10話 勇者様と陣痛
「ララ、さっきから断続的に腹が痛み始めたが、これは出産が始まるということか?」
ジオ様が私に相談してきた。
「はいそれはきっと陣痛です。実は私も、ちょうどさっきから始まったところです」
「これからどうすればいい?」
「しばらくは何もしないで痛みを我慢して下さい。陣痛の周期が短くなって子宮口が開くまでは、いきんで赤ちゃんを押し出そうとしない様に我慢しないといけません」
「分かった。痛みが発生している事は認識しているが痛み自体はキャンセルされているので問題はない。ララの方は大丈夫か?」
そうか、勇者の能力で痛みは感じないんだよね?
情報として痛みが発生する状況って事を認識できるだけなんだ。
「うん、私の方は大丈夫!これぞ出産!っていう実感が湧くからこのままでいいや!」
なんかこの、赤ちゃんと一緒に頑張ってるぞ!って感じが、結構好きなんだよね!
「なるほど、では俺も痛みを感じる様にしておこう」
「そんな事できるんですか?」
「ああ、自分でコントロールできる・・・なるほど、これは結構きついな」
「ジオ様、無理しなくていいんですよ?」
「いや、ララと同じ感覚を体験しておきたい」
ジオ様・・・女性になってもストイックなとこ変わらないよね。
それにしても・・・苦痛に歪む美少女バージョンのジオ様も、ちょっといいかも?
・・・などと不謹慎な事を考えてしまった。
「シィラはまだ大丈夫?」
「はい、わたくしはまだ陣痛が始まっておりません」
「そっか、三人同時でなくて良かったよ」
もしかしたら三人同時に産気づく可能性もあるかと思って準備はしていたのだけど、さすがにそうなると大変だからね。
いや、二人同時でも大変なんだけどさ・・・
「ですので、お二人のお子様はわたくしが取り上げます」
「うん、お願いするけど・・・本当に大丈夫なの?」
「前回のララ様の出産にも立ち会っておりますし、医学の心得もあります。それにミラ様とレダ様も手伝って下さいます」
「まあ、不測の事態があった時は私の治癒魔法で何とかするしね」
弱体化しているとは言っても、治癒魔法はよほど高度なものでなければ使えるからね。
神都の病院で出産する事も考えたんだけど、出来るだけ頼りたくないってのが本音だった。
「シィラの出産のときは私が取り上げるから安心してね」
「はい、その際はお任せいたします」
私自身は学院で医学を学んでいるし、出産には何度も立ち会った事があるので、その辺の段取りはばっちりだ。
「ララ、さっきより痛みの周期が増してきている様だが、これは出産が近づいているのか?」
私とシィラの会話を隣で聞いていたジオ様は、さっきよりだいぶ辛そうだ。
「そうですね、私より周期が短くなっているみたいですね」
「ああ、そうだな・・・うっ、また来た・・・」
「これは、出産が始まるかもしれませんね。子宮口を診察した方が良さそうです。準備します」
シィラがジオ様の診察の準備を始めた。
「ちょっと待って!シィラ!ジオ様の診察は私がやるから!」
「でも、ララ様も陣痛が始まっておりますし、無理なさらなくても」
「大丈夫!今は少し落ち着いたから!」
「そうですか?・・・それでしたらお願いします」
・・・ジオ様の子宮口の診察なんて!・・・それって、ある意味、ジオ様の処女を頂いちゃう行為だからね!
さすがにこれは他の人には譲れないよ!
「ではジオ様、診察しますので下着を脱いで足を開いて下さい」
「なにっ?・・・もしかしてあそこをララに見せるのか?」
「当たり前です!これから出産するんですから。これは出産に必要な医療行為ですよ」
ほんの少しだけ少しだけエッチな下心は有るのだが・・・それは黙っておく。
「しかし・・・さすがにそれは・・・・うっ!」
「ほら!陣痛の感覚が更に短くなってるじゃないですか!すぐに診察しますよ!」
私はジオ様の下着を強制的に脱がした。
「ああっ!それは!」
恥らって足をキュッと閉じてるジオ様がめちゃくちゃ可愛いんですけど!
「ほら、ジオ様、足の力を抜いて下さい。今の私は医師なんですから」
「まさか・・・こんな事になるとは・・・」
さすがにジオ様も観念して足を開いてくれた。
ジオ様が本気で抵抗したら私にはどうしようもないからね。
・・・うわぁ・・・女の子になったジオ様のここをまじまじと見ちゃったよ!
美少女って、ここの形も整ってるんだな・・・
「ジオ様・・・すごくきれいですよ!」
「・・・そこを褒められても、どう反応すればいいのだか・・・」
「ジオ様も前に私のを見て褒めてくれたじゃないですか?」
「それはっ!・・・本当にきれいだと思ったからで・・・・・」
「・・・ちょっと、ララ様?いちゃついていないで真面目に診察して下さい」
・・・シィラに怒られてしまった・・・
でも、真面目に診察しないと、本当に出産が始まっちゃうよ。
「では、ジオ様、子宮口を診察しますので少しの間我慢して下さいね!」
「ああ、わかった」
・・・そうして私は、ジオ様の初めてを頂きつつ、子宮口の診察を行なったのだった。
ジオ様は次々襲い掛かる初めての体験に、だいぶまいっている様だった。
「ジオ様、もう子宮口が開いて赤ちゃんの頭が見えています。このまま出産しまね。もういきみ始めてもいいですよ」
「そうか、わかった。あと少しだな」
「はい!一緒に頑張りましょう・・・うっ!」
「どうした?ララ」
「私の方も・・・どうやら出産が始まってしまいそうです」
突然、強烈な陣痛が来てしまった。
少し落ち着きかけていたのだけど、これは一気に来たかもしれない。
二度目なので、この感覚はなんとなくわかる。これはこのまま一気に来るやつだ!
「ほら!ララ様も横になってください。わたくしがすぐに診察します」
「おねがい・・・シィラ」
私は言いながら横になって、自ら下着を脱いでいた。
そして、言われる前に自らシィラに向けて足を開いたのだった。
経産婦はこういうところに躊躇が無くなってしまうのだ。
「すごいな・・・ララは」
なぜかジオ様が、そんな私を尊敬のまなざしで見ていた。