2話 勇者の弟子と決意表明
帝都に帰ると、レダとミラ、それにシィラがルルを連れて出迎えてくれた。
「ルル!会いたかったよ!」
私はシィラからルルを受け取って抱きしめた。
そんなに時間は経ってないけど、また一回り大きくなった気がするよ。
「ルル様にはわたくしの母乳を与えつつ離乳食も与えておりましたが、だいぶ離乳食の方も多く召し上がられる様になってこられました」
「そっか、ありがとうね。シィラ」
「いえ、このような時に乳母となるために子供を産んだのですから」
・・・シィラもルルに母乳を飲ませる事で、シィラちゃんと別れた悲しさを解消しているのかもしれないね?
私も後で久々にルルに飲んでもらおう。
・・・ちなみに私の母乳は最近はもっぱらシス女王に吸われてばかりだった・・・
その時のシス女王があまりにもテクニシャン過ぎて、私は危うく変な世界に目覚めそうになってしまった・・・
そして、その後でその技を後でジオ様にも試してみたところ、ジオ様の母乳が勢いよく噴き出して大変な事になってしまったのだ!
その時のジオ様の恥ずかしそうな顔が、すごく可愛くて今でも忘れられないよ!
「みんな!お帰りなさい!」
「皆様、お勤めご苦労様でした。ご無事で何よりです」
「ただいま!レダ!ミラ!」
「それでそれで!ララはついに大河の国の女王の妃になったの?」
レダが嬉しそうに聞いてきた。
「ならないよ!レダ」
「そうですか、それは良かった」
ミラはそれを聞いてほっとしたみたいだ。
「実はジオ様も求婚されたんだけどね。でも、シス女王は正妃との愛を再確認して、私たちの事は諦めてもらったよ。詳しい話は後でたっぷりとしてあげるね!」
「大河の国の魔物は無事に討伐した。これでしばらくはあの国も安泰だろう」
「今回はかなり大規模な侵攻だったと聞きましたが、なんでもテンちゃんが大活躍したとか?」
「うん!今回の一番の功労者はテンちゃんだったね。テンちゃんってば人間の姿のままでもドラゴンブレスが放てるんだよ!」
「わあ!すごいね!テンちゃん!今度あたしにも見せて!」
レダは大はしゃぎだけど、ドラゴンブレスを放てる機会ってそうそうないよね?
「それは、大丈夫なのですか?テンちゃんの正体を勘繰られたりは?」
「大丈夫みたいだったよ。私やジオ様のパーティーメンバーだと言ったら、みんなそれとなく納得してくれたみたいで特にそれ以上聞かれなかったよ!」
私とジオ様がすでに色々規格外だからね!
この大陸の人たちって、細かい事を気にしないので本当に助かるよ。
「ララ様の仰せのままに行動したにすぎませんので」
テンちゃんがたおやかにほほ笑んだ。
くぅう・・・やっぱりテンちゃんはかわいい!
テンちゃんのほほ笑みはどうしてもラルとジルを思い出してしまう。
・・・そうだ!本題に入らなきゃ!
「シン、大事な話があるの。今晩、私の後宮に来てくれる?」
「話を聞くのは構わないが、今夜はミラの元で夜を過ごす予定になっている。その前でよければ少しなら話を聞く時間を作る事が出来るが」
「そっか、皇帝ともなると世継ぎを作るのも責務だもんね」
シンには現在、私を含め三人の妃がいるけど、実際のところ世継ぎを作る対象となりうるのはミラだけだったからね。
この間まで、ミラはずっと旅び出ていたし、今度は入れ替わりでシンが出かけてたから仕方ないか。
「わたくしは別に予定が変わっても構いませんよ」
「ダメだよ!こういう事はちゃんとしておかないと!」
「ちなみに明日はレダと過ごす予定になっている」
「えっ、でもレダはまだ・・・」
レダの体が成熟するまでは、そういう行為はしないはずだったのでは?
「もちろん、だた一緒に添い寝をするだけだ。実際に事を交わすのはレダがもうすこし成長してからだが、ミラがそれでは公平でないと言ってな。一夜ごとにミラとレダの相手をする事にしてあるのだ」
「ふふっ、ミラらしいね」
「わたくしはレダとは年齢の上下も関係無く対等な立場でいたいと考えているのだ」
ミラはレダの肩に手を添えて、優しい眼差しでレダを見下ろしながらそう言った。
「あたしはすぐにでもミラと同じ様にちゃんと愛してほしいんだけど・・・でもシンが一緒に寝てくれるだけでもとっても嬉しいの!」
レダもにっこり笑ってそう言った。
「永らく二人と離れていたからな。これから当面の間は、交互に二人の相手をする予定が組まれているのだ」
帝国にとってシンの後継ぎ問題は重要だからね。
「ではその予定の中に私の相手をする日も組み込んでおいて下さい」
「ララ!それは?」
シンは少し驚いた顔で私を見た。
「はい、そういう意味です。ようやくシンの子供を産む決心がつきました」
ちょっと恥ずかしいので途中から目線をルルに移してしまった。
「そうか!ララ!ついに気持ちの整理がついたか・・・しかし、ジオ殿はそれでよいのか?」
「ああ、それは俺も望むところだ」
「そうか、では、二日後の夜はララと共に過ごす様に予定を入れておく。それでいいな?」
「はい!二日後ですね?では、詳しいお話はまたその時に」
ついに・・・私がシンと結ばれる日が来るのだ。




