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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第14章 大河の女王
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11話 勇者様と人魚の魔法

「ジオ様!脱ぐのは水の中に入ってからにして下さい!」


 下半身裸のジオ様が私のところまで泳いできた。


「・・・?水に入る前に脱がないと服が濡れるだろう?」


「周りに男性がいっぱいいたんですから、周りの目を気にしてください!ジオ様は今女の子の体なんですよ!」


「ああそうか、特に恥ずかしいという意識がなかったから、周りの目は気にしていなかった」


「ジオ様が気にしなくてもみんなが気にするんです!」


 実際、ジオ様の周りにいた兵士達は悶々としちゃって、戦闘が疎かになってるよ!


「すまない、次からは気を付ける」


 次って言っても、こんな状況、そうそうないだろうけど、女の子の体でいる間はもう少し恥じらいを持ってもらわないとね。


「それより、俺を人魚の姿に変えるのだろう?」


「はい、人魚の姿になる魔法を教えます」


 そう、今のジオ様には外部からの魔法が効きにくいので、私が魔法をかけようとしても弾かれてしまう。

 その代わり、ジオ様自身が魔女の魔法を覚えれば、それを使う事ができるのだ。


 私は自分の魔法を魔方陣に描き起こした。


「さあ、ジオ様。この魔方陣を参考にして頭の中でイメージしながら、自分の姿が人魚に変わるように魔法を発動してみて下さい」


「わかった。やってみよう」


 ジオ様がその魔方陣を見つめながら意識を集中する。


 こういう真剣な時のジオ様の顔は本当に凛々しいよね!


 ・・・まあ、下半身は裸なのがちょっとしまらないけど・・・


 でも、見事に魔法が発動して、ジオ様の下半身が魚に変わったのだ!


「さすがです!ジオ様」


 うーん、ジオ様が順調に魔女として成長してるよ!

 ちょっと複雑な気分だけどね。




「では、早速水中の魔物を倒しましょう!」


「ああ、そうだな、ここで全て食い止めよう」


 ジオ様も私と同じ様にロングソードに風魔法を纏わりつかせた。


 そしてジオ様は尾びれを大きくくねらせると、勢いよく水中を進み始めたのだ!

 いきなり人魚の泳ぎ方を理解したみたいで、もうすでに目の前の魔物を倒し始めている。

 ジオ様には人魚の体に慣れるための時間など、殆ど必要ないみたいだね。


 私もジオ様に続いて泳ぎ出し、魔物の討伐を始めた。

 二人で次々とやってくる中級の魔物を倒していく。


 とにかく、川幅が広いので、一体の魔物に時間を取られていると、その隙に他の中級の魔物が岸から上陸しようとしたり、あるいは上流に通り抜けて行ったりしてしまうのだ。

 下級の魔物は多くが川下の上陸ポイントで上陸してしまうので数は減ってはいるが、それでも無視できないほどの数がやってくる。

 これらの下級の魔物も、できる限りウィンドスラッシュなどの魔法で倒していく。


 二人がかりでも中級の魔物を完全に食い止める事は出来ず、上流にすり抜けていく個体もいるのだが、この程度の数ならテンちゃんが何とかしてくれるだろう。

 人間の姿であっても今のテンちゃんの実力なら中級の魔物なら難なく倒せるはずだ。




 何体倒したのか数えきれないほどたくさんの中級の魔物を倒していくと、次第に魔物の数が減ってきた。


「ジオ様、この調子でいけば、もうすぐ収束しそうです」


「そうだな。だが、これだけの大量発生で、上級の魔物が一体もいなかったのが気になるが・・・」


 確かにそうだ。

 これだけ大量の中級の魔物が発生しているケースは、上級の魔物がいてもおかしくはない。


 でも、私たちがいるポイントに上級の魔物がやってきた痕跡はないし、下流の方で上陸した様子もない。


 今回はたまたま、中級以下の魔物だけが大量発生したのだろうか?



 そんな事を考えていると、上流の方で大きな水柱が吹き上がった!




「ジオ様!あれは!」


 立ち上がった巨大な水柱はゆっくりと崩れていき、そのあとには巨大な三角帽子の様な形をした透明なものが残っていた。

 

「上級の魔物か?」


 上級の魔物の様な巨大な物体が、私たちのいた地点をいつ通過したのかわからなかった。

 あの透明な体は、水中では完全に見えなくなってしまうのかもしれない。


 それは巨大なイカの様な形をしていたが、足は10本ではなく、細い触手が無数に生えていて、イソギンチャクの様になっていた。


「うわぁ!また触手だよ!エッチな事してこないよね?」


 以前、触手の生えた上級の魔物に捕まった時は、あっさり装備を脱がされて全裸ではりつけ状態にされてしまったのだ!

 あんな恥ずかしい思いは二度とごめんだよ!


「早く応援に行かないと上級の魔物が女王たちの方へ向かっているぞ!」


「そうだね、早く助けに行かないと女王やテンちゃんたちが全裸にされちゃうよ!」


 いや、別に触手だから裸にされると決まった訳じゃないんだけどね。


「だが、その前に行く手を阻んでる中級の魔物を何とかしないといけない」


 水中にはまだ数多くの中級の魔物が残っている。

 私たちがこれらを残していくと、他の兵士たちに被害が出てしまう。


「最速で中級の魔物を殲滅して上流に向かうぞ」


「はい!ジオ様」


 私とジオ様はさらにペースを上げて周囲の中級の魔物を殲滅しながら上流へと向かった。

 その間にも、イカの形をした上級の魔物は川岸へと近づいている。




 川岸では既に触手の先端とシス女王たちの戦闘が始まっていた。


 シス女王を先頭に、兵士隊が必死に上級の魔物の触手と対峙していた。

 しかし、触手の数が多すぎて劣勢を強いられている。


 触手は切っても切っても新たに生えてきては再び襲い掛かってくるのだ。

 押し切られる前に応援に行かないと犠牲者が出てしまう。



 とにかく、今は一刻も早く応援に向かわないといけない。


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