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窓辺の備忘録  作者: 瑞穂
7/9

心の焦点






今まで見えていなかったものが急に見えるようになる。何かが見えるようになるたびに、こんなことがあるのかと驚くのだ。


今まで背景の一部でしかなかったもの。今まで心の焦点を当てていなかったもの。些細なきっかけで焦点を当ててみると、こんなに素敵なものなのに、何で今まで気付かなかったんだ?と思わされる。


例えば町に貼ってあるアニメの広告。そのアニメを観る前はその広告を目にしても特に何も思わなかった。せいぜい「キャラクターデザインがかわいいなぁ」とか思うだけで、その広告から目を離した瞬間に忘れる。

でもそのアニメを視聴した後は無関心でいられなくなるのだ。どうやってこの広告をぼやかしていたのだろうか、と過去の自分に驚愕すらする。

「おい!そこのお前!その作品めっちゃいいから早く見ろ!何でもっと早く気づかなかった!!」

と、届くわけもない過去の自分へのメッセージを念じるほどだ。


他に例を挙げるなら、TVで流れている音楽。何となくつけたテレビでやっていた音楽番組。そこで行われるパフォーマンスに大して興味が湧かなかった。正確に言うなら、歌詞に対して興味が湧いていなかった。初めて聴く曲の歌詞を聞き取って咀嚼することは英語のリスニングよりも難しい。歌詞を事前に知っているなら別だけれど。その結果、「あぁ、あの曲ね。何となく聴いたことあるけどほとんど知らないなぁ」と言う曲が私の中で大量生産されることになる。


それでも何かのきっかけで歌詞に込められた意味を自分なりに解釈した時、作詞家さんの意図をインタビューなどで読んだ時。

パッとその曲がクリアになる。霧が晴れたみたいに。「何となく聞いたことがある曲」が「好きな曲」になる。何故今までこの曲の良さに気づかなかったのか。何故音楽番組を流し見ていたのか。もっとちゃんと見ておけばよかった!


気づく前にはもう戻れない。戻りたいわけでもないけれど。


こういう体験から今の私には気づいていない良いものがたくさんあるのだろうなと思う。未来の私が今の私に向かって「なんでお前気付かないんだよ!」と声をかけてきている気がする。「今ファンになればあのイベント行けるんだぞ!!」とか。


世の中には沢山の面白いものが溢れている。沢山面白いものが生まれて、死んでいく。何か面白いものが生きている間にキャッチできることなどごく僅かだ。今気づかなければ一生その面白さを知らないまま生きていくこともあるのだろう。


出来る限り沢山気づきたいな。様々なものに触れたい。一回きりの人生。たっくさん楽しみたいもんね!

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