8話 勇者の弟子と救援依頼
その後も探索を続け、再び魔物を気配を察知した。
「ルナ、担当変わって!今度は僕が攻撃するよ」
「いいよ、レン」
今度はルナが防御障壁を展開した。
ルナは魔法士講座の首席だけあって、ほとんどの中級魔法を高いレベルで使える。
現在は『中級魔術師』を目指しているそうだ。
レンは『ホーリーアロー』の魔法陣を描いている。
「僕もこの前のララの魔法陣を練習してたんだ!」
私は、魔物をおびき出し、レンの魔法陣の射線上に誘導する。
アロー系の攻撃魔法も多少の軌道修正が可能だが射速が速すぎてほとんど調整が出来ない。
「ララ!いいよ」
なので私は、一旦魔物をレン達から引き離し、距離をとってからレンの魔法陣に向かって正面から一直線に走った。
「今よ!」
私は直前でジャンプしてレンを飛び越えた。
「うわぁ!『ホリーアロー!』」
一直線に突っ込んできた『岩猪』の脳天を『ホーリーアロー』が貫通した。
頸椎に穴が空いて活動を停止した『岩猪』はそのままルナの張った防御障壁に激突した。
「ララ!びっくりするじゃない!」
ルナが怒り気味に言った。
「ごめんごめん!でも狙いやすかったでしょ?」
ルナの防御障壁は頑丈なのでこれくらいではびくともしない。
「そうだけど、先に言ってよ!さすがにびっくりしたよ」
レンもちょっと怒ってる。
「でも、とりあえず、レンも初討伐成功ね!」
「ああ、ありがとうルナ!それにララも!」
「どういたしまして!」
それから数体の魔物を討伐した。
ルナもレンも呑み込みが早く、コツをつかんでだんだん効率よく討伐が出来るようになってきた。
後半は剣士のサポート無しで二人だけでの討伐にも成功した。
二人は剣は使えないけど身体強化は使えるので、慣れてきたら囮役も自分たちでやり始めたのだ。
(二人とも息がぴったりね)
「ちょっと早いが、そろそろ終わりにして戻るか?」
教官が声をかけた。
「向こうで何か動いたからあれで最後にしよう」
レンが何か動くものを見つけたらしい。
「じゃあ私が見てきます」
私はレンが示した方に向かった。
(でも魔物の気配はしないんだけどな?)
私が近づくと茂みからガサッと音がした。
警戒しながらゆっくり近づくと、茂みから傷だらけの女の人が現れた。
「ああ、良かった!人がいた。お願いです。助けて下さい!」