表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第13章 時の魔女
278/317

3話 勇者の弟子と竜の起源

 私一人ならこの国に留まる事も可能なのだという。




 ・・・でも、それは、ジオ様やルルと離れなければいけないという事だ。




「そんな・・・ラルやジルたちと一緒にいるためにはジオ様やルル、それにみんなと別れなければならないって事?」


「どちらを選ぶのか、それはおぬしの自由じゃ」


「二つの世界を自由に行き来する事は出来ないの?」


「時間が偶然一致するのを待つしかないな。規則性が無いからいつ、どの時代に繋がるのかわからんがの」


「それって予測できたりしないの?」


「今回の様に、偶然時間の流れが近づけば、その後の経過をある程度予測する事は出来るんじゃが、そうでなければ先の事はわからん」




 ・・・とりあえず今の状況は把握できたけど・・・これからどうすればいいんだろう・・・




「状況が理解できた様じゃから、魔法を制限しておる結界は解除してやろう」


 神様がそう言うと、魔法を阻害していた力がすぅっと消えていくのを感じた。

 どうやら普通に魔法が使えるようになったみたいだ。


「いいの?解除しても」


「もう、子供らを無理やり連れ帰ろうとする事も無いじゃろう?」




 ・・・もしかして、私がこっそり子供達を連れてここから逃げ出すのを防ぐために魔法を阻害していたの?




「こんな回りくどい事をしなくても最初から全部話してくれたら良かったのに」


「最初にいきなりこんな事を話してもおぬしは信じなかったのではないか?」



 ・・・確かにそうだったかもしれない。

 

 神様は意地悪や独占欲では無くて、子供達を守るためにそうしてたんだ。



「とにかく、残された時間でじっくり考えると良い・・・それにしても・・・魔女に勇者、それから竜が揃ったか・・・一体これから何が起きるのかの」


「そうだ!この子、テンちゃんの事は知ってたの?」


「『竜』だと確信はしておらんかったが、予想はしていた。おそらくおぬしらと同じ様に別の時代に接触した時に迷い込んだのじゃな」


「そうか、別の時代から来たんだね。でも私の知る限り竜がいた記録って無かったんだけど?」


「そうじゃろうな、本物の竜種はとうの昔にこの世から姿を消しておったからの。おそらくこやつは古代竜じゃ。人間がこの世に生まれるよりも、もっと以前に存在していたのであろうな」


「そんな昔の竜がどうして・・・あっそうか!」


「そうじゃ、この浮遊大陸が太古の昔に現われた時に、たまたま紛れ込んでしまったのじゃな、おぬし等の様にな。太古の竜種も中には不老不死の種族もあったと聞いた事がある。おそらくその竜もそうだったのじゃろう」


 そうか、竜と言えども不老不死でなければ時間の移動と共に死んでしまうんだよね?


「そうだったんだ。テンちゃん、ここに来る前の事って覚えてる?」


「何も覚えてないです。気が付いた時にはここにいました」


「そうなんだ。でも魔女の使い魔の事は知ってたよね?」


「あれは頭の中に自然に浮かんできたんです」


「おそらく魂の根底に刻み込まれていたのじゃろう」


「それって、太古の昔から魔女がいて、竜と魔女は関係があったって事?」


「さあな、魔女の起源についてはわかっておらんからの」


 そうなんだよね。

 『強欲の魔女』の古い記憶をたどってみても、最初の『強欲の魔女』の事ってどうもはっきりしないんだよね。

 おそらく私が見ているのは何世代目から後の強欲の魔女の記憶なんだろうね。


「そうだ、テンちゃんは魔女の使い魔になりたがってたんだけど、私が貰っちゃっても良かったのかな?神様が使い魔にしても良かったんだよね?」


 私は神様に尋ねた。


「なっ!何を言っておる!わらわは魔女ではなく神だといっておろう!わらわが竜を使い魔にする事などできぬ!」


 神様はあからさまに動揺している様に見えるんだけど・・・


「それに、そ奴はすでに、おぬしになついている様だしな。使い魔として十分に使役してやると良い。それにしても、おぬしら三人が揃えば世界を支配する事もたやすいのではないのか?」


「そんな事はしません!私は家族や仲間と楽しく生活できればそれでいいんです!」


「それだけの力をもってしてもか?それこそおぬしらの世界で神を名のってもかまわぬのではないのか?」


「私はみんなが幸せに暮らせるのならそれだけでいいんです。この力はそのために使います」


「それは俺も同じだ」


 ジオ様も私の意見に同意してくれた。

 まあ、ジオ様は元々、自分のために勇者の力を使う気なんて全くなかったからね。


「殊勝な事よの」


「でも、神様も同じですよね?この国を支配するというよりはこの国の人たちのために動いているみたいです」


「それが神の役目じゃからな」


「じゃあ、やっぱり私と同じだよ。力を持っていたとしても、みんなが幸せに生きるためにだけに使えばそれでいいよ」


「まあよい。おぬしの好きな様にすれば良いのではないかな」


「うん、とりあえず後一ケ月で、子供達とも他のみんなとも別れないで済む方法が無いか探してみるよ!」


「ふふっ、そう言うと思ったわ。好きなだけ足掻くと良い」




 そう、残り一ケ月を無駄には出来ないからね!どう使うか考えて有効に使わなきゃ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ