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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第10章 神の国
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4話 勇者様と女の子

 しばらくこの天上の国に滞在する事にしたけど、とりあえず拠点となる場所が必要だ。


 この国にも宿屋の様な物があるのか分からないけど、探してみたらそれらしいものが見つかった。

 それなりに町と町の間を移動する人はいるみたいで、旅人が泊まるための施設があったのだ。


 宿屋というよりは町で運営している宿泊施設みたいだけど。




 そして、この町に来て驚いた事は、ここではお金という物が存在しないのだ。


 この宿泊施設も料金が発生しない。

 部屋が空いていれば、手続きだけで宿泊が出来るのだ。


 食事も、お金は必要なく、食べたいものを食べる事が出来る。

 お店で買い物するにしても、名前を書くなど手続きだけをすれば、あとは必要な物を受け取るだけで良いのだ。


 これらの管理は有翼人たちが行なっているらしい。


 一般の人々は有翼人の指示通りに仕事をしていれば、生活が保障されるらしいのだ。

 もちろん、必要以上に品物を持って行ったり、食事を注文しすぎたりなど、目に余る行動をした者は有翼人によって罰せられる。

 ルールが無い訳ではなく、あくまでもルールを守って生活していれば、生活が保障されるという事だ。




 泊る場所が決まったので、買い物に出る事にした。


 私たちの服装がこの町の人たちとかけ離れているので、悪目立ちしてしまう。

 まずは服を手に入れる必要がある。


 この町の人たちは基本的に薄着で肌の露出が多い。

 というか、中にはトップレスの人やボトムレスの人、果ては、ほとんど全裸に近い格好の人も普通に街中を出歩いているのだ。


 女性しかいない世界って、こういう事か・・・


 もちろん大半の人たちは隠すべきところはしっかり隠しているので、私たちもそれに合わせるつもりだ。


 


 服屋に入ると、全体的にシースルー気味の服が多かったが、私は比較的生地の透けていない物を選んだ。


 だって、体のラインが出ちゃうとここでは太めに思われちゃうんだもん。


 シィラはもっとも露出の少ないものを選んでいたが、逆にミラはシースルーの服を選んでいた。


 そしてレダはやっぱり布地の小さな服だった。




 問題は、ジオ様とルルだ。


 基本的に男の子向けの服というのは売っていない。

 特に赤ちゃん向けの服は、いかにも女の子向けの無駄にかわいいものばかりだった。

 でも悪目立ちする訳にもいかないので、ここでは二人は女の子という事にしておく必要がある。


 私はあえて思いっきりかわいらしい服を二人に買ってあげた。

 ジオ様は今は眠ってるけど目を覚ましたら不服だろうな。


 でも、仕方ないんだよ、納得してもらうしかない。


 ・・・といいつつも、ジオ様にかわいい服を着せるのって、ちょっと楽しいんだよね!

 二人とも顔立ちは整っているから、あどけない表情で眠っていると、もう完全に女の子だよ!




 服を着替えたあとは食事をした。


 この天上の国での食事には大いに興味があったのだ。


 地上と全く異なる文化圏を持つこの国で、どのような食材、どのような調理方法が存在するのか、料理人としての本能が疼いてしまう。


 入ったレストランで、メニューを見ると、普通に肉料理や野菜料理、それになんと魚料理もあった。

 さすがに海の魚は手に入らないだろうけど、川や湖から魚が取れるのだろうか?


 とりあえず主だった料理を一通り頼んで、少しずつ味見をさせてもらった。


 肉は鳥系が多かったけど、何かの獣の肉もあった。

 いずれも、普段食べている肉とは少し違うので、後で何の肉か聞いておこう。


 味付けは全体的に薄味だった。

 調味料のバリエーションはそんなに多くないかな?

 でも地上では食べた事のない味がいくつか入っていたので後で調味料も確認してみよう。


 魚はなぜか海の魚に近い味がした。

 この浮遊大陸で海の魚が手に入るわけ無いんだけど・・・これも後で聞いてみよう。


 全体尾的に、驚くほど珍しい料理には出会えなかったけど、いつもと少し違う味を楽しむ事が出来た。




 そして宿に戻ると、丁度ジオ様が目を覚ました。


(・・・この恰好はどういう事だ?)


 当然、質問が来たので、私はジオ様にこれまでの経緯を話した。




(なるほど・・・この国にいる間、俺は女のふりをしないといけないという事だな)


「はい、でもまあ、赤ちゃんなので、変に悪目立ちしなければ大丈夫だと思います。でも出来るだけ男らしい振舞いはしない様にお願いします」


(わかった、こんな感じにしておけばいいのだな)


 ジオ様は胸元で両手を握って可愛いポーズをしてみた・・・


 ・・・つもりだったのだろうが、なぜかファイティングポーズにしか見えない。


 ・・・やはり目つきが鋭すぎるからかな?


「出来れば表情をもっとにこやかにできないでしょうか?」


(難しいな・・・)


 元々滅多に笑わないジオ様は苦戦していた。




「そう言えばここではみんな、共同の浴場に入るそうですが、行ってみませんか?」


 シィラがお風呂の情報を仕入れて来たらしい。


「それは・・・ぜひ行ってみたいですね」


「わあい!大きなお風呂楽しみ!」


 ミラとレダも入る気満々だ。


「じゃあ、みんなで行こう!」


(俺も・・・行くのか?)


「赤ちゃんだけを残していく訳にもいきませんからジオ様とルルも一緒ですよ」


(さすがにばれるんじゃないのか?)


「赤ちゃんだから布にくるんだまま入浴すれば大丈夫だと思います」




 私たちは町の公共大浴場へとやって来た。


 町中の人たちがここへ入浴に来るみたいで大変賑わっていた。


 当然だが女湯しかない。

 まあ、女湯とも言わないんだけど、更衣室も一つだし浴室も一つだ。


 私たちは更衣室で裸になって浴室に入った。


 すると浴場の管理をしているらしき有翼人に話しかけられた。


「ここでは赤ん坊も着衣を認めていません。その布を取ってください」


 ジオ様とルルをくるんでいた布を外すように言われてしまった。




 ・・・まずい!ここで布を取られてしまうと二人が男の子って事がばれてしまう。


「ええと・・・どうして取らないとだめでしょうか?」


「衛生上の理由でそういう規則になっている。今すぐ取りなさい」


 どうしよう・・・取らないと怪しまれるよね?


「どうしました?取れない理由でもあるのですか?」


 ・・・やっぱり怪しまれた。




「ララ様、わたくしが二人を連れて外で待っていましょうか?」


 シィラが小声で私に申し出た。


「それはそれで怪しまれるよ。こうなったら仕方ない!」




 私はジオ様とルルをくるんでいた布を取り去った!




「ふむ、二人とも健康そうな良い赤子ですね。どうぞ、くつろいでいって下さい」


 ジオ様とルルの裸を覗き込んだ有翼人は、微笑ましい顔で二人を見ると好意的に通してくれた。


「ララ様!これはどういう事ですか!」


 ジオ様とルルの体を見たシィラが驚いていた。


「うん、咄嗟に二人の体を魔法で女の子にしちゃった!」




 そう、ジオ様とルルの体は、あれが無くなって女の子の体になっていたのだった。


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