表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第7章 勇者と魔王
81/317

3話 勇者様と本当のデート

「ジオ様! 明日のお休み、私とデートして下さい!」


 夕食の後、ジオ様に正面から挑んだ。


「デートって、いつもの買い物の事か?」

「そうだけど、違います! ほんとのデートです!」

「どう違うんだ?」

「保護者ではなく、男女のデートをして下さい!」


(言っちゃった!一か八かだけど、もう迷わないって決めたんだ!)


 ジオ様の顔が次第にうっすらと赤くなっていった。


「・・・ララ、俺はお前の事を・・・」

「待って下さい! 返事は「はい」か「いいえ」でお願いします。言いたい事があるならデートの時に聞きます!」


「・・・・・それって、選択の余地がないだろう?」

「どっちですか?」


「・・・はい」

「では明日、いつもの場所で待ち合わせです!」


 強引に話を進めてしまった。

 もう引き返せない。


 明日勝負を決める!




 翌日、シーラさんたちがこれまで以上に気合を入れて仕上げてくれた。


「うわー、なんかすごい大人っぽいんですけど?」

「本気でジオ様を落とすつもりでしたらこれくらいやらないと!」


 白いチュールスカートで露出は少ないのにさりげなくボディラインのわかる服装だ。

 そしてメイクもこれまでより大人びている。


 っていうか、私・・・きれいすぎないか?


「では行ってらっしゃませ。ご武運を!」


 なんか仰々しく送り出されてしまった。




 いつもの通り中央広場の待ち合わせ場所に行くと、今日はジオ様が先に来ていた。


 しかも、メガネスタイルではなく勇者スタイルのジオ様だ!


 もちろん服装がカジュアルなので勇者には見えないが、とんでもないイケメンが待っていた。


 女性たちが顔を赤らめて遠巻きに見ている。

 さすがにイケメン過ぎて声をかける勇気が出ないらしい。


 私は女性たちの壁をかき分けて、ジオ様の前に出た。


「おまたせ」


 大人っぽく上品に微笑んでジオ様に声をかけた。


 ジオ様は一瞬驚いた顔をして、ほんの少し顔を赤らめ、それから柔らかく微笑んだ。


「行こうか?」

「はい」


 あっけにとられた顔の女性達をかき分けて歩き出した。




「ジオ様、今日は変装しなくていいんですか?」

「本当のデートだと言っていたからな。今日はそのつもりで来た」


 それって私のごっこ遊びに合わせてくれるって事なんだろうか?

 

 ・・・それとも・・・本当にそのつもりなんだろうか?


 

 いつもと同じ様にウィンドウショッピングをしたり、食事をした。

 でも今日はジオ様が「彼氏」として隣にいてくれてる。

 会話の内容はいつもと変わらないのに、今までよりもずっとドキドキした。



 食事の後は演劇を鑑賞した。


 今はやりのストーリーで、愛し合う男女が最後は結ばれるものの共に死んでしまう悲恋の話だった。


「あの二人は、自分たちが結ばれたら悲しい未来が待っているとわかっていても一緒にいる事を選びましたね」

「ああ、そうだな。ララだったらどうしていた?」


 ジオ様がこんな問いかけをしてくるのは珍しい。


「私ですか、私だったら・・・二人いっしょに助かる方法が無いか最後まであきらめずに探します!」

「そうか、 ララらしいな」

「ジオ様はどうしますか?」

「俺は・・・そうだな・・・」


 ジオ様はかなり考え込んでいる。


「ジオ様は、自分を犠牲にしてでも相手を助けようとするのではないですか?」


「・・・・・」


 ジオ様は何も言わなかった。



「ジオ様!向こうの公園に行きましょう! かけっこです!」

「ララ!ちょっと待て!」


 私たちが本気で町の中を走るとえらい事になるので、ほどほどに手を抜いて走った。

 ジオ様と並んで走っているだけなのに、ただそれだけで楽しかった。


 日常の些細な事の一つ一つが、ジオ様と一緒というだけで全て楽しく感じた。




 夕暮れ時になって、いつもの時計塔の上に登っていた。


 二人並んで腰を下ろして夕日を眺めている。



「ジオ様、今日はとても楽しかったです」

「俺も、こんなに楽しかったのは生まれて初めてだ」

「ジオ様も・・・ですか?」

「ああ、こんな気分になれるなら、もっと早くこうしていれば良かったな」



 今日の私には自分に課したミッションがある。




(ジオ様にキスをする)




 ジオ様は、恋愛も結婚もしないと自分で誓約を立てている。

 私にルイ殿下との婚約を勧めてきたのもその一環だ。

 このまま、ただ待っていてもジオ様の方から関係を進展させる事は無いだろう。


 だから私は自分からジオ様を手に入れに行く。


 その第一歩として、今日は必ずジオ様とキスをするという目標を決めたのだ。



「ジオ様・・・」


 私はジオ様にもたれかかって肩に頭をすりよせた。


 するとジオ様も私の頭に頭をすりよせてきた。


 距離が近づいてジオ様が気を緩めている。


 今がチャンスだ!



 私が行動をおこそうとしたその時、


 ジオ様は体をおこして私の肩を抱き寄せた。




 そして




 ジオ様の唇が私のに唇に触れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ