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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第10章 神の国
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2話 勇者の弟子と有翼人

 羽根の生えた人たちって!・・・・・天使?




「あの、あなた達って・・・」




「質問に答えろ!ここはお前達一般人が立ち入る事は禁じられている地域だ。なぜお前たちはここにいる?」




 私の足元に、再び数本の矢が突き刺さった。


 ・・・これはまず、こちらの話をしないと何も教えてくれそうにないみたいだね。



「すみません、勝手に入ってしまって。こんな空の上に陸地があるなんて思わなかったんです」



「陸地?空の上?何を言っている?お前たち一般人は決このエリアに立ち入る事は固く禁じられていたはずだ。早く馬車ごと移動しろ!」


 再び私の足元に矢が刺さる。


「わかりました。すぐにここから立ち去ります」


 私は魔動馬車の御者台に飛び乗った。


 御者台ではミラが心配そうに私の方を見た。


「大丈夫でしょうか?ララ様」


「どうやら不法入国しちゃったみたいだね。もめ事が起きる前に早々に立ち去った方が良さそうだよ」


「そうですね。ここは引いた方が良さそうです」



 私は魔動馬車を崖の方に方向転換し、進み始めた。




 すると、今度は馬車の前方に矢が刺さった!


 私は慌てて魔動馬車を停止させる。




 「何をしている!そっちは反対方向だろう!お前たちの居住区はこちら側だ!」


 兵士の指揮官は大きな声で私に呼びかけた。



 ・・・声からすると指揮官は女性みたいけど?




 すると、指揮官が私の前に降りてきた。


 顔を見ると、やはりきれいな女性だった。


 弓矢は私に向かって構えたままだけどね。


「この先に進んではならん!命令に従わなければ即座に射抜くぞ」


「はい、抵抗はしません」


 ここでは魔法が使えるし、いざとなったら魔法で防御できるからね。


「ええと、どちらに戻ればいいのでしょうか?」


「道に迷ったのか?仕方がない、私についてこい!」




 ・・・どうやら私たちをここの住人だと勘違いしている様だね。

 下手に地上から来たとか言うと面倒な事になりそうだから、ここは言う通りにしておこう。




「すみません。宜しくお願いします」


 私は魔動馬車の向きを変えて、指揮官の方に移動を開始した。


 指揮官は魔動馬車の前方をゆっくりと飛んで行く。

 他の兵士たちも馬車の近くまで下りて来て、馬車を囲んだ。

 どうやら兵士は全員女性の様だ。




「みんな、あの人たちは私たちをここの住人だと思い込んでいるみたいだから、当面、地上から来たって事は黙っておいて」


 私は馬車の中のみんなに小声で話しかけた。


「その方が無難そうですね。下手に外部の人間だと知れたらどうなるかわかりません」


 ミラも私に意見に同意の様だ。


「ねえ、何で下から来たって言っちゃいけないの?」


「わたくしたちはここでは外国人です。彼らが外の世界に対してどの様なスタンスなのかわかるまで知らせない方が良いです。それに・・・見たところ体の構造も違います」


「ふうん、わかったよ!」




 ・・・そう、彼女たちの背中には羽が生えているのだ。


 でも、羽根の生えていない私たちを見ても、普通に受け入れているところを見ると、ここには羽のある人と、羽根に無い人がいるって事だろうか?




 私は移動しながら指揮官にそれとなくこの場所の情報を聞いてみた。




 この場所はかなり昔から人が住んでいて、今は一つの国としてまとまっているらしい。


 そしてここには羽のある人と羽根の無い人がいて、羽根の無い人々は『一般人』として羽の生えた人たちの支配下に置かれている様だ。


 とは言っても圧政を強いている訳では無く、あくまでも国の運営管理を行う中枢を羽根の生えた人たちが担っているという事だった。


 ただ、一般人は、ある程度行動が制限されていて、壁に囲まれた町の中から出てはいけない規則になっている。


 別の町に移動する時も、決して街道から外れてはいけないという厳しい決まりを課せられていた。

 しかし、時々、私たちの様に街道から外れて道に迷う者が現れるという。

 それを監視するのも、彼ら羽の生え兵士の仕事だという事だった。


 おそらく羽根の生えた者だけが、この陸地の端には崖があって、その先には何もない事を知っている。

 空が飛べたら容易に気がついてしまうからね。


 一応、彼女たちの中では、私たちは遠く離れた町から旅をしてきて、うっかり街道から外れて陸地の外れまで来てしまった一般人という認識になったらしい。




 ・・・そして・・・おそらくだけど、彼女たちはこの陸地の下にも地面があって、そこに人が住ん知るとは知らないみたいなのだ。


 なおさら、それをしゃべると大問題が起きそうなので、今は黙っていた方が良さそうだった。



「それにしても見慣れない形の馬車だな。おまえたちの服装も見た事が無い」


「あはは、結構遠くの方から来ましたからね」


「そうか、遠方の町にはその様な文化があるのだな」




 今の会話から、この陸地は相当広くって、全ての地域の文化を把握しきれないほどの多様性に富んでいるという事がわかる。



 崖から陸地の内部に向かってだいぶ移動したところに、どこまでも続く長い壁が見えてきた。


 おそらくあの中が町なのだろう。


 壁の高さがそれほど高くないのは、魔物の襲撃対策ではなく、人が外に出ない様にする事が目的だからなのだろう。




 指揮官が門番に事情を説明してくれて私たちは町に入る事が出来た。




「では、我々は『神城』に戻る。何か困った事があったら頼ってくれていい」


「『神城』?」


「そうだ、この『神国』を治める『神』のおわす城だ」




 ・・・この天上の国は、『王』ではなく『神』が治める国だったのだ。


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