5話 勇者の弟子と宴のあと
目が覚めると、私はふかふかで気持ちの良いもふもふにくるまれていた。
・・・よく見るとそれはニニだった。
そして周りを見渡すと、宴会の会場はもふもふの絨毯が敷き詰められていた。
獣人たちは昨晩はそのままここで眠りについたのだった。
あれっ?・・・という事は?・・・
私は全裸のままだった。
レダ達が気持ちよさそうに裸でもふもふにくるまれているのが羨ましくて、私も裸になってニニと抱き合って、あまりの気持ち良さに、そのまま眠ってしまったのだった。
回りを見渡すとレダはやはり全裸のまま、仰向けに寝ている狼頭の上に乗っかって、両手両足で抱きついたままふかふかの毛に埋もれて気持ちよさそうに眠っていた。
・・・これ、相手が普通の人間の男性だったら完全にアウトな構図だった。
・・・ていうか、顔を見せなければ、このシチュエーションでも獣人って欲情しないんだな?
他のところも見て見ると、ミラは長毛種の女性の獣人と抱き合って眠っていた。
ジオ様とルルも女性獣人たちの体毛に包まれてすやすやと眠っている。
そして、いつの間にかシィラも裸になって獣人たちの間で眠っていたのだった。
まさに無礼講って感じだけど、この状況でも誰も生殖活動に至ってはいないみたいだね。
獣人たちは皆すやすやと穏やかな表情で眠っていたのだ。
「んん・・・ララ、起きていたのですか?」
私の隣でニニが目を覚ました。
「おはよう、ニニ。ごめんね、昨日は無理やりあんな事をして」
「いえ、見ての通りいつもこの様な流れになりますので、問題ありませんよ」
「この状況って・・・みんな欲情して、その・・・行為を始めたりする事って無いの?」
「今は発情期ではありませんので、皆、そういう気分になる事はありません。もちろん発情期には収集が付かなくなってしまうので、その時期になるとこの様な宴会は行いません」
・・・確かに・・・これが発情期だったら大変な事になっているよね?
「ただ、一つだけ例外があって・・・毛を剃った素顔を見てしまうと、発情期でなくても強烈に発情してしまって・・・・・」
「そっか、そうだったね」
私は自分の顔の布を確認すると、布が少しずれて外れかかっていた。
そこで、きれいに巻き直すために布を一旦布を外した。
「ん、?どうしたの?ニニ?」
すると、隣でニニがもじもじし始めた。
「ララ!」
ニニが突然、私にキスをしてきたのだ!
ニニは私にキスをしたまま強く体をすりよせてきた。
「どうしたの!ニニ?」
「はぁん!ララ!・・・我慢出来なくなってしまいました!」
ニニは更に激しくキスをしてきた。
更に体も密着させて擦りよせて来たのだ。
あっ!そうか!
私が顔の布を巻き直そうと布を外した瞬間に私の顔を見て欲情してしまったのだ!
でも・・・ちょっと、これって私もかなり気持ちいいんですけど!
柔らないニニの唇の感触と、素肌に擦り付けられるもふもふの毛皮と、その下のニニの柔らかい体の感触が合わさって、得も言われぬ快感を感じてしまっているのだ。
・・・これ、私もやめられなくなっちゃいそう!
私の方もニニの体をもっと受け入れたくなってきちゃったよ!
「ニニ!」
つい、私の方からもニニに更に体を絡めて、こすりつけてしまったよ!
「ああん!ララ!」
ニニはさらに興奮して大きな声を上げてしまった!
「・・・んん・・・」
その声で、近くにいた他の獣人たちが目を覚ましかけた。
・・・あっ!これって、他の獣人が今の私の顔を見たら、みんな欲情してしまうのでは?
この状況でそんな事になったら、大変な事になってしまうのでは?
ニニは女性だからまだいいけど、男性の獣人が全員発情してしまったら・・・
きっと私対全員、妊娠させられてしまうのではないだろうか?
「ちょっと!ニニ!落ち着いて!」
私は強引にニニの顔を引き離し、その隙に顔に布を巻き直した。
するとニニは一瞬せつなそうな表情をしたが、丁度目の前にあった私の胸に吸い付いて、おっぱいを吸い始めたのだ!
ニニは最初は激しく吸い付いていたのだが、私の母乳を吸っている内に次第に落ち着いてきた様だ。
「落ち着いた?ニニ?」
顔の布をしっかりと巻き直した私はニニに問いかけた。
「・・・すみません・・・ララ、取り乱してしまって!」
私の母乳を飲んだおかげで、ようやく気分が落ち着いた様だ。
「素顔を見せるとやっぱり、ああなっちゃうんだ?」
「はい、寝起きで油断してました。意志をしっかり持っていればもう少し我慢できたのですが・・・」
「女性同士でもああなっちゃう事もあるんだね?」
「かならず、というわけではないのですが・・・昨日ララの素顔を見てから、それが頭から離れなくなってしまって・・・再び目の前にしたら歯止めが効かなくなってしまったのです」
「素顔を見せるって、本当に危ないんだね」
「もちろん誰でもってわけではありませんよ・・・その・・・好意を持っている相手でないと、ここまで強烈に欲情する事はありません・・・」
ニニは言いながら真っ赤になっていた。
それって・・・ニニが私に好意を持っているって事だよね?
・・・この話はあまり言及しないでおこう・・・
それよりも、他のみんなも素顔を見せない様に気を付けないとね!
私はとりあえず脱ぎ散らかした服を着て、まだ眠ってる他のみんなの様子を確認した。
・・・レダの布!、半分めくれてるじゃない!
狼頭の胸にうつぶせで顔をうずめているレダは、おそらく狼頭の胸に顔をこすりつけている内に布がずれてしまったのだろう。
まずいまずい!
この体勢で狼頭が目を覚ましてレダの顔を見ちゃったら、速攻で行為が始まっちゃうよ!
なんといっても、今のこの二人の体勢は、まさにその行為に至る直前の位置関係だったのだ!
私は慌ててレダのところに行って顔の布をしっかりと巻き直した。
ふう!危なかった!先に気が付いて良かったよ。
それから足を開いて狼頭のお腹の上に跨っている状況はちょっとあれなので、レダの足を閉じて狼頭の隣に寝かせてあげた。
更に見渡すと、ミラとシィラは、顔の布が外れてはいなかったが、少し緩んでいたので、しっかりと締め直してあげる事にした。
ミラの布を締め直していると、ミラは寝ぼけて寝言を言った。
「ララ様ぁ・・・気持ちいいです・・・」
そう言ってミラは隣に寝ている獣人の女性にぎゅうっとしがみ付いた。
その獣人の女性を私と勘違いしてるみたいだけど・・・私・・・そんなに毛深くないからね・・・
シィラの布を直そうとしたら、シィラはその途中で目が覚めた。
「申し訳ありません!ララ様。仕事中でありながらこのそうな醜態を!」
「いいんだよ、シィラもみんなが気持ち良さそうで我慢できなかったんでしょ?私もそうだったから。今は羽目を外しても全然大丈夫だよ!」
「ありがとうございます。十分に堪能させていただきましたので、これより職務に復帰いたします」
シィラはそそくさとメイド服を着た。
「そんなにかしこまらなくても、もっとゆっくりしてていいよ」
「そうはいきません。早速、ルル様を回収してまいります」
シィラはそう言って、もふもふの中で眠っているルルのところへ向かった。
私も一緒にジオ様とルルのところに行く。
「ルル、ごめんね、ほったらかしにして」
私はルルを抱き上げて頬摺りをした。
丁度ルルが目を覚ましたので授乳を始めた。
すると隣ではジオ様も起き上がていた。
「ジオ様、おはようございます」
(ララ、おはよう)
「ジオ様も昨日は楽しめたようですね?」
(いや、これは・・・その・・・あまりに気持ち良かったのでつい・・・)
「まあ、いいですよ、彼女たちへのサービスって事にしておきます」
ジオ様が快楽に身を委ねられるようになったていうのは、いい傾向だからね。
それに・・・私もニニと浮気しちゃうとこだったから、お互い様だしね!
私は授乳が終わったルルをシィラに預けると、ジオ様を抱き上げて、頬をくっつけてぎゅうと抱き締めたのだった。