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アンチ、誹謗中傷の定義の変形についての思索から流れ着いた場所までの話。

作者: エンゲブラ

ここ数年、アンチや誹謗中傷という言葉の使われ方に、たいへん違和感を覚えてしまう筆者の話。



世の中でアンチと言われているものの大半は、単なるアンチテーゼ。

テーゼは命題や主張。

アンチは主に対する反対側の角度を意味する。

物事の認識を深めるためには「絶対的に必要なもの」がこのアンチテーゼで、自分の主張にわざわざそれらを提示してくれる人々などは本来、感謝でしかない存在だ。


ところが、馬鹿まっしぐらな自己肥大、自己過剰防衛のモヤシ精神者たちは、それらを単なる「敵対勢力の誹謗中傷」と捉え、アンチをシンプルに「敵」と認識する。

「アンチどもが」という言葉を使う人間たちの「自発的な馬鹿アピール」の乱痴気ぶり。それは冷笑を通り越し、最早呆れの対象としかならない。


自分に甘く、他者に恐ろしく冷たい社会。


元来、大人というものは、たとえそれが虚勢であろうとも「自分や身内には厳しく、他者には寛容」を示すのが「建前」であった。ところがインターネット上で「王様の耳はロバの耳」を四六時中、SNS等に投稿したり、それらを見続けることにより、いつのまにかこの国から建前そのものが消滅しまったかのようにも見えるのが、現在の景色か。


以前なら、さすがに対面では「こんな馬鹿な発言は絶対にしないよな」ということも、国民を代表する国会議員などのお歴々からも、平然と垂れ流されるようになり、いよいよこの国のモラルも完全崩壊のフェーズに入ったのだな、とここ数年、日々うんざり。


インターネットの登場により、人は自分の好きなコンテンツだけを「過食」し、自分の味覚には合わないコンテンツを「絶食」遮断するのが日常となった。

たとえ実体を持つ他者が隣にいても、スマホを触り、その空間から半ば意識をエスケープさせる。以前なら、それは失礼に価する態度であったはずだが、いよいよその失礼も「マジョリティー側」へと移行し、失礼が失礼ではない時代へと変化を遂げた。


盛者必衰、千変万化。

とはいえ、さすがに180度近い反転ぶりには、ついていけないというよりも「もうどうとでもなれ」という境地。


「新しい価値観」に触れるのは、非常に重要で興味もあるが、惰弱(だじゃく)な精神の止めどない腐敗からくるニュースタンダードなんてものは、新しい価値観でも何でもない。


アンチという言葉はテーブルを四角くする。

平和を望むなら円卓に座るべきだが、四角いテーブルを作り、「論破」という言葉を使う「建設よりも破壊だけ」に勤しむ馬鹿の言説をリモート観覧席から「心地よく」感じ、サルの石の投げ合いに仮想空間から疑似的に参加する。


そこには確かに脳を焼くなんらかの興奮があるのだろうが、それはあくまでも毒物による心身を不健康にする刺激に過ぎない。


ゼロイチのデジタルな世界で、スロウではなく、ファストな潮流に乗っかることにより、大半の人間の脳が疲弊しているように見える現在。


心身が疲弊すれば、建前を失い、様々な人格的劣化の排泄物を産み落とすようになる。


全世界総劣化時代。

情報過多に対する処方箋すら、情報に求める。

もう少しフィジカルに回帰しなければ、メンタルも復活しないわけだが、フィジカルを代表するアスリートたちの言動を眺めていると、何が正解なのかも見失う。


正解を持つ人間たちは、わざわざインターネット上にはその処方箋を公開しない。


そして彷徨える我々は、ヤク中よろしく、その答えを求め、身体に悪いと知りつつ、またインターネット上にその答えを求め続ける。

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