4話 勇者の弟子と再会
「おめでとう、ララ」
大会の閉会式が終わって控室に戻るとジオ様が待っていた。
「ジオ様!ありがとうございます!ジオ様のおかげです!」
「ララの日頃の鍛錬の積み重ねの結果だ。剣の技ではとっくに俺を超えていた」
「でもまさか『剣聖』だなんて!」
「ララの父親は『勇者』にならなければおそらく『剣聖』になっていた。それを受け継いだのだから誇りに思っていい」
「そうだぜ、嬢ちゃん。おっといけねえ!これからは『剣聖様』って呼ばねえとな」
「ゼト様、今まで通りでいいですよ」
「そうはいかねえんだ。剣士の世界は強さで上下関係が決まる。嬢ちゃんはこれから俺を含めた全ての剣士に命令できる立場になる」
「えぇー!そうなんですか?」
「剣士の頂点に立つってのはそういう事だ。『剣聖』ってのは『剣豪』よりも格上だからな。それに俺はもう『剣豪』じゃねえ」
「えっ?どうしてですか?」
「負けたのに名乗る訳にゃいかねえだろ」
「『剣豪』は空席になったのですから団長が『剣豪』でいいのではないですか?」
レィア様が提案した。
「ララ殿が『剣聖』になった時点で、剣術大会の最高責任者はララ殿になりました。『剣聖』であるララ殿が指名すれば問題ありません」
「そうなんですね。でしたらゼト様は引き続き『剣豪』でお願いします」
「ええ!負けたのに『剣豪』を名乗るなんてかっこわりいな」
「そうでないとわたくしが『剣豪』の団長を倒すことができませんから」
「いや、レィアも今度は『剣聖』を目標にすりゃいいだろ?」
「さすがに『剣聖様』に勝てるとは思いませんので」
「俺には勝てそうって事かい!」
「ふふっ、相変わらず仲いいですね!」
「「よくない!」」
「あはは!あいかわらず息もぴったりです!」
「ララ! いるか?」
そこに飛び込んできたのは何とココさんだった。
「ララ!やっと見つけたぞ!」
ココさんは私に抱きついてきた。
「ココさん!お久しぶりです。どうやってここまでこれたんですか?」
「邪魔されたけどみんな吹っ飛ばして来た」
剣術大会会場の警備って中級以上の剣士たちのはずなんだけど、全員突破するココさんて、どんだけ強いんだ?
「仕事片付けてやっとこの国に来たけど、ララがどこにいるかわかんなくて困ってたんだ!そしたら大会に出てるって聞いて来たんだ。すごかったぞ!ララ!」
「ありがとうございます!ココさん」
そこに警備担当の剣士が駆け付けてきた。
「申し訳ありません!不審者の侵入を許してしまいました!」
「あっ!大丈夫ですよ。この人は私の友人です」
「しっ!失礼しました!『剣聖様』のご友人でしたか?」
「おう!ララが見つかったから気にしてないぞ!」
「ララ殿、このお方は?」
「レィアさんは初対面ですよね?魔王探索の時に知り合った冒険者のココさんです。あの時はココさんに助けてもらったんです」
「冒険者の『ココ殿』ですか?あの噂に聞く『最強の上級冒険者』でしょうか?」
「えっ?ココさんってそんなに有名なんですか?」
「この国ではあまり話を聞きませんが、他国では有名です。何でも素手の一撃で中級の魔物を倒したとか?」
「そうなんですか?」
「おう!中級の魔物なら大体殴ったら死ぬぞ!」
「ココさん、そんなすごい人だったんですね?」
「よくわからんが、しばらくこの国のギルドを拠点にする事にした!ララがいるからな!」
なんだか賑やかになりそうだな。