3話 勇者様と世間話
「魔法士講座の講師になったそうだな」
夕食の時にジオ様が話しかけてきた。
「はい、そうです。ちょうどお話ししようと思ってたとこです。私は単なる受講生として参加するつもりだったんですけど魔法陣の特別講師になってくれって頼まれて引き受ける事になりました」
「セナから聞いた。ミトが大喜びだったそうだ」
「はい、私なんかでお役に立てればいいのですが・・・ミトさんが元気になったのは良かったです」
「転移魔法陣ではいつも助かっている。ララがいれば帰りはどこからでもすぐに帰れるようになったからな」
「私一人では無理です。セナ様が一緒でないと魔法陣は発動できませんから」
「ララがついて来ていなかった討伐の時にセナが帰りの転移魔法陣を描いたら2時間かかってたな。もう2度と描きたくないと言っていた」
「あはははは」
私の魔法陣の描画速度は、剣技の上達と共にどんどん速くなっていた。
『附加装備』を装着していると更に速くなる。
「あと、魔法士講座で幼なじみと再会しました」
「幼なじみ?」
「はい、私が住んでた町の学校の同級生です。中級魔法士でルナっていいます。町ではそれほど交流はなかったんですが、再会したらすっかり仲良しになれました」
「それは良かったな。ララは友達を作るのが上手だな」
ジオ様が優しく微笑んだ。
「はい!この学院に来てよかったです。友達がたくさん増えました。みんなジオ様のおかげです!」
この1年、ジオ様とほぼ毎日一緒に食事をしてきた。
遠征について行くようになってからは更に一緒の時間が増えた。
最初は無表情で会話も少なかったけど、最近は笑顔を見せる機会が増えてきた。
笑顔も最初は苦笑が多かったけど、だいぶ自然な笑顔を見せてくれる事が多くなってきたかな?
クールなジオ様もかっこいいけど、笑顔のジオ様はさらに何倍も素敵だ。
会話も多くなってきた。
以前は業務的な話しかしなかったけど、最近はたわいもない日常会話にも付き合ってくれるようになってきた。
私の話を聞いてくれるだけではなくて、ジオ様の方から日常的な話題を話してくれる事も増えている。
ジオ様が私を楽しませようと話題を提供してくれているのだ。
だんだんジオ様との距離が近づいてきた実感がある。
ただ、恋愛感情の方はまだまだかな?
この前のデートから少しは進展したとは思うんだけど・・・
ジオ様の方は相変わらず保護者目線で私の事を見ている気がする。
私はデートのつもりだけどジオ様は妹の買い物にでも付き合ってる感覚なのかな?
私の方の気持ちはかなり膨れ上がってきてるんだけどな・・・
体の方も14歳になってだいぶ女性的な魅力もついてきたと思うんだけど・・・レィア様のお色気にはまだまだ届かないや。
まぁ、焦らずにじっくりやっていこう!