8話 勇者の弟子と神の部屋
担当の有翼人に名前を呼ばれ、連れていかれた先は控え室の様な場所だった。
「それではここでお召し物を全て脱いで下さい」
「ここで全部ですか?下着までですか?」
いきなり全裸になれと言われた。
「そうです。神の前に自身の体以外の物を持って行く事は出来ません」
そう言う決まりなら仕方がない。
いきなり全裸を見せるよりも、少しずつ脱がした方が興奮すると思うんだけど・・・一日でこの人数の相手をするとなるとそうも言っていられないから効率重視なのかな?
私は言われた通り、着ている服を脱いだ。
比較的軽装なので脱ぐのは楽だけどね。
有翼人が凝視しているので下着を外す時はちょっと恥ずかしかったけど。
「それでは身体検査をさせて頂きます」
まあ、神様と親密に接触する訳だから、それくらいの警戒は必要だよね。
「ええと、お手柔らかにお願いします」
「では、検査を始めます」
有翼人は私の体を丹念に調べ始めた。
体を撫で回されたり、入念に見られるのは結構恥かしい。
そして有翼人は私の胸を丁寧に揉み始めた。
「・・・あの、なぜそんなに念入りに揉むのでしょう?」
「子供が生まれたら、健康に母乳が与えられるか確認する必要があります」
この人は医者なのかもしれないね。
母体の健康状態をチェックしてたんだ。
ところがそこでハプニングが起きてしまった!
私の乳首から母乳が勢いよく噴出してしまったのだ!
「どういう事です?あなたは子供を産んだ事があるのですか?申請では今日が初めてのはずでしたが?」
しまった!こんな検査があるなんて思ってなかったから油断した。
今でも子供に母乳を飲ませているから、まだ母乳の出は良いのだった。
「ええと・・・これは以前からこういう体質で・・・」
「確かに出産前に母乳が出る者は稀にいますが、これほどの量が出るというのは聞いた事がありません」
確かにこれは出過ぎだよね?
「何か怪しいですね。こちらも確認させてもらいます!」
私はベッドに寝かされて、足を開かれそうになった。
「ちょっと!そんなところまで見るんですか?」
「普段はそこまで詳しくは確認しないのですが、あなたは何か怪しいです。念のため確認させて頂きます」
まずい!そこを念入りに見られてしまうと私が経験済みで経産婦だという事がばれてしまう。
この国では神様の儀式を受けていない女性が、男性経験や出産経験が有る事はありえないから、外から来た事がばれてしまう!
「あの、恥ずかしいのでそこの検査は勘弁して頂けないでしょうか?」
「これから神に子を授かろうというのに何を恥ずかしがっているのですか?ますます怪しいですね。早く足を開きなさい!」
・・・まずい、これ以上抵抗すると完全に怪しまれてしまう。
「わかりました・・・調べて下さい」
私は観念して足の力を抜いた。
有翼人は私の膝を左右に開いて、そこの確認を始めた。
ルルたちを妊娠した時にも、お医者さんに何度も触られたり見られたりした経験はあるけど、やっぱりこれは何度やられても恥ずかしいよ!
「特におかしなところはないですね。健康的な未経験の女性だという事は間違いありません。母乳は本当に特異体質だったのですね」
・・・ふう、何とか乗り切ったよ!
実は足を開く前に、治癒魔法で、あの部分をジオ様と初めての経験をする前の状態まで回復させてしまったのだ!
次にする時は、もう一度痛みを感じる事になるけど・・・それはそれで嬉しい痛みだし、まあ、それでもいいかな?
もちろん、今から『神様』とそれをするのは何とか回避するつもりだけどね!
「あの・・・もう足を閉じてもいいでしょうか?」
「ああ、すみません、もう大丈夫です。嫌な思いをさせて申し訳ありませんでした」
「いえ、こちらこそ、お手を煩わせてしまってすみません」
私は足をぴったりと閉じて、手で胸を隠した。
「ああああああああん!」
その時、隣の部屋から大きな声が聞こえてきた。
さっき私の前に並んでいた女性の声だ。
強烈な快感を感じたと思われる様な声だった。
「どうやら終わったみたいですね。さあ、次はあなたの番です」
・・・ついに私の番が来た。
これでようやく『神様』に直接会う事が出来る。
果たして、ジオ様を越えるほどのイケメンなのか?
あるいは想像を超えた何かなのか?
もしかしたら本当の神様って可能性もゼロじゃないよね?
ついにそれを知る事が出来るよ。
全裸で何一つ身に付けていない無防備な状態だけど、私には魔法があるし、万が一魔法が封じられたとしても、これまで身に付けた様々な武術がある。
剣が無くても身を守る技はたくさんあるからね!
唯一心配があるとしたら・・・神様が予想をはるかに超えた、私好みのイケメンだった時ぐらいだけど・・・私のジオ様への想いはそう簡単には揺らがないからね!
っと、言いたいところだけど・・・シンの事もあるからそこまで自信をもって言えないのが辛い・・・
でも!それでもジオ様への愛が薄れる事が無いのは実証済みだよ!その時は最愛の男性が三人に増えるだけだ!
って、全然、言い訳になってなかった・・・
「さあ、その扉を開けて中に入ってください。ここから先は一人で入って頂きます」
有翼人に促されて、私は神様の待つ部屋へと入っていった。




