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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第14章 大河の女王
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2話 勇者の弟子と帝国への帰還

 シンとの間に子供を作る決意を固めたものの、新たな不安が生まれてしまった。


 シンとジオ様が結ばれてしまって私が捨てられてしまったらどうしよう?


 


 ・・・帝国は多夫多妻制なのだけど、ついこれまでの常識から、つい不安を感じてしまうのだ。

 そもそも、シンには私の他にミラとレダという二人の妃もいるし、今更私だけが捨てられるなどと言う事は無いだろう。

 むしろその場合はジオ様がシンの4人目の妃という事になってしまうかもしれない。


 でも、夫婦そろって同じ人の妃になるという状況は、一体どうなんだろう?

 何だが状況がどんどん混乱してきている気がするな。




 よくわからない不安が増大していく中で、魔動馬車は砂漠の帝都に到着した。




 今まで快適な気温の浮遊大陸にいたから、この帝国の砂漠気候はちょっと暑く感じる。

 それに体がなんだか重たく感じる。

 浮遊大陸では体が軽くなっていたからね。




 帝都に到着すると、私達は真っ先にシンに会いに行った。

 シンは公務で忙しい最中に私たちの出迎えのために時間をとってくれたのだ。




「おお、皆無事に戻ったか?しかし、聞いていた予定より少し早くはないか?」


 私たちにとっては結構長い間旅に出ていたんだけど、こっちの時間ではそれほどの時間が経ってるわけじゃないんだよね。


「旅先で色々ありまして、一旦戻る事にしました」


「そうか、詳しい話は後でゆっくりと聞かせてもらうとしよう。ミラも、レダもご苦労だった。十分に休養を取ってくれ。ところで、そちらの美しい女性たちは?それにジオ殿の姿が見えない様だが」


 シンは女性になったジオ様とテンちゃんを見て気になっているみたいだね。


「陛下、一旦御人払いをお願いします」


「うむ」


 ミラの進言にシンがうなずくと、ミラは衛兵たちに部屋から出る様に促した。


 衛兵や臣下の者達が席を外すのを見届けてから、ジオ様がシンの前に出た。


「俺がジオだ」


 シンは目の前の美少女を見て固まっていた。


「・・・あなたがジオ殿か?・・・一体どうしてこのような可憐な姿に?」


「訳あって今は女性の体になっている」


「これも勇者の能力か?」


「ああ、新たに目覚めた力で姿を変えていたのだが、元に戻れなくなってしまった」


「なるほど・・・確かにジオ殿の面影が窺えるな。ジオ殿に妹でもいたらこの様な感じか?・・・それにしても美しいな」


 シンってば、間違いなくジオ様に見とれてるよ!

 まあ、男の人だったらこれだけの美少女を目の前にしたら目を奪われちゃうよね?


「だが、いずれ元には戻れるのだろう?」


「ああ、何か方法は有るはずだ。だがしばらくはこのままでいるしかない」


「そうか、それで、そっちの水色の髪のお嬢さんは?見たところ、ララとジオ殿の二人の面影が垣間見えるが、二人の子供という訳でもあるまい」


「この子はテンちゃんで・・・ええと、とりあえず私の親戚の子だとでも思っておいて下さい!」


「テンと申します。ララ様にお仕えしております」


 テンちゃんは丁寧にあいさつをした。


「・・・わかった、深くは詮索しないでおこう」


 こういうところ、察し後良くてたすかるよ。


「皆、長旅でつかれたであろう。今日のところはゆっくりと休むが良い」


「シン、後で大事なお話があるのですが、いいですか?」


「ああ、今夜後宮に行こう」


「はい、お待ちしています」




 シンは公務が忙しそうなので私たちは、一旦私の後宮に戻った。


「ふうやっと一息付けるね!」


 久しぶりの後宮の自分の館のふっかふかのソファーで一心地ついた。


「この後、シンに告げるのだろう?」


 そんな私にジオ様が問いかけた。


「うん、子供を産む決心が着いた事をはっきり伝えるよ。まあ、今晩いきなりそういう事になるかどうかはわからないけどね」


「決心を固めたのなら焦る必要はない」


「うん、そうだよね。シンと話して、これからどうするか考えるよ。でも、シンがその気だったら・・・今晩いきなりかもしれないけど・・・それでもいいですか?ジオ様」


「俺は構わわない」


「ララ様、それでしたら先にご入浴なさってはいかがですか?」


「そうだね!ここの大きなお風呂も久しぶりだし、みんなで一緒に入ろう!」


 旅の間はミラとレダも一緒だったから、ジオ様だけ別に入浴していたのだ。

 今は家族だけだから問題ないよね!


「テンちゃんも一緒においでよ!」


「良いのですか?」


「うん、テンちゃんも家族同然だからね」


「ではわたくしもご一緒させて頂いても・・・」


「シィラはだめ!」


 さすがに未婚の女性の裸体をジオ様に見せる訳にはいかないよね!

 いくら今は女性の体と言っても中身は男性だからね。


「なんてね、タオルを巻いて入っておいでよ」




 私たちはみんなで一緒に後宮の大きなお風呂に入った。


 テンちゃんは体を洗う時に羽と尻尾も洗いたいと言って、羽根と尻尾を生やして洗っていた。

 洗い終わると再び仕舞ってしまった。

 羽根や尻尾が無くなると普通に人間の女の子の体だった。




 お湯に浸かって手足を伸ばすと、旅の疲れが一気にふき飛んだ。


「そう言えばジオ様は今の体でも女性の裸を見ると興奮するんですか?」


 私は隣でお湯に浸かっているジオ様に聞いてみた。

 目の前では洗い場で体にタオルを巻いたシィラがルルを洗っていたのだ。

 タオル越しでもシィラの成熟した女性の体のラインはくっきりと出ている。


「いや、俺は元々女性の裸を見ても興奮しなかったからな」


 そう言えばそうだった。


「俺が興奮するのはララの裸だけだ。それは今でも変わらない」


 ジオ様はそう言って私をやさしく抱きしめてキスをした。

 そう、女の子の体同士でもキスは毎日しているのだ。


 ・・・ちょっとだけ、それ以上の事もしてるけどね!


 っていうか、ジオ様、裸で抱き合ってる今も興奮してるって事ですか?

 そう言えば、押し付けられているジオ様の乳首が少しだけ硬くなっている気がする。



「・・・ジオ様、やっぱり私とシンが関係を持つのは嫌ですか?」


「・・・確かにララを独り占めしたい気持ちはある。だが束縛はしたくないし、束縛したらララがララでなくなってしまう気がする。俺は自由奔放なララを愛しているからな」


「ジオ様・・・」


 ジオ様のやさしさにどこまで甘えて良いのだかわからなくなってしまいそうだ。




 お風呂から上がった私は身なりを整えて、シンが来るのを待った。


 ・・・身なりを整えて、と言うのは・・・もちろんそういう展開なってもいい様に身なりを整えてって言う意味なんだけどね。




 すると、シンが勢いよくドアを開けて駆け込んできた。




「すまないララ!属国に魔物の大群が出現した!今から向かわなければならなくなった!」




 ・・・心と体の準備をして待っていたら・・・まさかの展開だった。


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