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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第3章 課外授業
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6話 勇者の弟子と課外授業

 今日は剣術の講座の実施訓練の日だ。


 剣術講座の生徒で一定レベルに達した者は実際に下級の魔物の討伐に参加する実習を行う事になっている。

 危険を伴うので教官以外にも下級剣士以上の剣士が複数人に同行している。

 私は受講生だがすでに下級剣士なので引率側として参加する様に依頼された。


 王都から西に3時間ほど離れた場所に、下級の魔物が出没する森があり、今回の実習はそこで行われる。


「魔物ってまだ直接見た事ないんだよね」

 エルはちょっと楽しみにしているみたいだ。

「わたしは見たくないよ~」

 リィナは結構怖がっているみたい。


「私も下級の魔物は見た事ないんだ」

 これまで遭遇したのは中級と上級だけだ。


「あれっ?ララは町が魔物に襲われたって言ってなかったけ?」

「うん、でも後で聞いたらその時の魔物は中級だったらしいよ?」

 

「むしろ中級に遭遇してる方がレアだわ!」

「ララっていろいろ順番が変だよね?」



 目的地の森に着いた。


 この森は下級の魔物が出没するため一般人は立ち入り禁止区域に指定されている。

 許可をとった冒険者などは魔結晶採取のために立ち入る事が許されている。


 今回は学院の実習という事で特別に許可が出ている。


 討伐実習は下級以上の剣士二人と生徒二人の4人のパーティで下級の魔物を最低でも1人1体を討伐する事を目標とする。

 私たちのパーティは教官1人と私とリィナとエルの4人だ。


「森に入ると人間の気配をかぎつけて魔物が寄ってくる。一体だけをうまくおびき出して討伐する。最初は俺とララの二人で討伐するからお前たちは少し離れてみていろ!」

 教官が指示を出す。


「あのー、私はいきなり実戦ですか?」

「お前はすでに『下級剣士』だろう、しかももう俺より強いんじゃないか?」

「下級の魔物と戦うのは初めてなんですけど?」

(中級と上級ならあるけど・・・)

「お前なら大丈夫だろう、でも油断はするなよ」


 今回は自分の『附加装備』を使うわけにいかないので別の防具と剣を装備している。


 私はみんなと違って魔力による『身体強化』の『防御』が使えないので、攻撃を受けた時は大きなダメージを受けてしまう。

 本来なら『身体強化』が使えないと剣士にはなれないし、討伐実習にも参加できないのだが、私の場合は先に『下級剣士』試験に合格してしまったので異例だそうだ。


 今日は特別に学院から防御効果のある『附加装備』の防具を貸してもらっている。

 私の専用装備に比べると性能は落ちるみたいだが下級の魔物相手であればそれなりにダメージを減らせるとの事だった。


 剣も討伐実習用の真剣を支給されている。

 細めのミドルソードを選んだが、いつものレイピアと比べると取り回しがだいぶ重い。


 あらためて私の『附加装備』の性能に驚かされる。

 あれに慣れてしまうとダメ人間になってしまいそうだ。


「そろそろ魔物に遭遇するぞ、注意を怠るな。見つけても攻撃せずに距離をとって森の端の方におびき寄せるんだ」


「「「はい、教官!」」」


「きゃ!」

 ふりかえって返事をした拍子にリィナが地面のくぼみに足を滑らせて転んでしまった。


「大丈夫?リィナ」

 エルと私で手を貸してリィナを助け起こす。


「あいたたた! ありがとう・・・ララ!後ろ!」

 リィナが驚愕の表情で叫んだ。


(うん、わかってる)


 私はリィナの手を離すと同時に後ろ向きに跳躍し振り返りながら抜刀、そのまま横一文字にソレを切り裂いた。


 ソレは胸の下あたりで上下にきれいに分断され地面に転がった。


 人のような猿のような形をした全身緑色の魔物だ。

 大きさは私より少し小さいぐらいだろうか?

 頭はでこぼこでいびつな形のこぶがあり、手足は細いが指には太くて鋭い爪が生えていた。


「「いたたたたっ!」」

 私が手を離したために、リィナはエルを巻き込んで再び転んでしまった。


「大丈夫か?」

 教官が駆け付けた。


「ええ、私たちは・・・転んだだけです」

「ごめんね!私が手を離したせいで、大丈夫?ケガしてない?」

  私は剣を収めて再び二人に手を伸ばした。


「いや、それよりも、魔物が突然現れて、ララが一瞬で倒した? もう何が何だか?」

 エルはだいぶ混乱している。


「ララは大丈夫だった? 速すぎて何も見えなかったけど?」

 リィナが私の心配をしてくれた。


「うん!攻撃を受ける前に倒したから私は何ともないよ!」


 魔物は蒸気を吹き出しながら消滅し始めていた。

 分断された下半身の断面には小さな魔結晶が見えていた。


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