表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第15章 愛の形
309/317

7話 勇者の弟子と水中の調査

 このオアシスの町から周囲の小さなオアシスへの水脈が断絶している原因を探るために、まずはオアシスの中を調査する事にした。


 そのためにはオアシスに潜る必要がある。

 私は手慣れた感じで半身水につかり、水の中で下半身裸になって人魚の姿に変身する。


「じゃあ、調べてくるね」


 水中深く潜り、オアシスの底に異常が無いか調査した。


 オアシスと言っても、このオアシスは湖と言ってもいい大きさだ。

 底を調べ尽くすだけでも大変な作業だ。 


 一人ではかなりの時間がかかりそうなので、ジオ様とテンちゃんにも手伝って貰って手分けして調査した。


 テンちゃんも人魚の姿になる魔法を模倣して私やジオ様と同じ人魚の姿になって水中を探索してもらった。




 オアシスの底を三人で探索した後、調査結果の確認し合うために地上に戻ったのだが、私とジオ様は人魚の姿から元に戻る時はどうしても下半身裸の恥ずかしい姿になってしまう。


 でもテンちゃんは元々衣服も含めて魔法で人間の姿になっているために、テンちゃんだけは着衣の姿に戻れるのだ。


 ・・・いや、私も魔法で同じが出来なくはないんだけど、魔法を使わなくても出来る事を魔法で簡単に済ませてしまうのは私のポリシーに反するんだよね。


「そんな事にこだわっても、恥ずかしい思いをするのはララ様ですよ?」


 シィラにあきれ顔でしたためられた。


「恥ずかしい思いなら、既にいっぱいしてるよ!・・・でもそれを自分の力で解決する事に意味があるんだよ!」


 自分で言ってて何を言ってるのか良くわからなくなってるけど、要は知恵を絞って困難を克服する事に意味があるって事だよ。


 やっぱり私にとって『強欲の魔女』の魔法は他人から与えられたものって印象が否めないんだよね。

 自分の努力で手に入れたものではないっていうか・・・


 まあ、人魚になる魔法は使っておいて矛盾してるんだけど、人間の力で何とかなる事は極力魔法に頼りたくないんだよね。


「まあ、ララ様がそれでいいのでしたら構いませんが」


 シィラはそう言いながら預かってくれていた下半身の装備を手渡してくれた。


「俺も基本的にララの考え方には賛成だ」


 ジオ様が賛同してくれるのはやっぱり心強い。


 ・・・真剣な顔でそう言ってくれてるのはかっこいいのだけど・・・下半身丸出しなのでちょっとしまらない・・・




「その考え方に賛同します」


 テンちゃんもそう言うと、下半身の服が消えて下半身裸になってしまった!


「何やってんの!テンちゃん!早く元に戻して!


「主の主義に賛同するのは使い魔として当然の事かと?」


 テンちゃんもジオ様同様、下半身丸出しのまま真面目な顔で小首をかしげている。


「そういう事じゃないんだよ!テンちゃんは元々竜なんだから私たちに合わせる必要はないんだよ!」


「ですが・・・ララ様たちだけに恥ずかし思いをさせるのは気が引けます。・・・それに恥ずかしいという感情を共有してみたいです」


 テンちゃんは特に恥ずかしげもなくそう言っている。


「別に恥ずかしさを共有しなくていいよ!私の方がもっと恥ずかしくなっちゃうじゃない!」


 なんだかいたたまれなくなった私は手に持っていた装備をぎゅうっと体に押し付けて前を隠した。


「・・・確かに、俺もテンちゃんの姿を見ていたら自分の格好がなんだか恥ずかしくなってきた」


 ジオ様も少し顔を赤らめて、手で前を隠している。


「・・・これが・・・『恥ずかしい』という感情なのですね?」


 テンちゃんも真似して顔を赤らめて手を足の間に挟むポーズを真似していた。




「・・・あの・・・この場で一番いたたまれないのは、皆さんのあられもない姿を見せられているわたくしなのですが・・・」


 シィラにあきれ顔で言われてしまった。




 ・・・結局これでは毎度体裁が悪いので、今後は人魚の変身を解く時は魔法で装備を装着して、謎の露出サービスは控える様にするという事で話がまとまった。


 つまり人魚の姿に変わる時は下半身の装備を異空間に保管して、元に戻る時はそれを瞬時に取り出して装着するという事なんだけど・・・この魔法は使い始めると、生活のいろんなところで楽ができてしまって、なんだか人間としてダメになっていく気がするからあまり使いたくなかったんだよね。




・・・私としては、なんだか敗北した気分なのだけれど・・・




「それで、オアシスの底を調査した結果だけど、何か異常は見つかった?」


 私はジオ様とテンちゃんに尋ねた。


「俺の方は何もない」


「こちらも異常なしです」


 ジオ様もテンちゃんも、特に変わったものは見つけられなかったらしい。


「私の方も何もなかったよ・・・というか、そもそもこのオアシスから地下水脈に水が流れて出ている形跡がなかった」


 おそらくこのオアシスから地面に浸み込んだ水が地下水脈となって砂漠の地下を流れ、周囲のオアシスから湧き出しているはずなのだが、このオアシスから水が浸透している様子は見つからなかったのだ。


「そうなると・・・やっぱり途中で地下水脈が遮断されているって事だよね?」


「つまり水脈の途中に何か障害があると?」


「そう、このオアシスと、周辺の小さなオアシスの間に何か水流を遮断する要因があるって事だよ!だから次は地中の調査だよ!」


「どうやって地中を調査するんだ?」


「私にいい考えがあるんだよね」


「どうするんだ?」




「今度は土の中に潜っちゃえばいいんだよ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ