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窓辺の備忘録  作者: 瑞穂
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自分を嫌いな自分





自分が嫌いだ。


考えが浅くてすぐ人に気を使わせてしまったり傷つけてしまう自分が嫌いだ。


何かを好きになっても、それを好きな自分が好きなだけでしょ?ともう一人の自分が囁きかけてくる。すぐに保身に走り、怠惰になる。自分に甘い。他人に責任転嫁する。無意識に人を下に見る。気を抜くとすぐに否定の言葉や愚痴が口から飛び出す。


自分が嫌いだ。本当に。


これは思春期特有のものなのだろうか。昔は結構自分のことを好いていた気がする。大人になったら自分を好きになれるのかしら。これは大人への成長過程なのかな。


この文章を書いている自分も嫌いだ。先程も出てきたもう一人の自分が、「ずいぶん承認欲求が強いんだねぇ」と言っている。あぁ、この文章を全部削除したくなった。恥ずかしい。でもこれは備忘録だから。この恥ずかしさも全部未来の自分のために曝け出さねばならない。


「そんなの言い訳じゃない?結局自分を見てもらいたいだけのくせに」


うるさいなぁ。いいでしょ。なんだって。承認欲求も含まれているだろうけどさっき書いた理由も本当なんだよ。


最近、というかここ数年か。私を否定してくる私が常にそばにいる。否定し続けて、肯定は絶対にしない。


自分を好きになれないことは、苦しい。


好きになりたい。


「こんなに酷い性格しているくせによく自分のこと肯定しようと思うね」


それを言われると言い返せない。


「というか、こんなに自分を卑下するのって『そんなことないよ』って人に言われたいからじゃないの?だっさいなぁ」


うるさい、やめてほしい。


「いいじゃん。私がいなかったらもっと性格悪くなるよ?よくもまあ自分を好きになろうだなんて烏滸がましいこと考えるね」


……一回考えてみようよ。友達とか、大切な人がこの気持ちを持っていたとしたら。私はどう思う?たとえその人が自分のことを嫌いでも私はその人が好きなままなんじゃないの?


「ほら、また肯定されたがってる」


本当にうるさい。でもコイツの言葉は否定できない。事実だから。


この文章を書いていて、自分が嫌いな自分の言葉を文字に起こして気づいた。私は私を好きでいたいわけじゃない。自分を好きになれるくらい、コイツの言葉を全否定できるくらい素敵な人になりたいんだ。

昔、部活で後輩のことを救けることができたじゃないか。こんな私でも素敵な人になれる可能性はある。


「あんなにいい子の後輩をダシにするの?あれはお前だけの力じゃないでしょ」


そうだけど、あれは私が動かなきゃダメだった。私が気づいていなかったら、行動を起こしていなかったら。後輩はきっと嫌な気持ちを抱えたまま部活を辞めてしまっていた。私だって素敵な人間になれるはずなんだ。



……言い返してこない。やった!勝ったぞ!


地の底を這っていた自己肯定感が僅かに上がった感触。あぁ、こうすればいいのか。自分を好きになるには。


真摯に人と向き合って。悪いことをしてしまったと思ったら謝り、反省する。そうすれば自ずと自己肯定感を上げられるような出来事が起こる。その出来事があれば、私を嫌いな私は何も言えなくなるのだ。


まだ、自分のことは嫌いだけど。好きになる方法を見つけられただけで良かった。


一回きりしかない人生。嫌いでいるより好きでいた方が絶対楽しいもんね。

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