10話 勇者の弟子と念願の夜
帝都に戻ると丁度夕食の時間だった。
食事をしながらシンに今日の経緯を話して聞かせたのだった。
「それは大活躍だったな。村々を救ってくれて心より感謝する。しかしそれでは今日はかなり疲れているだろう?予定を変更して今夜はゆっくり休んだ方が良いのではないか?」
「疲れは回復したのでもう大丈夫です!何より今夜のために頑張ったんですから!」
「そうか、それなら良いが」
「はい!むしろ頑張ったご褒美を貰わないと!」
私のテンションにシンは少し引き気味だったが、昼間の興奮がいまだに覚めない私は、このままシンとベッドインする気で満々だ。
食事の後は入浴タイムだ。
汗臭かったら興ざめだからね。
後宮の大浴場でジオ様とテンちゃんと三人で一緒にお風呂に入った。
テンちゃんに体を洗って貰いながら私はジオ様の体を念入りに洗う。
「なぜ俺までこんなに丁寧に洗っているのだ?」
「もちろん、今夜はジオ様にも立ち会ってもらうからです」
「俺は傍にいるだけで何もしないのだが?」
実は私とシンの事が済んだ後は、続けてシンにジオ様を抱いてもらう作戦はまだジオ様には明かしていないのだ!
これは私からジオ様とシンへのサプライズだからね!
二人とも絶対愛し合っているはずなのに、私に遠慮してるのか本当の気持ちを正直に打ち明けてくれないからね。
最初は男同士のそういう関係なんだと思ってたんだけど、ジオ様が女性の体になってからの方がシンのジオ様に対する態度が顕著になっているので、二人は性別に関係なく惹かれ合っていいるに違いないのだ!
先日はジオ様が事務的にシンと関係をもって私を安心させようと提案してたけど、あれって本当はジオ様もそれを望んでいるからなんだと私はにらんでいるんだよね。
でも、それならそれで、ちょうど良かったのかもしれない。
今夜は私が浮気をしちゃう日だけど、同時にジオ様にも浮気をしてもらって、三人がそれぞれ相思相愛という究極のハッピーエンド三角関係を完成させる計画なのだ!
お風呂で徹底的に体を磨き上げた後は、勝負下着を身に着けて、寝所でシンを待つ事になる。
「だからなぜ俺までこんな格好をする必要があるのだ?」
「それはもちろん!私一人だけこんな恥ずかしい格好をしたくないからです!」
微妙に素肌が透けて見えるこの下着は、なまじ全裸になるよりエッチに見えるのだ!
ジオ様のこんな姿を見たらシンだって絶対に冷静でいられるわけがない。
シンがその気になってくれたらこっちのものだ!
「しかしこれは・・・裸でいるよりも恥ずかしいのだが・・・」
「ジオ様も恥ずかしいと感じるのですか?」
勇者の能力で精神的な不安定さを取り除かれているジオ様は多少の事では感情が揺らがないのだけど・・・
「ララにこの姿を見られて言うと思うと、なんだかいたたまれないというか、意識してしまうのだ」
ジオ様は私に対してのみ精神防御が効かないのだった。
・・・それはおそらくジオ様が私の事を本気で愛しているからだと推測している。
という事は、ジオ様がシンに対しても同じ様に恥ずかしさを感じたとしたら、それはジオ様がシンを愛していることの証明となるのだ!
「それに・・・ララのそんな姿を見ていると・・・なんだか体が疼いてしまいそうだ」
「それって、どんな感じなんですか?」
「ララを抱きたいというか、どちらかというと抱かれたいというか、男性の体だった時と違った感覚で良く分からないのだ」
これは、ジオ様の心の女性化が着実に進行しているのかもしれない。
やはり今夜はジオ様とシンが結ばれる絶好の機会なのではないだろうか?
「これはこれは、麗しい乙女が二人で出迎えてくれるとは、男冥利に尽きるという物だ」
ジオ様とたわいもない話していると、そこへシンがやってきた。
「しかしこれは・・・ララだけでなくジオ殿にも欲情してしまいそうな格好だな?」
予想通り、シンはジオ様のこの姿にかなり魅了されているみたいだ。
「ふふっ、今夜は私だけでなくジオ様も抱いてみたくなりましたか?」
「ははっ、そうだな、これだけの美女を前にして手を出さないのは失礼にあたるからな」
「冗談はそれくらいにしておけ・・・今日は・・・ララとの初めての夜だろう?」
ジオ様は顔を赤らめて、手で体を隠しながらシンを窘めているのだが、その仕草があまりにもいじらしくて、男の人から見たらたまらないんじゃないかな?
「どうです?女性になったジオ様の体、なかなかの物だと思いませんか?」
私はジオ様をシンの前に立たせました。
「いや、確かに美しいな。これほどの美女にあったのはこれまでの人生で二人目だな」
「えっ?こんな美人が他にもいたんですか!」
今のジオ様に匹敵するほどの美人って・・・私は見た事がないのだけど?
「・・・いや、君の事なんだが?」
「えっ!・・・ああ、そっか・・・」
なんかあらためて言われるとなんだかすごく恥ずかしい。
「とにかく!今夜はよろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそ」
シンはそう言ってがベッドの方に歩いてきた。
・・・ついに、シンとその時を迎える事になるのだ。




