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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第1章 勇者の弟子
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3話 勇者様と運命の出会い

 目の前に巨大な四つ足の魔物が出現した。


(直前までこんな魔物いなかったよね)

 いきなり目の前に現れたように見えた。

 そして次の瞬間、私がいた場所には四足の魔物の大きく開いた口が喰らい付いていた。


 しかし、魔物の牙は獲物を捕らえる事は無くむなしく空を切った。


 (危なかった!)


 魔物と目が合った瞬間、咄嗟に回避行動をとったおかげで何とか牙の攻撃をかわすのが間に合った。

 魔物の視界から外れた隙に瓦礫の陰に身を隠した。


(なんて速さなの?動き出してから行動してたら間に合わなかった)


 私は魔物と目が合った瞬間に、本能的に攻撃が来ると感じて回避行動に移っていた。


 物陰から魔物の様子を観察する。


 どす黒い巨大なオオカミのような体形で体のあちこちから棘のような物が生えている。

 見失ったララを探して周りを見回しているが、幸いにもこちらには気が付いていないようだ。


 山羊頭の魔物は動きが遅かったのでまだ対応できたが、この棘の生えた狼の魔物はおそらく自分より速い。見つかったら勝ち目はない。


(このままやり過ごせれば・・・)


 そう思っていたら遠くの方で動く人影が見えた。


(まだ生きている人がいた!)


 だが、同時に『棘狼』も気が付いた様で視線をその方向に向けた。


(まずい!あの人が殺される!)


 とっさに体が動いていた。

「こっちよ!」

 瓦礫の陰から身を出し棘狼に叫んだ。


 次の瞬間には棘狼は瓦礫にかみついていた。

 しかし私はすでにそこにはいない。

 別の瓦礫の裏に移動していた。


 棘狼は口の中の瓦礫をかみ砕き私を探す。


「こっちに来なさい!」


 再度瓦礫から出て叫ぶ。

 叫んだと同時に瓦礫の陰から別の瓦礫へ素早く移動する。


 棘狼は速度が速い分、行動を起こした後の補正ができないらしい。

 タイミングをつかめば攻撃を回避する事は可能だ。


 何度か繰り返して、人々が避難した方向と逆方向、市場の中心の方に棘狼を誘導する。


 気が付くと山羊頭のところまで戻っていた。


 山羊頭はだいぶ傷が回復したようで、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。


 私は棘狼の攻撃を躱したあと、山羊頭の足元に駆け込み、足の間から叫ぶ。


「私はここよ!」

 次の瞬間、棘狼の牙は山羊頭の足に深々と突き刺さっていた。


 山羊頭は雄たけびをあげて棘狼の首につかみかかった。


「よしっ!うまくいった」


 2頭の魔物は私の事は忘れて乱闘を始めた。



「今のうちにここから離れよう」


 駆け出そうとした私は直後に立ち止まった。




 いつの間にか周りを無数の魔物に囲まれていた。


「これは・・・無理かな?」


 短剣を構え、魔物の攻撃に備えるも、打つ手がなかった。


「どう考えても助からないよね・・・」


「でも私が少しでもここで足止めすれば、その分みんなが逃げる時間ができるよね?」


 そう考えて魔物の群れに切りかかろうとしたその時・・・



「上出来だ」



 空から男の人の声が聞こえてきた。


 その直後、天から舞い降りてきたその人は、私を横抱きに抱えて再び空へ跳躍した。


 黒い髪に金色の瞳をした精悍な顔立ちの男性は、私を抱えて軽々と魔物の群れを飛び越え包囲網の外へ着地した。


「ここにいなさい」


 魔物の群れから離れた場所に私をおろすと、次の瞬間には再び魔物の群れの中にいた。


 そこには魔物が次々と切り刻まれていく光景があった。


 巨大な魔物が一太刀で真っ二つに分断されていく。


 瞬く間に数十体いた魔物は、全て動かなくなっていた。



 こんな事ができる人間が存在するのだろうか? ・・・・・いや、一人だけいたはずだ。



 全ての魔物を倒し終わると、男性は私の前に戻っていた。


「助けて頂いてありがとうございます」


 私は深々とお辞儀をした。そして恐る恐る聞いてみた。


「・・・あなたは・・・勇者様ですか?」

 

「そうだ」

 

 男性は無表情のまま答えた。


「・・・」  


 私は顔が赤くなっていくのを感じていた。


 「お嫁さんにしてもらう」と目標を掲げた勇者様にいきなり出会ってしまった。


 しかも絶体絶命のピンチを救ってもらうという最高のシチュエーション!


 そして見た目の好感度もかなり高い!


 これが運命ってやつではないだろうか? 


 

 そんな事を頭の中でグルグルと考えていると勇者様が口を開いた。




「お前を俺の弟子にする。いずれは勇者の力を継承して次の勇者になってもらう」


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