブを入れ、皿に残っているカブを台に並べる。
食べ終わった女の人は、不思議な顔をしてこちらを見ている。
さっきの包丁を取り、カブと茎の付け根を切り離す。脇を見ると、大きなカメの中に水がたっぷりと入っている。やはり水カメだ。
カブと葉を持ち、カメの中に入れてジャブジャブとすすぐ。みれば、きれいに土が落ちている。
それを見ていた、女の人の目が吊り上がった・・ように見えたのは、錯覚だろうか。
木皿に盛って、席に戻りカブと魚を平らげる・・まだ足りない・・でも、調理台の周りを見ても、赤カブは残っていない。
「ごちそうさまでした」
頭をさげ、木皿を調理台にもっていこうとすると。もう下げていた女の人に手を出され、木皿を取り上げれてしまった。
魚の骨をさっきの野菜クズのザルに入れ、水カメに手桶を入れて水を汲み、布を濡らすと木皿をきれいに拭いている。
もう、わずかしか光の入らない窓の突っ張り棒を外し、締め切ると、囲炉裏の火が唯一の明かりなる。
女の人は、水カメから手桶に水を汲み床に置く。
手招きするので、なんだろうとそばによると。女の人は、着物を脱ぎ始めた。
えっ?
意味が分からず立って見ていると、奥から出してきたのだろう布を手渡された。大きさから手ぬぐいのようだ。
さらに手桶に水を汲み、僕の前に置く。
「これで拭いて」
そう言うと、手桶に手ぬぐいを入れ絞っている。それでゴシゴシと体を、拭きはじめた。
あぁ。
さすがに、僕の前で裸になり、堂々と体を拭いているとなりで、僕が恥ずかしそうに、モジモジする方が恥ずかしい。ここは、堂々としよう。
意味が分かった僕は、受け取った手ぬぐいで、着物を脱ぎ体を拭いていく。
僕のと自分の手ぬぐいを、手桶の水で洗った女の人は、ザルの上に並べに行く、そこで乾かすようだ。
拭き終わった僕らは、着物を着るのだが。
「これを着て、さっき破った代わり」
見るからに、今着ている着物より上等な着物を渡される。間違いなく旦那のものだろう。
「こんなにいいものは・・」
「さっき破ったお詫びよ、気にしないでちょうだい」
そのまま女の人は、調理台に行く。僕の着物は取り上げれて、野菜クズの隣のザルに放り投げられた。
ボロ雑巾が捨てられては、その着物を着るしかないようだ。
「ありがとう」
着ていくのを見られるのも、恥ずかしいが、さっき、お互いに裸になって拭いていたので、今更の気がしてきた。
女の人は、その様子を見てニコリと笑顔になる。
「もう寝ます」
手を引かれ、部屋の奥へ。
大黒柱の奥はベッドルームのようで、木枠で出来たベッドが四つと行李が二つある。しかし、ベッドの一つは壊れてい。足がとれ三本足で斜めになっているベッドがある。
残るベッドの二つも、木枠だけで、横木に板は並んでいるが布団になるものが無い。
最後の一つのベッドにだけ、木枠に板が並べられて、敷布団がある。触った感じ、乾燥した草?おそらく大半が乾燥した雑草と藁?で出来ているようだ。
そして、それらがこぼれないようにを包む布は、いま僕が着ている着物と同じくらい上等だとわかる。
その上に、厚手の布が掛けられている。毛布より薄いのだが、この季節なら寒くはないだろう。
問題は、布団ではない。一つしかないベッドを見て、硬直している。
脇に立っている女の人は、それに寝るように指を指した。
僕は、健全な高校生です。プレゼントを贈って、調子に乗って胸を触ろうとしたヘタレです。
明らかに一つしかないベッド。床は、土間。この世界に、キャンプ用の寝袋などあろうはずも無い。
「もしかして、一緒に寝るという事ですか?」
勇気を出して聞いてみる。
「ええ、そうよ」
頭が真っ白になる。
悪魔がつぶやく・・あのカラスが言っていただろう。【魅了の術】をかけておくって。見てみろ、熱っぽい目をしているだろう。押し倒せ、自分の欲望のまま。大丈夫だと・・耳元につぶやく・・
天使がつぶやく・・【魅了の術】は、自分でかけた?他人のかけた術を信じるの?また、頬を叩かれ「ここから出て行って」・・そうなるわ・・
僕は、過去に他人(友達)を信じ、彼女に叩かれて世の中が信じられないヘタレです。夜、頬をなでながら、村をでて、トボトボと何処となく歩き、数日後に冷たい体になっている自分が見えます。
ベッドに入ると、壁を向いてくの字になり寝たふりをしました。急に興奮し始めた僕の急所を両手で囲います。こんな格好は、誰にも見せるわけにはいきません。
毛布代わりの布に潜った僕を、女の人が見ているようです。
そんな僕を見て、どう思ったのか。女の人は、体をピッタと寄せ(胸が背中に当たっています)静かに息をしています。
しばらくそのままにしていましたが、寝息が聞こえてきた。
でも僕は、目がギラギラとして・・
結局、一睡もしないで朝が来た。
そのあとも、僕に対する態度は変わらなった。
僕の中で女の人は、『かのじょ』となっていました。




