決戦後
それから、想いを通じ合わせた私達はこれまでよりもちょっと近い距離で色々なことを話し合った。
どこが好きだ、とか、きっと誰から見ても浮かれた雰囲気だっただろう。
陛下や第二王子殿下も登場して、卒業パーティーはなんとか無事に終わったらしい。
……王太子の交代があったことを無事と言うかは分からないが。
側近候補の方は軒並み各家で鍛え直すらしい、これまでの教育費用等を考えると切り捨ては勿体ないということだろう、とは新たに流れた噂の一つだ。
今回の件もあって学園の方針はそのままに、ただ入学するのが更に難しくなり、しばらくは様子見が続くそうだ。
筆頭公爵家のご令嬢は、混乱を収めきれなかった責任を感じて領地にて静養をなさるそうで、現王太子殿下の婚約者のご令嬢が、なんて凛々しいお方……!と言っていたのも新たな噂。
様々な思惑が絡み合って混乱していた王国は、時間をかけて徐々に正常な姿を取り戻していくだろう。
「どうした?またぼんやりしてる」
「学園では色々あったなって、思い返してたところ」
「あぁ!急に俺に絶望が襲いかかってきた時のことか」
「あれは、その、ごめんなさい」
「冗談だよ。絶望よりもその後の告白の方が忘れられない」
あの時を思い出すと今でも恥ずかしくなる。
……忘れてほしい、とは思わないけど。
「それより、国内だけで問題が済んだのは奇跡だったわね」
「今の王太子殿下がすぐにまとめたからな。随分と勇敢で優秀な側近がいるらしい。きっと、そう遠くないうちに残った混乱も収まるだろう」
「そうね……この子が産まれる頃には、もっと落ち着いてくれると嬉しいわ」