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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第11章 勇者受胎
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12話 勇者様と赤ちゃん

「「ほぎゃぁ!ほぎゃぁ!」」


 赤ちゃんは二人とも元気よく産声をあげていた。



「どちらの赤ちゃんも五体満足な元気な赤ちゃんですよ。処置をしますからしばらくお待ちください」


 良かった!二人とも無事に生まれたよ!




「ジオ様!」


「ララ!」


 私とジオ様はどちらからともなく自然と抱き合って唇を重ねていた。


 一緒に大仕事を終えた達成感と安心感、それから緊張の糸が解き離れたとたんに、ジオ様をとても愛おしく感じてしまったのだ!

 ジオ様も同じ気持ちなのだという事がわかる。


 私たちは、お互いを激しく求め合っていた。




「・・・あの・・・レダも見ていますし、お二人ともそろそろ控えて頂けますか?そのまま次のお子さんを作ってしまいそうな勢いですよ?」


 シィラが赤ちゃんの処置をしながら、呆れた顔で言った。


「ララとジオ君、まるで恋人同士みたいだね」


 レダが鋭いところを突いてきた。


「お二人とも、傍から見るととんでもない有様ですよ?」


 ミラに言われて思い出したのだが、私もジオ様も足を思いっきり広げたまま、股関節が固まってしまって、しかも股間はいろいろ大変な事になったままだったのだ!


 私とジオ様は恥ずかしくなって慌てて体を離した。


 ・・・周りの目線がある事を忘れてつい盛り上がっちゃったよ!


 でも、その前にまだいろいろやる事が残ってるからね!


「ジオ様、後産が終わるまで、もう一仕事ありました」


「後残とは?」


「お腹の中に残った胎盤などを体から出さないといけないのです。その後も元の体に戻るまで一月くらいかかるのが普通です」


「・・・だが、赤子は体外に出たのだからもう体を修復しても構わないのだろう?」


「はい、問題有りません。実は私も前回は、すぐに任務に戻るために魔法で治癒しましたので」


「そうか、ではそうしよう」


 そう言ったと同時に、ジオ様は勇者の治癒能力を開放したのだろう。

 ジオ様の体形は、瞬時に産後の状態から正常な状態に回復してしまった。

 胎盤などは排出されなかったので、そのまま体に吸収されてしまったのだろうか?


 ジオ様って、こういう時の判断と仕事は相変わらず早いよね!


「では私も魔法で治してしまいますね」


 私も同じ様に治癒魔法で体を通常状態に戻していった。


 前回は胎盤を出してから治癒魔法をかけたんだけど、今回はジオ様と同じ様に胎盤を排出しないで治癒してみた。

 すると収縮する子宮の中で胎盤が小さくなって消えていくのが分かった。

 臍帯がちゅるちゅるっとお腹の中に吸い込まれて行く感覚はちょっと気持ち悪かったけどね!


 胎盤を体に再吸収すると、何だかおなか一杯ご飯を食べた後みたいな感覚になった。

 きっと、かなりの栄養価があるんだろうね。


 下腹部の治癒が完了すると違和感や痛みはすっかり無くなっていた。


「お二人ともこういう時は便利ですよね?では体が元通りになったところで、ご自身の赤ちゃんを抱いてあげてはいかがですか?」


「そうだった!赤ちゃんの顔、早く見たい!」


 母親って体勢的に赤ちゃんの顔を最初に見る事が出来ないんだよね。


「こちらがララの赤ちゃんですよ」


 そう言ってミラが、おくるみに包まれた赤ちゃんを私に差し出した。


「わぁ!かわいい!」


 うっすらと金色の髪の毛が生えた大きな青い目のかわいらしい赤ちゃんだった。


 何だか特徴が私にそっくり!・・・って、この子は私の複製なのだから当然だった。


 でもそんな事はもうどうでもよくなっていた。

 この子はこの子で私とは別の人間だ。

 愛しい我が子である事に変わりは無いのだ!


「そしてこちらがジオ様のお子様です」


 シィラがジオ様に赤ちゃんを手渡していた。


 ジオ様が恐る恐る受け取った赤ちゃんは、黒髪に金色の瞳の赤ちゃんだった。


 ルルにそっくりだよ!・・・って、当たり前だけど!


「生まれたての赤ん坊というのはこんなに小さいのだな」


 自分の生んだ赤ちゃんを抱いたジオ様は少し驚いた顔で、我が子をみていたが、すぐにその表情は柔らかくなった。


「なんというか、嬉しい様な、くすぐったい様な、不思議な気分になるものだな?」


 赤ちゃんを見るジオ様の顔は完全にお母さんの顔になっていた。



「さあ、お二人とも、早速、赤ちゃんに授乳してあげてはいかがでしょうか?」


 そうだった!生まれたての赤ちゃんって結構お腹を空かせているんだよね?



「ジオ様、赤ちゃんにおっぱいをあげましょう!あげ方はわかりますよね?」


「ああ、なんとなくわかるが・・・自分の胸から飲ませるというのは・・・」


「では、まず私がやるのでジオ様は見ていて下さい」


 私は胸をはだけて、乳首を露わにした。

 乳首を拭いてきれいにする。


 いつもルルに授乳している私にとっては手慣れたものだ。

 赤ちゃんを抱いて乳首のところに口を近づける。

 そして赤ちゃんの唇を乳首にちょんちょんと触れさせた。


 うわあ!柔らかくて気持ちいい!

 やっぱり生まれたての赤ちゃんの唇ってちっちゃい!


 そして赤ちゃんの方もどうやらその刺激で気が付いたのか、口がおっぱいを吸う動きを始めた。


 これなら大丈夫かな?


 私は赤ちゃんの口に乳首を咥えさせた。


 すると、ちゃんとおっぱいを吸い始めたのだ!


 赤ちゃんってすごいよね!

 生まれたてで、ちゃんとおっぱいが吸えるんだもん!


 赤ちゃんはだんだん元気よくおっぱいを吸い始めた。

 さすが!私の複製だけの事はあるよね!

 すごい食欲だよ!


 生まれた赤ちゃんに初めておっぱいを飲ませる瞬間の幸福感!

 でも、これって一回の出産で一度しか味わえないんだよね!


 そんな私の様子をジオ様は微笑ましい顔で眺めていた。




「さあ、ジオ様もやってみてください!」




 ちょっと恥ずかしくなった私は、ジオ様にも赤ちゃんに授乳する事を勧めたのだった。


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