2話 勇者様と初デート
ついに念願の初デートの日が来た!
朝からシーラさんたちが念入りにメイクアップしてくれた。
元気系か清楚系か悩んだけど、普段の自分が元気系なので今回は清楚系で決める事にした。
髪は両サイドを編み上げて後ろでまとめたお嬢様風。
白のブラウスに少し長めのフレアスカート。
パンプスを履いて少し大人っぽくまとめた。
シーラさんたちメイドチームはなぜかこういう時が一番生き生きしている。
「大人っぽさの中に、初デートらしい初々しさも残した絶妙の仕上がりにしました!」
シーラさんは自信満々で送り出してくれた。
ジオ様とは家から一緒に出ないで、王都の中央広場で待ち合わせにしてもらった。
初デートだし、こうゆうシチュエーションからちゃんと味わいたい。
あえて30分前に待ち合わせ場所に行ってジオ様が来るまでの時間を満喫する。
一つ誤算だったのは予想以上に次から次へとナンパが絶えない事だった。
「彼氏と待ち合わせです!」
と言ってきっぱり断っていった。
ジオ様はきっちり10分前に現れた。
ナンパの対処で辟易してたところに、人ごみの中からジオ様を見つけた時の高揚感!
これこれ!これを味わいたくて待ち合わせにしてもらったのだ!
(必ず来るってわかっていてもこんなに嬉しいものなんだぁ!)
私はナンパ連中を無視してジオ様の方へ駆けて行き腕にしがみついた。
「すまない、遅くなった」
「いえ、大丈夫です。私も今来たところですから」
ナンパ連中にふりかえって軽くあっかんべーをしてからジオ様と歩き始める。
彼らは顔を赤らめてぽかんとしていた。
ジオ様は勇者スタイルではなく、普段のちょっとさえないメガネ青年スタイルだったが、メイドさんたちがそれなりにコーディネートしてくれた。
普段はさえない青年がデートのために身なりを整えたら意外とイケメンだった風を見事に表現し、なおかつ勇者様の時とは全く別人に見えるように方向性を変えてある。
ジオ様も意図的に勇者の時の不愛想な表情ではなく、少し穏やかな表情をしていた。
私的にはこっちのジオ様もかなり好みだ。
うーん二人のジオ様の間で迷ってしまう。
私ってばいけない女だ。
今朝はメイドさんが2チームに分かれて私とジオ様のコーディネートをするために、バトラーさん指揮のもと、完璧な計画を立ててミッションが遂行されたらしい。
たかがデートのためにお屋敷をあげてここまでしてもらえるなんて私はなんて幸せ者なんだろう。
「今日のララは一段ときれいだな、やっぱりララは白が似合う」
ジオ様がさらっと爆弾を投下する。
私は真っ赤になりながら、
「あっ!ありがとうございます。ジオ様もとても素敵です!」
「ははは、これは変装だけどありがとう」
今日のジオ様、常に穏やかに微笑んでいるし、口調もいつもより柔らかいので破壊力がさらに増している。
ちょっと私の気持ちがこちらのジオ様に傾き始めた。
(勇者のジオ様、ごめんなさい!!!本命は勇者のジオ様です!)