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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第10章 神の国
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3話 勇者の弟子と神の国

「神様?・・・この国は神様が治めているのですか?」


「国というのは『神』が統治するものだろう?何を当たり前の事を聞いている?」




 そうか・・・ここでは『王』の事を『神』と呼ぶのかな?


 


「あっ、そうでした。変な事を聞いてすみません」


 怪しまれるといけないので、とりあえず口裏を合わせておいた。


「よほど辺境から出てきたのだな。それでは仕方あるまい。『神都』に来れば『神』の御姿を拝観する機会もあるだろう。いずれ『神都』にも足を運ぶと良い」


 そう言って、羽の生えた兵士たちは飛び去って行った。




 それを見送った後、私たちは町の中へと入っていった。


 魔動馬車は大きすぎて町の中には入れないというので、門のそばに置かせてもらった。

 取りあえず、ジオ様とルルは私とシィラがスリングに入れて運ぶ事にした。




 町の中は、羽根を持たない普通の人たちが歩いていた。


 この町の人々は見た目的には私たちと全く変わりがない。


 唯一、違いを見つけるとしたら、町の人たち全員が細めの体形をしていた。


 私も他の人と比べたら細めの体形だと自負していたのだが、ここの人々は、ほぼ全員が私と同じくらいかそれ以上に細いのだ。


 ・・・つまり私達4人はこの町では『ちょっと太め』と、みなされるという事になってしまう。


 ・・・なんかちょっと嫌だな・・・




 それからもう一つ気になった事がある。


 さっきから男性を一人も見かけていないのだ。


 羽の生えた兵士たちも全員女性だったし、門番の兵士も女性だった。

 男性は皆、どこかに出稼ぎにでも行っているのだろうか?




「まあ、かわいらしい赤ちゃんね?」


 取りすがりの上品そうな婦人が私のスリングの中のジオ様を見て話しかけてきた。


「ありがとうございます」


「まあ、ふたごなのかしら?ふふっ、将来美人になるわよ」


 隣にいたシィラのスリングの中のルルも見てそう思ったのだろう。


 ・・・でも顔立ちから女の子と思ったらしい。


「あの、この子たちは男の子ですので」


「えっ?『男の子』?『男の子』って何の事かしら?」


 婦人は首を傾げている。



 ・・・もしかして、この国には男性がいないって事は無いよね?



「あの、つかぬ事を伺いますが、この町の男性の方はどちらにいるのでしょうか?」


「『男性』?・・・さっきから聞いた事のない単語を使われていますが、どちらの地方からいらっしゃったのかしら?」




 やっぱり!ここには男性がいないんだ!


 でもさっきから私たち以外にも、赤ちゃんを連れた人や、子供も見かけている。

 子供はちゃんと生まれているのだ。




「私たちはずっと辺境の方から出て来たばかりで・・・あの・・・大変聞きづらいのですが、ここでは子供はどうやって授かるのでしょうか?」


「・・・何を言ってるのかしら?子供が欲しくなったら『神城』に行って神様に授けて頂くものでしょう?あなたもそうやって子供を授かったのですよね?」


 夫人はシィラの方を見て問いかけた。


 ・・・あれっ?この子たちをシィラの子だと思ってる?


「この子たちは私の子供ですけど?」


「そんなはずないでしょう?あなたとは髪の色が違い過ぎますもの。子供の髪の色や目の色、それに顔立ちは親とそっくりになるものです・・・でも、そう言えば、そちらの方とも少し色が違うような・・・成長したら同じ色になるのかしら?」


「あっ、はい!わたくしの子です。神様に授けて頂きました」


 シィラが、機転を利かせて婦人に話を合わせてくれた。


「わたくしも子供の頃はこの様な髪の色だったと聞いています。成長したら同じ色になると思います」


「ふふっ、やっぱりそうですよね?ではわたしはこれで失礼します」




 婦人は上品にお辞儀をして去って行った。




「ふう、危なかったよ。シィラ、ありがとう」


 あまりにも予想外の事が多すぎて危うくボロが出るところだったよ。


「でも、ジオ様とルル様が眠っていて助かりました。目の色が全く違うと言い訳が出来ませんでしたので」


「うん、そうだね。でも今のでいろいろ情報が入ったよ」






「そうですね状況を整理しましょう」


 ミラが、うなずいて情報の整理を始めた。


「まず、この国には男性がいないようです。いなくなったのではなくて、おそらく最初からいなかったのでしょう。そして、多分ですが『神』というのが唯一の男性で、子供は全て『神』の子という事になるのでしょうね」


「つまり『神様』ってうちの親父殿みたいなのって事?」


 ・・・レダの言う通り、似たようなものかもしれない・・・


「でも、それって、全て近親婚って事になるよね?『神』は自分の子供との間に子供を作る事になるんだから」


 レダの国では全ての子供の父親が同じってわけじゃなかったからね。


「ですが、どうやら子供は全て女の子で母親似になるみたいす。『神』の姿がわかりませんが、外観に父親である『神』の要素は入らないみたいですからね。何か普通の妊娠とは違うのかもしれません」




・・・それって、私が自分のお腹でジオ様の体を作ったみたいな事かな?




「それに、生まれてくる子供が全て女性っていうのも何か理由があるはずですね」


 そう、普通に妊娠したんだったら男の子が産まれてもおかしくない。




「・・・これはやっぱり、一度『神』に会ってみる必要がありそうだね」


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