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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第9章 獣の国
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11話 勇者の弟子と集中降魔

 ノコギリザメの魔物は運良く楽に倒せたけど、更に、次々と中級の魔物が降り始めた。


 一体ずつだったら私とジオ様で対応出来たんだけど、複数同時だとさすがに追いつかなくなってきた。


 中級の魔物ぐらいになると、落下の衝撃で魔結晶が露出するほど破損するものは少なく、復活前に魔結晶を取りのぞく事が困難なのだ。


 でも、とりあえず片っ端から倒すしかないよね!



 水生の中級の魔物は種類によって倒しやすい物と倒すのに時間のかかるものがある。

 やっぱり、一番時間がかかるのは『亀巾着』だった。

 剣が通りやすい魔物は比較的短時間で討伐できるし、ジオ様と別行動で単独で討伐できる物も多い。

 ノコギリザメは自分で地面に突き刺さってくれると私達でなくても倒せるんだけど、刺さりそこなった時は厄介だ。

 油断してると獣人に死傷者が出てしまう。


 そこは、獅子頭や、黒豹頭、それに狼頭たちがフォローに入って仲間を助けていた。

 彼らレベルになると中級の魔物ともある程度渡り合えるみたいだ。




「それにしても中級の魔物の落ちてくる頻度がどんどん上がって来るんだけど、これ以上増えるとまずいよね?」


(そうだな、下級の魔物も数が増えてきた・・・それにしてもどうやって空中で魔物が作られているんだろうな?)


 「・・・確かにそうですね?この島では魔法が使えなくて、おそらくそのために島の中では魔物が発生しないから、この島に来る魔物は海で発生して島に上陸してくるのに、この島の真上にある魔物の発生源は、どうして魔物が作り出せるのでしょう?」


(おそらく魔法が発動しない範囲に高度の制限もあるのだろうな)


「それってつまり、この島の上でも、遥か上空だったら魔法が使えるって事なのかな?」


(そうであれば、同じ高度まで行けたら、上空にある魔物の発生源を魔法で破壊できるかもしれないな)


「うん!それ、いいかもしれませんよ!ジオ様!」


(どうするんだ?)


「空の上に登って発生源を破壊するんです!」


(しかし、どうやって空の上に・・・そうか!)


「はい!落下してくる魔物を足場にして、上に跳躍するんです!」


(確かに、これだけの頻度で落ちて来るならそれも可能だな)


「じゃあ、早速行きましょう!早くしないと、獣人たちに被害が出てしまいます!」


(そうだな、いくぞ!まずは、あの中級の魔物だな)


「はい!」




 私とジオ様は、真上に落下してきている中級の魔物目がけてタイミングを合わせてジャンプした!


 魔物はかなりの落下速度だが、それを壁にして斜め上にジャンプした。


 次の足場は下級の魔物しかいないが、丁度いい位置に落下してきたので、それを踏み台にして更に上に跳躍する。

 足場にした下級の魔物は、反動で落下速度が増して、思いっきり地面に叩きつけられて潰れてしまった。


 ・・・ちょっと悪い事したかな?


 まあ、結局倒すんだから同じなんだけどね。




 ジオ様と二人で同じ魔物を足場に出来るとも限らないので、それぞれ次の足場となる魔物を選定して、上へ上へと駆け昇って行った。


 みるみる内に地面が遠ざかっていく。


 落下してくる魔物に逆らって上に登るためには休む暇など無い。


 次々と魔物から魔物に飛び移り、登っていくしかないのだ!




 ・・・でもこれって後でどうやって下りればいいんだろ?


 もう既に普通に落下したら助からない高度まで登っている。

 後の事はあまり深く考えてなかった。 


 ・・・まあ、何とかなるだろうけどね!




 上を見ると雲があり、その中から魔物が降って来ていた。

 おそらくあの雲の中に魔物の発生源があるに違いない。

 この調子でいけばもうすぐ雲の中に到達する。




「ジオ様、あと少しですね!」


(ああ、そうだな。だが、何がいるかわからない。油断するなよ)


「はい!」



 ジオ様とはつかず離れず、絶妙な距離を保って上昇を続けていた。

 しかし、あと少しで雲に到達するというところで、魔物の落下が突然止まってしまった。


「どうしたんでしょう?これで終わりでしょうか?」


(いや、俺達が魔物を利用して接近した事に気が付いたのかもしれない)


「ええ!それじゃ、これ以上行けないって事!」


(あと少しだったんだが、届かなかったか)


「まだ、この高度では魔法は使えませんね」


 私は試しに魔法を使おうとしたのだが、発動しなかった。


(後数体の魔物で足場が無くなるな。一旦地上に戻るしかないか・・・)




 ・・・うーん、折角ここまで来たのに何か方法は無いかな?




「そうだ!ジオ様、私を上に放り投げて下さい!」


(何だって?)


「ジオ様の力なら私ぐらい、あの雲の上まで放り投げる事ができますよね?」


(それは可能かもしれないが・・・危険だぞ、ララ)


「でもやらないと、みんなに被害が出るかもしれません」




(・・・わかった。無理はするなよ)


「死なない程度に頑張ります!」


(ララはこういう時、言っても聞かないからな)



 ・・・ジオ様、私の性格を良く理解してるよね!



(ララ、剣の切っ先に乗れ)


 ジオ様がロングソードの刃を水平にして私の方に向けた。


 次にジオ様が飛び移る、最後の中級の魔物を足場にするつもりだろう。


 私はタイミングを合わせてジオ様のロングソードの切っ先に飛び移る。




(行くぞ!ララ!)


「お願いします!ジオ様!」



 ジオ様は中級の魔物に着地し、同じタイミングで私はロングソードの切っ先に飛び乗った。


 そして、ジオ様は私の乗ったロングソードを思いっきり振り上げた。



(行けっ!ララ!)


「行ってきますっ!ジオ様!」




 ・・・わかってはいたけど、ジオ様のパワーはとんでもなかった!




 私はものすごい勢いで、上空に向かって放り出されたのだ!


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