7話 勇者の弟子と女王の世継ぎ
「シス女王陛下はやっぱり子供は欲しいんですね」
「シスでよい・・・我とて世継ぎは欲しいと思っておる。だが、どうしても男を愛する事が出来ぬのだ」
なんか、浮遊大陸の神様に似てる気がするけど、シス女王は男性を全否定しているわけでもないんだよね。
普通に国内に男性がいるわけだし、家臣にも男性は多い。
シンとも普通に接しているしね。
「女同士で子を宿せぬかと、毎夜数名の妃と体を重ね深く愛し合っておるのだが好ましい結果は出ず、様々な薬や祈祷、それに、怪しげな魔法もいくつか試したのだが、いまだ方法は見つからぬ」
・・・うーん、『強欲の魔女』の魔法を使えばできない事はないんだけどね・・・
「だが、ララ殿、不思議な事に、そなたであればもしかしたら我の子を身ごもる事が出来るのではないかと、なぜかそんな予感がしたのだ!」
・・・それはある意味それは正解なんだけど・・・
「それにジル殿、そなたに助けられた時、我はまるで乙女の様なときめきを感じてしまったのだ」
シス女王は顔を少し赤らめながらジオ様をの方を見た。
「えっ?それは他の女性に対する感情とは違うのですか?」
「ララ殿や、妃たちに対する感情は、守ってやりたいとか、抱きしめて包み込んでやりたいとか、そういった感情だったのだが、ジル殿には、守られたい、抱きしめられたいという初めての感情を抱いたのだ。ジル殿には自分の子を産ませたいというより、我がジル殿の子を産みたいと思ったのだ。そして、なぜかジル殿なら我を身ごもらせる事が出来るのではないかと、そう感じたのだ!」
・・・う~ん・・・ある意味それも正解なんだけど・・・
「であるから、ララ殿、それにジル殿と婚姻を結び、それぞれと夜の営みを試してみたいのだ!」
シス女王は拳を握り力強く力説した。
「ですが、やはり女性どうして子を授かるのは難しいのではないのかと」
「分かっておる。だから一人でも多くの可能性を試してみたいのだ。その中でもララ殿とジル殿には特に強い可能性を感じたのだ」
うん、私もジオ様も、確かにその可能性をもってるんだけどね。
「やはり、男性とはどうしても関係を持つ事が出来ないのですか?」
「うむ、どうしても生理的に受け付けぬのだ」
「でも、シンみたいに、ほとんどの女性が理想と思う素敵な男性もいると思うんですけど、例えばシンが相手だとしてもダメなんでしょうか?」
ジオ様相手に乙女心を刺激されたのなら、同レベルにいい男のシンならいけるんじゃないかな?
シス女王とシンは、一瞬目を合わせ、少し気まずい表情になった。
「・・・実は、シン殿とはすでに試したことがあるのだ」
「えっ!そうだったんですか!」
「シン殿の事は尊敬しておるし、知り合いの男性の中では最も好感度を持っておる。我も世継ぎは作らぬ訳にはいかぬし、男性と関係を持つならシン殿しかいないと思って無理を言って頼み込んだのだ」
「それで!どうなったんですか?」
・・・むしろ半分は好奇心で聞いてしまった。
「ダメだった・・・男性のそれが触れた瞬間、なんとも耐え難い嫌悪感に襲われてな・・・シン殿には恥をかかせてしまった・・・あの時は本当に申し訳なかった」
「いや、それは仕方ない事だ。何度も言うが謝る必要はない」
「そういう訳でな、我は公務と割り切っても男性と関係を持つ事が出来ぬのだ・・・」
落胆する女王が少し可哀そうになってしまった。
「だから、僅かでも可能性があれば賭けてみたいのだ!せめて一晩だけでも良い。我にチャンスをくれぬか?」
・・・どうしたものだろう?普通に一緒に寝たところで子供を授かる事はまずありえないだろうけど・・・
「ララ、俺が一晩だけでも相手をしてあげれば女王も気が済むのではないか?」
ジオ様がわたしの耳元もとで小声で提案した。
「えっ!でも?」
「今の俺は女性の体だし、間違いは起きないだろう?それに、いつもララとしているような事をすれば済む事なのだろう?」
「ジオ様、それは・・・」
・・・実はジオ様と二人で寝る時は、女の子同士で出来るソフトなエッチをしてたりするのだ。
・・・でも、私たちがしてるのは本当にソフトなプレイで・・・だけどシス女王はたぶんガチで濃厚なプレイを考えてると思うんだよね?
なんといっても本気で子供を作ろうってつもりで色々やってるんだから!
さすがに、今は女性の体とはいえ、ジオ様が他の女性とそんな濃厚なプレイをするのはちょっと抵抗があるよね。
・・・まあ、私がシンと関係を結ぼうとしている事は棚に上げてるんだけどね・・・
「わかりました。では今晩私がお相手します。その代わり、ジルの事は諦めてください。妥協できるのはそこまでです」
「本当か!ララ殿!今宵、我と床を共にしてくれるのか!」
「はい、その代わり、今回で結果が出なかったらそれで諦めてください」
「ああ、それでよい。ダメだったときはそれが運命と思って受け入れよう」
シス女王はその条件を飲んでくれた。
「ララ、いいのか?」
「はい、ジオ様、これで諦めてくれるなら仕方ありません」
こうして私は、シス女王と熱い夜を過ごす事になってしまったのだ。




