6話 勇者の弟子と実習開始
討伐実習の当日になった。
私の『附加装備』はギムさんに頼んで偽装のために色を変える機能を追加してもらった。
ライトメイルはグレー、小手とブーツは茶色、レイピアは鞘やつばの部分を鉄色にして一般的な装備と同じ雰囲気にした。
装飾が精巧すぎて目立つ箇所は布を巻いたりして隠した。
元のデザインが全体的に高級感ありすぎだったのでカモフラージュに苦労した。
念のため弓矢も持って行く。今回は剣術講座じゃないので武器は何を使っても問題ない。
それと私のレイピアは機能を追加して魔法の杖としても使えるようになった。
実戦で私が魔法陣を描く機会も増えたので、いちいち剣と杖を持ち換えるロスをなくすため、ギムさんに相談してみたらあっさり追加してもらえた。
レイピアの方が扱いなれているので魔法陣の描画速度がさらにアップした。
実習の場所は剣術実習とは別の場所で、こちらは比較的四足の魔物が多い場所らしい。
現地に到着して説明を受けた後、パーティー単位の行動となった。
剣士の教官は少し先行して周囲の偵察に行っている。
「ララはもう討伐は慣れたものだろ?」
レンが話しかけてきた。
「そうだね、剣術講座の討伐には何度も同行してるからね」
「上級剣士になるのも時間の問題だもんな」
「認定試験の日程がなかなか決まらなくて、まだ試験受けられないんだよね。まぁ受かるかどうかもわからないし」
「なあ、ララってほんとに勇者パーティーのメンバーじゃないの?」
「違うってば、エルたちも見たって言ってたでしょ?」
「ふぅん、じゃあ勇者様と恋人同士ってのは?」
「ちっちちっ! 違うに決まってるでしょっ!」
あせって噛んでしまった!
「レンてば、ララが困ってるよ」
ルナが止めてくれた。
「でもララって私たちの町の時も勇者様に助けてもらったんでしょ? 人生で2回も勇者様に助けられるって、やっぱり運命だって思ったりしないの?」
「えっ?その話初耳なんだけど?」
「あれ?ララ話してなかったの?」
(しまったぁ! ルナとクラスメート接点無いと思ってたから特に口止めしてなかった!)
「えーと、ですね、知られると話が大きくなるからあえて言わなくてもいいかなって・・・」
「隠してるってかえって怪しいんだけど?でも確かにそれって運命じゃないの?」
レンも同調してくる。
「ぐ、偶然だよ! それに勇者様女の人に興味ないって言ってたし!」
「その情報を聞き出したって事は、ララから何かアプローチしたって事だよね?」
ギクッとした表情が表に出てしまった!
ルナが妙にするどい!
「えーと、えーと、あぁもぅ! しょうがないでしょ!あんなにかっこいいんだから!」
(だめだ!もうごまかしきれない!)
「将来の夢は勇者様のお嫁さん」
「「えっ?」」
「って、ララ、子供の時言ってたもんね」
「ななななっ!何で知ってるの?」
思わず声がひっくり返ってしまった!
「ララがお友達と話してるの聞いちゃったんだ」
そういえば割と大声で宣言した気がする。
あの時はまだこんなガチで恋に落ちるとか思ってなかったからな。
「そっ、そんなの子供のたわごとだよ!」
「そんな顔真っ赤にして言っても説得力無いよ?」
(だめだ、もう認めるしかない)
「あー!もぅ!はい、そーですよ!私は勇者様に片思い中ですよっ!」
「ははは、ついに認めたね」
「レン!絶対エルたちに言ったらだめだからね!面白がるにきまってるんだから!」
「言わなくても大体みんなそうじゃないかなって思ってたよ」
「あはは、わたしは応援するよ!ララ」
「僕も陰ながら応援するよ」
「ははは、ありがとう、二人とも」
(実習前にどっと疲れたよぉ!)




