4話 勇者の弟子と神の依頼
その日の夜はジオ様と抱き合って寝る事にした。
だって、本当に思わず抱きしめたくなるくらい可愛いんだもん!
夫婦特権を利用しない手はないよ!
まあ、いつも一緒に寝てるんだけど、赤ちゃんサイズでないジオ様と一緒に寝るのは久しぶりだからね。
もっとも、抱きしめ合って寝たってだけで、エッチな事はしてないからね!
ミラとレダも一緒にくっついて寝たがったけど、今日は夫婦水入らずで寝たのだった。
もちろん、ルルも私達の枕もとで一緒に寝たよ!
翌日は早速神様のところに交渉に行く事にした。
神都に向かい、城門で有翼人の兵士に出くわすと、戦闘になるかと思いきや、すんなりと通してくれた。
そして、特に何のいざこざもなく、神城の中に通されてしまった。
「ここから先は、その二人のみ通すように言われている。他の者はここで待っていろ」
しかし、どうやら神様と対面できるのは私とジオ様の二人だけの様だ。
「ララ様、お気をつけて」
「うん、危なくなったらまた昨日みたいに逃げ出すよ」
通された部屋は、例の神様が子供を授ける部屋だった。
・・・神様と会うのはこの部屋じゃないとだめなのかな?
今日は子を授ける儀式を行う日ではないので、私たちの他には王城に来てる一般人はいない。
「とりあえず神様が来るまで座って待ちましょう」
私はジオ様と並んでベッドに腰かけた。
寝室のベッドにジオ様と二人で座っていると、少しだけ変な気分になってしまいそうだよ。
昨日と同じ様に部屋で待っていると、やがて神様が現れた。
「おぬしらが戻って来るのは分かっておったぞ。思ったよりも早かったがな」
「この大陸から脱出できない様にしてありましたよね?」
「そうじゃ、この様な事態を想定しておったからな。魔女と言えどもあの結界はすぐに解除できぬじゃろう」
「結界の魔法が何重にもかけられている上に、一つを解除しないと次の結界が見えないから、何度も解析をしなきゃいけない構造になってるでしょう?」
「ふふふ、魔法の解析ができたとしても、あの物量をすべて解除するには相当な時間がかかるからのう」
「ほんとに!魔法をかけたのと同じくらいの時間をかけないと解除できない様になっているけど、どれだけの時間をかけて準備してたのよ」
「時間はいくらでもあったからの。いつかここに魔女が来る事を想定して準備しておいて正解だったわ」
神様は勝ち誇った様な顔で笑った。
「で?どうすれば私たちをこの浮遊大陸から出してくれるの?」
「そうじゃの、まずはおぬしの腹の子をここに残していく事・・・それからそっちの娘にも子を産んでもらおうかの」
やっぱりそう来たか。
「それなんだけど、ジオ様は・・・」
「わかっておる。『勇者』で『男』なのじゃろう?しかも今の年齢は赤子とはな。数奇な運命の持ち主じゃの」
「なんだ、全部知ってたんだ」
「わらわを誰だと思っておる。神にわからに事など無いわ!」
・・・本当の神様かどうかは置いといて、相当な能力を持っているのは間違いないよね?
「それなら、ジオ様の複製体は男の子になるというのもご存じですよね?」
「そこは大丈夫じゃ。わらわの魔法で赤子の性別を変えて産ませる事が可能じゃ。今の姿そっくりに成長する女の赤子が生まれる事になるわ」
・・・それは・・・かなり高度な魔法だけど、確かに不可能じゃない。
「でも、子供が生まれるまで、ここに滞在するわけにはいきません。私たちにはやらなければいけない事があるので」
「それも何とかしよう。わらわの魔法で赤子の成長を早める事が出来る。一月かからずに産む事が出来るじゃろう」
・・・一月なら何とかなるかな?
「ジオ様はそれで大丈夫ですか?」
「つまり俺は一月の間、この体のままで、子を孕み産まなければならないという事か?」
「うん、つまりそういう事になるんだけど?」
「まだ少し、自分に起きた事が理解しきれないのだが・・・」
さすがのジオ様も混乱している。
まあ、男の人が突然女性の体になった挙句に、妊娠、出産を経験する事になってしまったのだ。
普通はすぐに受け入れられないよね?
「わかった、その話を受け入れよう」
しばらく悩んだ後に、ジオ様はそう返答した。
「ジオ様!いいんですか?」
思ったよりあっさりとジオ様が了承してしまった!
「ああ、大丈夫だ。条件はララと同じだろう?ララだけに押し付ける訳にもいかないからな」
「それはそうなんだけど・・・いいんですか?妊娠と出産って、結構大変ですよ?」
「ああ、争いを起こさずに問題が解決するならそれでいい」
ジオ様がいいって言うなら仕方ないけど・・・
「そうと決まればさっそくその娘にも子を孕ませるとするかの。さあ、服を脱いでそのベッドに寝るのじゃ」
そうか!ジオ様もあれをやる事になるのか!
「わかった」
ジオ様はそそくさと服を脱ぎ始めた。
「これでいいのか」
全裸になると仰向けになってベッドに横になった。
うーん、やっぱり何度見てもため息が出るほど美しい裸体だよ!
このまま、神様の好きな様にさせてしまうのがちょっと悔しいな!
「おお!これはやはり、何と美しい体じゃ!では始めるとするかの」
神様はふわりと浮きあがってベッドの上に移動すると、ジオ様の体を跨ぐ様にして腰の上に降り立ったのだった。




