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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第15章 愛の形
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12話 勇者の弟子と寝覚め

 目が覚めると窓の外がうっすらと明るくなり始めていた。


 質の良い眠りだったらしく体の疲れも取れてすっきりした気分だ。




 そう、昨夜はついにシンと体を重ね一つに・・・・・






 ・・・・・・・あれっ?






 シンとジオ様に挟まれて夢見心地になって・・・それからどうしたっけ?


 ・・・どうしてもその後の事が思い出せない。


 自分の状態を確認すると、全裸だった。


 昨晩ベッドに入るまでの事は夢ではなかったはずなのだが、夢見心地で二人に挟まれた後の記憶がない。




 ・・・もしかして私・・・寝落ちした?




 ベッドには私一人で、ジオ様とシンの姿は無かった。

 部屋の中も見回したけど二人の姿は無い。


 夢ではなかったとしたら二人はどこに行ったのだろう?




 まさか、私が寝ている間に二人だけで逢引き!


・・・何て事はないだろうけど。



 私はとりあえずベッドから立ち上がって、シーツをさっと体に巻いた。


 寝所から出て、二人を探す事にしたのだ。





 寝所を出ると、後宮の中はまだ静まりかえっていた。

 夜明けまで、まだ少し時間がある。

 皆が最も深く眠りについている時間だからだ。


 でも、おかげで起きている人間の気配を掴むのが容易だった。


 浴室の方で人の気配を感じた私は、浴室へと向かった。


 後宮は共有の大浴場の他に、各屋敷にもそれなりの広さの浴場がある。

 寝所から屋敷の浴室までは、距離も近くプライベートスペースなので裸同然の姿でも移動できるのだ。


 浴室に近づくと、話し声が聞こえてきた。


 ・・・これは!・・・ジオ様とシンだ!


 話の内容まではわからないけど、二人が楽しそうに会話している事はわかった。

 どうやら二人で入浴しにしていたらしい。


 私は浴場の扉を開けて中に飛び込んだ。


 すると中では・・・裸で湯に浸かった二人が・・・肩と肩が触れそうな距離で仲良く並んで楽しそうに会話をしていたのだった。


「ジオ様!シン!こんなところにいたんですか」


「ララ、目が覚めたのだな」


「ララ殿、よく眠れたか?」




「・・・やっぱり私、寝落ちしちゃいました?」


「ああ、気持ちよさそうに眠ってしまったので起こすのに忍びなくてな。ジオ殿と共に起きるのを待っていたのだが・・・朝まで起きそうも無い感じだったので、汗を流しに来ていたのだ」


 …それにしては二人、とても仲睦まじく楽しそうだったんですけど?


「やっぱりそうだったんですね。起こしてくれればよかったのに」


「昨日は大活躍だったから、魔法で体の疲れを治しても精神の疲れは残っていたのだろう。それにララの寝顔があまりにもかわいらしくて、シンと二人でずっと眺めていたのだ」


 うわぁ!全裸で爆睡している姿を二人にずっと見られていたなんて!


「とにかく!私もそっちに行きます!」


 私は体に巻いていたシーツをはぎ取って、湯船に飛び込み、そのままジオ様とシンに抱き着いた!


「これから仕切り直していいですか?」


 私は二人に尋ねた。


「ああ、もちろんだとも」


 シンが返答し、ジオ様もうなずいている。


 私は二人に交互にキスをした。


 そしてお湯の中で二人に体を擦り付ける。


 健やかな睡眠で落ち着いていた体が、急激に火照り始めた。



 ・・・もうこのままお風呂の中でしちゃおうかな?




 三人でいちゃいちゃしながらそんな事を考えていると、突然浴場の扉が勢いよく開いた。




「陛下!いらっしゃいますか!」




 扉を開けたミラが、大きな声で叫んだのだ。


「どうした?ミラ」


「・・・これは!お取込み中でしたか!・・・申し訳ありません!しかし緊急の要件なのです!大至急お伝えしたい事が!」


「わかった。すぐ行く・・・ララ、少し待っていてくれ」


 シンは私から離れて湯船から出ると腰にタオルを巻いてミラの方に早足で歩いて行った。


 浴室の外でミラの何やら深刻な話をしている様だ。




「何があったんでしょうか?」


「さあな、何か深刻な問題の様だが」


 私は湯船の中でジオ様にしがみついて、シンとミラの話が終わるのを待った。




 少ししてシンが険しい顔をして戻って来た。


「ララ、すまない。今すぐ属国に向かわねばならなくなった」


「属国って、また大河の国ですか?」


「今度は別の国だ。以前から仲の悪い国同士がにらみ合っていたのだが、どうやら紛争が始まってしまったらしい。一刻も早く俺が駆けつけて、鎮圧しないと市民に被害が広がってしまう。今からすぐ出発するが、帰りは何日着になるかわからない。すまないが今夜の事は次の機会にしてもらえないだろうか?」


「それなら私も一緒に行きます!」


「いや、これは魔物討伐ではなく帝国内の人間同士の政治的な問題だ。大聖女とはいえ他国の勇者でもあるララ殿が下手に介入すると、国際問題になりかねない。申し出はありがたいが今回は帝国内で処理する」


「・・・そんな・・・・」


「ララ、さすがに王国への帰還もこれ以上伸ばせない。今回は一旦王国へ戻ろう」


 実はジオ様の言う通り、王国からも早急に戻る様に指令が来ていたのだ。

 今夜のためにギリギリまで帰国を伸ばしていたのだった。




「わかりました・・・シン、気を付けて行ってきてください」




「ああ、行ってくる・・・ジオ殿もまた会おう」


「ああ、気を付けてな」




 シンは最後に私に優しくキスをして、それからミラと共に去っていったのだった。


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