1話 勇者様と子育て
第二部 第12章 開始します。
私とジオ様の出産が無事に終わった二日後に、今度はシィラが産気づいた。
「シィラの赤ちゃんは私がとりあげるから安心してね!」
「申し訳ありません。従者でありながら主人であるララ様のお手を煩わせてしまって」
「何言ってるの!シィラは私にとって家族みたいなものだからね!」
「ありがとうございます。それでは宜しくお願いします」
シィラの出産には、ジオ様が立ち会う訳にはいかないので、ジオ様は別室でルルや新生児たちの面倒を見て貰う事にした。
現在女性の体と言っても中身は男性なので、さすがに妻以外の女性の出産シーンを見せる訳にはいかない。
というか、ジオ様自身がそう提案したのだ。
・・・シィラは見られても構いませんって言ってたけど・・・私が構うよっ!
シィラの出産は順調で、大きな問題もなく無事に元気な赤ちゃんを出産した。
何か問題があっても私が治癒魔法でフォローできるので、それなりに安心して出産してもらって大丈夫だったんだけどね!
それに、こう見えて私は既に何度も出産に立ち会った事のある、お産のベテランなのだ!
手際よくへその緒を処理して、赤ちゃんをきれいに拭いてあげる。
シィラの希望で、母体は私達と同じ様に、すぐに魔法で元通りに治癒してあげた。
すぐに仕事に復帰したいからって言ってたけど、しばらくは仕事は休んでゆっくりしていいからね!
まっさらなおくるみで赤ちゃんをくるんで母親になったシィラに見せてあげる。
「ほら!シィラにそっくりなかわいい赤ちゃんだよ!」
まあ、この子はシィラの複製体なので当然なのだけど・・・でも私やジオ様の赤ちゃんもそうだけど、複製体とかそんな事はどうでもいいよね?
れっきとした自分の赤ちゃんなんだもん!
「なんだか不思議な感覚ですね?」
赤ちゃんを抱いたシィラは、戸惑っていたけれど、少し嬉しそうな表情をした。
それから、シィラは赤ちゃんに母乳を与えた。
シィラは初めてとは思えないくらい授乳が上手だった。
特に私からアドバイスしなくても自分で手際よく赤ちゃんにおっぱいを飲ませていたのだ。
「初めてとは思えないくらい手慣れてるよね?」
「ララ様の様子をいつも見ておりましたので問題ないです」
さすが、スーパーメイドだけの事はあるよ。
それにしてもシィラの胸が私よりほんの少し大きかったのがちょっと悔しかった。
シィラのいつものメイド服は胸の大きさがあまり強調されないデザインだったけど、実はそこそこ大きいって事は知ってたんだけどね。
私の胸だって特別小さいわけではなくて、むしろ平均より少し大きいくらいなんだけど、どうして私の周りは胸の大きい人が多いんだろう?
それからしばらくの間、私たちは子育てに専念した。
私とジオ様の子供達はあれから順調に育っている。
二人ともいっぱい母乳を飲んでよく眠る。
名前も付けてあげた。
私の子供は『ラル』
ジオを様の子供は『ジル』
まあ、二人とも親の名前とルルの名前から一文字取っただけなんだけどね。
ラルとジルはとっても仲良しで、いつもくっついて眠っている。
そして、起きている時はお互いの顔をぺたぺた触ったりしている。
見てると自分たちがいちゃいちゃしてるみたいで何だか恥ずかしくなってしまうのだけど。
ルルを間に寝かせると二人ともルルにぎゅうっとしがみ付くのだ。
二人ともルルの事が大好きみたいだね。
同じ赤ちゃんでも、ルルと新生児たちはずいぶん大きさが違う。
赤ちゃんって、たった一年でこんなに大きくなるんだね?
ルルはそろそろ、はいはいをしてもおかしくない時期なんだけど、あまり動く事に興味が無いみたいなんだよね。
まあ、自分のペースで成長すればいいと思うよ。
ジルはルルと見た目だけでなく性格もよく似ていて、あまり動かないんだけど、一方でラルの方は良く泣くし結構活発に動く。
・・・まあ、元が私だからそうなるよね?
ジオ様は出産後、ますます女性らしさが増している。
本人は意識していないみたいだけど、ちょっとしたしぐさや物腰が、前よりも女性的になって来ているのだ。
言葉使いは相変わらず男言葉を使っているものの、微妙なイントネーションが何だか女らしくなってきていて、普通の女の子が無理して男言葉を使っている様な感じで、ある意味かわいらしさが倍増してしまっているのだ!
まあ、つまり、思わずキュンキュンしてしまうくらい、美少女度が上がってしまっているという事だ!
どうやら私は、気が付くとスケベな顔でジオ様を見ている事があるらしく、時々シィラ達につっこまれていたのだった。
だって本当に、食べちゃいたいくらい可愛いんだもん!
それにしても、やっぱり心って、体によって影響を受けるものなのかな?
このままジオ様が女の子の体のままでいると、中身まで完全に女の子になってしまわないかちょっと不安に感じてるんだよね。
そんな事を考えていたので、つい、ダイレクトに聞いてしまった。
「あの・・・ジオ様は男性ですよね?」
「・・・当たり前だろう?男に決まっている」
・・・・・豊満な胸を露わにして、手慣れた手つきで赤ちゃんにおっぱいをあげながら言われても、全然説得力無いよ!
そんな感じで、男言葉美少女ママ(中身は男性の赤ちゃん勇者)のジオ様は、日々私の心をキュンキュンさせまくっているのだった。




